第14話 正体
玄関の大扉に力を込めた瞬間、両腕に伝わってきた不可解な感触に純悟は目を見開いてしまう。何度も押し引きを繰り返したが、扉はガチャガチャと乱雑な音を立てるのみで、決して開こうとはしてくれない。
「なんで……どうして、鍵が――!?」
たまらず声を上げながら、なおも純悟は扉に力を込めていく。二人が屋敷にやってきたときとは異なり、玄関の大扉はがっちりと施錠されてしまっていた。ついには蹴破ろうと足を出してしまう純悟だったが、堅牢な扉を前にさしたる効果もない。
焦る純悟のその隣で、結子は肩を押さえたまま唸る。彼女は既に突き刺さった矢を抜き応急措置を施していたが、なおも肩の傷からは血が溢れだし、深紅のレディーススーツをじんわりと染め上げていた。
「“穢れ”の仕業じゃあなさそうだね。どうやらこれも――あのガスマスクの仕業らしい」
「なんだって? じゃあ、あいつが鍵を?」
「ああ。私らが逃げられないように、あらかじめ施錠しておいたんだろうね。やれやれ、随分と準備がいいこって」
戦慄してしまう純悟に、結子は困ったように笑う。彼女は消耗したせいかどこか顔色は優れなかったが、それでも必死にいつも通りの波長を取り戻そうと努めていた。
予想外の状況に混乱してしまう純悟だが、それでも以前のようにただただいたずらに思考を淀ませはしない。奥歯を噛みしめたまま、今置かれた状況をどう打開するかを必死に考えていく。
これだけ広い屋敷ならばどこか他の出入り口もあるのだろうが、あいにく、広大な屋敷のなかを悠長に散策し続ける時間も残されてはいない。結子の負傷はもちろんのこと、この大きな屋敷のどこかには、いまもなお“穢れ”や“殺人鬼”が闊歩しているのである。もしどこかで遭遇すれば、満足に逃げ切れるかどうかも怪しい。
「結子の“力”を使って、なんとか扉を吹っ飛ばせたりしないのか? それか、鍵を開けたりなんてことは――」
「残念だけど、私もそこまでスーパーウーマンじゃあないんだよね。この“力”は基本的に、霊や“穢れ”みたいな別次元の存在に干渉するものだからさ。地下室での“あれ”も、アロマオイルに力で働きかけただけで、基本的には物体を動かすこととかはできないんだよ」
「そういうことなんだな……じゃあやっぱり、どこか別の出入り口を探すしかないのか」
視線を走らせていた純悟は、玄関ホールの天井に取り付けられた“監視カメラ”に気付く。確かそれは、この屋敷の持ち主である富豪・諏訪京志郎が設置しているもののはずだ。
純悟は咄嗟にそのカメラに向けて「おおい!」と手を振ってみせる。まだランプが付いているそのカメラを使って、なんとか外の警備会社に助けを求められないかと考えたのだ。
「誰かが気付いて、助けに来てくれないかな……とはいえ、それも時間がかかるんだろうが」
「だねぇ。どちらにせよ、もう少し私たちだけでこの場を切り抜ける必要がありそうだ」
言いながら、結子は玄関ホールの壁際に置かれた黒いバッグに歩み寄っていく。それは二人がこの屋敷に来た際、持ち込んだ清掃道具の一式だった。純悟も駆け寄り、改めて自分たちが持ち寄った品々を吟味していく。
「“
「けれどまぁ、無手でぶらぶらするよりはマシさ。道具なんて使い方次第だからね」
純悟は片膝をついたまま、すぐ隣に立つ結子の顔を見上げてしまう。事態はまるで好転していないが、それでも彼女のあっけらかんとした笑顔を見ているだけで、ほんのわずかでも気持ちが和らいだ。
(いたずらにへこんでいる場合じゃない……か)
純悟は気持ちを引き締め、バッグを肩に担ぎ直す。すぐ近くに落ちていたモップを手に取り、木製の柄をしっかりと握りしめた。
