他人に書かせたけど著作権を買い取ったので私の作品です!

月這山中

第1話

「なに言ってんの?」


「私の作品です!」


「じゃあそれで君は、このクオリティで続き書ける? って聞いてるの」


「書かせます! それも金で著作権を譲渡させます! 私の作品です!」


「あのねぇ……」


「なんですか? 著作権は私が所有してるんですよ? 見せましょうか?」


「見せましょうかってなんだよ。著作権ってのはそういうものじゃないの」


「ありますよ、著作権」


「……新人賞の応募規定に書いてあったでしょう? 自作に限るって」


「著作権を買い取ったので私の自作です!」


「君は何が目的なんだね!」


「賞を受賞し、プロになることです!」


「プロになっても書けないでしょ! もういい、これ書いた人連れて来て!」


「著作権は私が所有してるんですが!?」


「そもそも受賞してないんだよ君は! 選考落ちなの! どう見てもプロが書いたものだから!」


「いやあ」


「褒めてない! この、この手癖、あの有名な先生でしょ! 君一体いくら積んだの!?」


「守秘義務があるので話せません」


「なんでそこだけ常識的なのかなあ!?」


「わかりました。見せたらいいんでしょう著作権を」


「見せなくていい見せなくていい。なぜ下を脱ぐ。何を見せる気なんだね!」


「買い取った著作権です。こいつは強いですよ」


「強いってなんだ! 怖いから見せなくていい! やめなさい! やめ、警備員呼んで!」


「じゃあなんですか、著作権を買い取った作品では受賞させてくれないってことですか」


「逆に聞くけどなんでいけると思ったんだね?」


「だってプロの作品ですよ」


「新人賞だっつってんだろ」


「プロに書かせて著作権ごと買い取ったら作家になれるでしょうが」


「なぜ私が責められてるみたいになってる? なれないからね」


「そんな!」


「お帰りください」




 数日後


「作家の人権を買い取りました! こちら、私の作品です!」


「だめだよ!?」


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