結子は腕を組んだまま、「う〜ん」と唸りながら周囲を見渡す。
「さて、こうなったらいよいよ、玄関以外の出入り口を探すほかなさそうだね。といっても、見当もつかないから、あてもなくうろうろするしかないわけだけどさ」
ここに辿り着くまで通路の窓を破壊できないかと試みたこともあったが、強化ガラスに特注の窓枠を組み合わせたかなり堅牢なもので、道具なしには到底、こじ開けることは不可能のようだった。こうなると結子の言葉通り、どこか別の出入り口を見つけ出すしかない。
依然としてまずい状況であることには変わりがなかったが、ここで純悟が玄関ホールから続くいくつかの通路を眺め、思考を巡らせ始めていた。彼のその異変に結子もいち早く気付き、自然と問いかけてしまう。
「どうしたのさ、純ちゃん?」
「いや、あくまでうろ覚えなんだけど……前に、この屋敷の“見取り図”を見せてもらっただろう? 改めて思い出したんだけど、たしか一階の西にある“厨房”から、庭園に繋がる勝手口があった気がしてさ。そこからなら、もしかしたら外に出られるんじゃあないかって」
結子は目を丸くして「本当?」と驚くが、純悟はあくまで自信がないのか、困ったように視線を逸らしてしまう。だが、彼の眼差しは西へと続く廊下の奥を強く睨みつけていた。
「確証はない。けれど、このままここで立ち往生をしていても、事態は好転しないだろう? なら、行ってみる価値はあるかも、って」
言いながらも、純悟は自身が口走ったその確証のない提案に、妙な気恥ずかしさを抱いてしまう。素っ頓狂なことを言ってしまったかと後ろ頭をかく彼に、それでも結子は小馬鹿にすることなく、力強い笑みを浮かべた。
「いいねぇ。少しでも可能性があるなら、賭けてみる価値はおおいにあるよ。このままここで突っ立っていても、何一つ変わらないんだ。こういう時こそ、良いも悪いも関係なく、まずは行動しないとね」
結子があっさりとその提案を飲んでくれたことに、一瞬、純悟は驚いてしまった。しかし、彼女の言う通り、今の二人にはわずかな可能性すら必死ですがり、ものにする必要があるのだ。
それ以上、二人は無駄な言葉は交わさず、直ちに廊下の奥へと足を踏み入れていく。純悟の記憶を頼りに、いつ“脅威”が飛び出してくるか分からない仄暗い屋敷のなかをひた進んだ。
純悟は一歩を踏み出すたび、凄まじい息苦しさを覚えてしまう。先程と何ら変わらないはずの屋敷の空気は、無意識のうちに彼が抱いた不安や緊張のせいで、より重々しく、嫌な温度を帯びたものへと変貌してしまっていた。
無色透明の“泥沼”のなかを歩むような、深い極まりない重さが肉体にのしかかる。だがそれをひたすら跳ね除け、純悟は前へと足を繰り出していった。
廊下を進み始めて十分ほどで、二人は“目的地”へと辿り着く。純悟の記憶通り、屋敷の西側には広めの“厨房”を見つけ出すことができた。
狙い通りの結果に、純悟と結子はたまらず互いの顔を見合わせてしまう。慎重に部屋の中を覗くと、やはりそこには打ち捨てられ、放置されたままの立派な厨房の姿があった。
調理器具や皿がいくつか置かれたままになっており、いずれもひどくほこりにまみれている。コンロ台の上には大きな蜘蛛の巣が張ってしまっており、この一室に長らく、人の出入りがないと言うことを予感させた。
入り口から厨房の様子を眺めていた二人だったが、部屋の奥に配置された小さな扉をすぐに発見する。迷うことなくそれに駆け寄り、至近距離でまざまざと観察していった。
間違いなく、それは庭園へと続く勝手口である。はめ込まれた磨りガラス越しに植木の青々とした色が滲んでおり、ドア一枚隔てた向こう側には、外界が広がっていることが分かった。
狙い通りの結果に、淳吾は思わず笑みを浮かべてしまう。期待を胸に勝手口の取っ手を掴んだが、伝わってきた無情な感触に息を飲んでしまった。
「ちくしょお、ここにも鍵が……そりゃあまぁ、そうだよな。開けっぱなしにされてるわけもないか……」
「けれど、本当に惜しいところまで来てるよ。こいつをぶち破れば、ひとまずはこの屋敷の外には脱出できるんだからね」
ほんのわずかに肩を落としてしまう純悟だったが、それでも結子の言葉が素早く彼を後押しする。力強く頷く“祓い屋”の姿に、純悟の思考が停滞することなく加速していった。
彼は担いでいたバッグを脇に置くと、何ら躊躇することなく勝手口の扉を蹴り飛ばしていく。扉を蹴破ろうとする純悟の姿に、すぐ後ろで見ていた結子の方が圧倒されてしまっていた。
これまでの純悟からは想像し難い、なんとも思い切った行動である。あれやこれやと悩み、次の一手を躊躇していた今までの姿から一変、純悟は屋敷を脱出するというただ一つの目的のため、迷いや不安を振り切り、直ちに行動に出ている。
やはり勝手口の扉は堅牢であったが、それでも純悟が一撃、二撃と蹴りを加えるごとに、確実にどこかが歪んでいく。彼の額から汗が流れ落ちる頃には、ついに扉の施錠ががたつき始め、隙間から向こう側の景色が確認できるほどになっていた。
外界の景色をわずかでも目の当たりにできたことで、二人の気持ちが晴れる。純悟は一旦、両膝に手をついて立ち止まり、大きく呼吸を繰り返した。
「良かった、なんとかなりそうだな。もう少しでぶち破れそうだ」
「なかなか、ワイルドなことするようになったねぇ、純ちゃん。この屋敷に来てから、なんだか一皮も二皮も剥けたみたいだよ」
「必死になってるだけだよ。まぁ、あれだけ色々な“危機”に直面すりゃあ、なりふり構ってなんてられなくなるってもんさ」
結子が「そりゃあそうか」と苦笑するなか、純悟はつなぎの布地で額の汗を拭う。わずかにクールダウンしつつも、彼はこの屋敷を脱出した後のプランについて、ようやく思考を巡らせることができた。
「ひとまず脱出したら、とにもかくにも“警察”に連絡だな。なにせ“穢れ”がいるだけじゃあなく、正体不明の“殺人鬼”までいるんだ。そっちはしっかりと捕まえてもらわないとさ」
言いながらも、純悟は汗を拭い、再び勝手口へと蹴り込んでいく。一撃、扉が大きく軋むと、はめ込まれていた磨りガラスが砕けた。
あと一息――しかし、そんな最中、結子が神妙な面持ちで呟いたある一言が、純悟の足を止めてしまう。
「それなんだけどさ。私、心当たりがあるんだ」
「心当たり……どういうことだ?」
「あの“ガスマスク”さんの素顔が、ある程度、予測できるってこと」
予想外の一言に、純悟は「えっ」と声をあげてしまう。戸惑いをあらわにする彼の目の前で、結子はどこか真剣な眼差しを浮かべていた。
「考えてもみなよ。あいつはこのお屋敷――諏訪って大富豪が管理する物件に入り込んだだけでなく、あの奇妙な“隠し通路”や地下室のことも知っていたんだ。どこの誰かも分からない、無関係な人間だとは思えないよ」
「それじゃあ……まさかあいつは、諏訪に深く関わりがある人間ってことになるのか? それこそ、諏訪が雇っていた執事とか、お手伝いとか――そういう類の人間ってことなのかよ?」
結子に呼応するように推測してみる純悟だったが、彼女はこれに対し首を横に振る。純悟はいつしか扉を蹴る足を止め、厨房を背にして立つ結子の赤い姿をまじまじと見つめてしまっていた。
「私も最初は、そう考えたんだよ。あの大富豪・諏訪に深く関わりのある誰か――それがこの豪邸のなかで密かに動物虐待や殺人を行って、今回も屋敷に踏み込んできた私たちを襲ったんじゃないかって。けれど、それでもどうにも辻褄が合わない。この屋敷は人は立ち入ってないけど、セキュリティは万全だったんだ。施錠もされてれば、監視カメラも生きてる。そこに部外者が出入りしてれば、おのずと誰かが通報したり、足がついてしまうんじゃあないのかい?」
「そりゃあ、そうか……けれど、実際にあいつは屋敷のなかに足を踏み入れてるし、あの地下室にだってたどり着いていた。そんなことができる人間が、いるもんなんだろうか?」
「いるさ。少なくとも、たった一人だけは――ね?」
結子のその一言が、どうにも不穏だった。彼女の口の端に浮かんでいたはずの笑みが、今ではすっかりと消え失せてしまっている。
純悟は思わず、生唾を飲み込んでしまった。乾いた喉を潤すためではなく、目の前の彼女から伝わる凄まじい気迫に、気圧されないように身構えてしまう。
結子は腕を組んだまま、しっかりと純悟を見据える。彼女は微かなため息の後に、自身が抱いたある“推測”を口にしようとした。
「あのガスマスクの下の顔は、たぶん――」
純悟は固唾を飲んでその答えを待ち構える。一言一句を聞き逃さないよう、彼は無意識のうちに呼吸を止めてしまっていた。
そんな純悟の耳に響いたのは、“祓い屋”の声ではない。もっと重々しく、鈍い音色が彼女の言葉をかき消してしまう。
結子すら、その予想外の音と“振動”に目を見開いてしまった。彼女が呆気に取られているなか、その“紅蓮”の姿越しに厨房の風景を眺めていた、純悟がいち早く気付く。
結子のちょうど背後にある大きな食器棚が、ひとりでに動き始めた。金属製の棚が“仕掛け”によって横に滑り、それによって隠されていた小さな入り口が姿を現す。
その光景は、書斎で見たあの“隠し扉”に似ていた。壁に開けられた“隠し通路”のその闇の中から、同様に黒一色に全身を染め上げた“それ”が歩みでてくる。
その見慣れた姿に、純悟が戦慄する。そして振り返った結子もまた、目の前に立っていた“それ”のおぞましい姿に、呼吸を止めてしまった。
突如、隠し通路から姿を現した“ガスマスク”の人物が、迷うことなく目の前の結子に襲いかかった。黒い影は手にしていた鈍器――合皮を幾重にも巻き付けた“棍棒”で、結子を殴りつける。
どがっという鈍い音と共に、“祓い屋”の赤い姿が真横に跳ねた。彼女が床に倒れ込むのと、純悟が叫ぶのはほぼ同時であった。
「――結子ぉ!!」
襲撃者の一撃は的確に結子の頭部を捉え、こめかみをわずかに切り裂いてしまった。結子は意識こそあったが、激痛によって思考を分断され、身動きを取ることができない。
そんな結子に、なおもガスマスクは歩み寄っていく。黒い影は手にした棍棒を強く握りしめ、それを直ちに振り上げた。
ガスマスク越しの視線は、明らかに結子の頭部に向けられている。襲撃者はなんら躊躇することなく、手にした凶器を全力で彼女の頭部に叩き落とすつもりだった。
いったいなぜ、奴がここにいるのか。なぜ、こんなところにも隠し通路があるのか。なぜ、二人がいるこの場所が特定できたのか。
なぜ、なぜ、なぜ――あらゆる疑問符が脳内で乱反射するなか、それでも純悟の体内で鼓動が強く跳ねる。
目の前に立つ“黒”と倒れこんだ“赤”の姿を丸眼鏡越しに見つめた純悟の全身の細胞が、一気に燃え上がっていく。
恐怖も不安もあった。凶器を手にし、それを振りかざす謎の存在がただただ恐ろしく、肉体の芯が震えた。
だがそれでも、震えながらでも純悟は動いていく。振り上げられた襲撃者の棍棒が落ちるよりも早く、汗と汚れ、涙にすら塗れた清掃員が吠えた。
「おい――やめろッ!!」
純悟は気がついた時には駆け出し、壁際に立てかけていたモップを手にしていた。彼は痛いほどに握りしめたそれを、ただ力任せに目の前の黒い影目掛けて叩きつける。
襲撃者は純悟のその予想だにしない一手に、わずかに怯んでいた。それによって反応が遅れ、一歩を後退したものの、モップの先端がガスマスクを真横から叩き落としてしまう。
黒い仮面が宙を舞い、襲撃者の素顔がようやく晒された。モップを振り抜いた純悟、そして倒れたまま顔を持ち上げた結子は、仮面の下にあったその顔を同時に見つめてしまう。
瞬間、二人は呼吸を止めてしまった。純悟は唖然としたまま、結子はどこか悔しそうに歯噛みし、“彼”の顔を瞬きすらせずに視界の中心に捉える。
モップを振り抜いたまま、純悟は全身の動きを止めていた。そんな隙だらけの彼を、目の前に立つ“襲撃者”は容赦することなくブーツで蹴り飛ばしてしまう。
胴体に重い一撃を見舞われ、尻餅をついてしまう純悟。腹部に重く痛みがのしかかったが、それでも彼はその視線を目の前に立つ“彼”からそらすことができなかった。
意を決し、前へと踏み出したはずの足が止まる。襲撃者の素顔を見つめたまま、純悟は情けないほどにか細い声を絞り出してしまった。
「どうして……なんで……あんたが――?」
純悟が激しく狼狽するなか、やはり結子だけは悔しげに奥歯を噛み締め、鋭い眼差しで“彼”を睨みつけている。彼女は頭部の激痛に耐えながらなんとか片膝をつき、襲撃者のその正体を見上げた。
結子にだけはどこか、予測がついていた。とある大富豪が所有していた屋敷に出入りし、そこに隠された地下室をも自在に利用することができる人物が誰なのか、ということが。
今もそう――“彼”はこの厨房へと続く隠し通路を利用し、まんまと純悟と結子に追いついてみせたのだ。間違いなく、目の前の襲撃者はこの広大な屋敷に隠された様々な仕掛けに精通している。
そんなことができる人間は限られているだろう。もし、どこかから“殺人鬼”がこの屋敷にたどり着いたとて、それらの構造を把握しきることなど不可能だ。
ならばおのずと答えは見えてくる。この屋敷を使いこなし、誰よりもそこを自在に出入りすることができる人物とは、誰なのか、が。
襲撃者は純悟を蹴り飛ばした後、遅れて自身の顔を覆っていたガスマスクがないことに気付く。“彼”は一瞬、目を丸くして驚いていたが、すぐにほうと大きなため息をついてみせた。
怒りもなく、戸惑いもなく、襲撃者はいたって自然体のまま呟く。
「あらら、取れちゃったか。できれば最後まで、正体はバレないままでいたかったんだけどなぁ。残念」
困ったように笑う“彼”の顔を、なおも二人はまばたき一つせずに見つめ続ける。純悟らを襲い、圧倒的な殺意を振り撒いていた“彼”は、場違いなほどの柔らかなトーンで苦笑いしてみせた。
いまだに、何が起こっているのかが理解できない純悟。そして、わずかな怒りすら抱き歯を食いしばる結子。
二人の目の前で、なおも困ったように襲撃者が笑う。
漆黒のアーミースーツに身を包んだ屋敷の主人――諏訪京志郎の口元には、かつて二人が見たものと同様の爽やかな笑みが張り付いていた。
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