第17話

 ギルマスの部屋、チャンダクマさんが部屋で待機していた、直立不動。

「 本当にありがとう、貴男がいなかったら、ベクラダは消滅していたわ 」

「 冒険者プレートを金から、最高のアダマンタイトになります 」

「 貴男はダラムの英雄です 」

「 俺は目立つのは好まない 」

「 理解はできますが、いまさら無理ですよ 」

「 それと報奨金がギルドから出ます、都市ベクラダからも出るでしょうが、ギルドからの報奨金は都市とは関係ありません 」

「 金額は期待してください 」


 テーブルの前にある、ジュースを飲む、「 おっ 」俺の好きなマナオジュースだった。

「 好みも調べているから 」

 渋く、顔を引き締めているのだが、緩んできた、ニヤニヤしていたら恰好がつかない。

「 ベクラダには、命を救ってくれた者に一番大切な者を差し出すっていう習慣があるのよ 」

「 知ってる? 」

「 しらん 」

「 でね、私はどうかしら 」

「 はぁ~っ 」


 直立不動だったチャンダクマさん、いきなり吹いた。

「 チャンダクマさん、どうかしました 」

「 ぎぃははははは、ぎぃははははは 」腰を九の字に折って笑いだした。

「 歳が、歳がぁ、200歳くらい離れているでしょう 」

「 私はどうかしらって、犯罪ですよ 」

「 ぎぃははははは、ぎぃははははは 」

「 こ、殺す! 」


 グーパンチ、素晴らしい右ストレートが顔面を捉えた、ドアをぶち壊し、廊下の床で

 股を広げて痙攣、皮をかむっているし、ゴブリンに比べたら貧相。

 受付嬢を呼び出し、「 これ、捨ててきて 」受付嬢は腕を持って引きずって行った。

 ぞぞぞぞって、背中が、こんな女をそばに置いたら、俺の人生が終了する気がする。


 アダマンタイトの冒険者プレートを受け取り、さっさとおさらば、200歳以上年上って、とんでもないババア? 見た目はピチピチ、油断したら闇にひきこまれそうだ。


 結局、夜の砂亭の宿に戻って来た、俺って行動範囲がせますぎる。

 体が震えた、震えるほどの超絶美少女がいる。

「 エフロラ・タナラック・ベクラダと申します、都市ベクラダの第三王女です 」

 鈴の成るような声だった。

「 んっ、んーーっ 」

 エフロラって名前、朽ち果てた孤児院の看板で見たような・・・

「 孤児院って関係ある 」

「 はい、わたくしが支援しております 」

「 付いて来い 」

「 はい 」

 背中に長剣を背負った女と、弓を持った女も付いて来る、どうやら護衛のようだ。

 話しかけて来るが無視、

 可愛すぎる、心臓が飛び出しそうにドキドキしている、呆けさらしたらどうしよう。


 朽ち果てた孤児院に到着、「 これがお前のやっている事か 」

 エフロラという第三王女、棒立ち。


 宿に戻ると、女将さん、従業員だけでなく、食堂の客まで集まって、第三王女についての説明を受けている。

 ベクラダの宝石、と言われていて、王族なのに、心優しい女の子、一番人気だとか。

 見た目だけなら納得できる、中身はわからんけど。

 俺は心優しい女性が良い、見た目は、ちょっとだけこだわるかもしれない。


 孤児院の神父とシスターがエフロラ王女の足元に土下座。

「 十分な支援をしているはずです、どういう事ですか 」

「 支援など受けた事がありません、孤児たちが、街でお手伝いなどして、なんとか生きながらえております 」

「 今すぐ! ボラパライ伯爵をここに連れてきなさい! 」


 宿で寛いでいると、女将さんが血相を変えて呼びに来た、エフロラ第三王女が来ているようだ。

 20人以上の、女騎士(多分)、が宿の前の道に。

 孤児院の支援金を、担当貴族であるボラパライ伯爵が着服していた。

 私には毎月、嘘の報告をしていた。

 ボラパライ伯爵とその関係者は極刑をもって対処するという説明を聞いた。

「 俺はお前が一番悪いと思うぞ 」

「 部下に指示だけ、子供にでもできる 」

「 現場現物主義、指示と実際の現場がどうなっているかを確認しさらに指示を出すのが当たり前 」

「 口でなんか言って、いいぱなし、聞いた者はやりたい放題、無責任だからこうなるんだ 」

 若い頃上司に言われたような事がスラスラと出て来る快感なのである、メッチャ気持ちえぇ。


 綺麗な顔、眼がウルウル、大粒の涙がドバーってこぼれる。

「 いや、あの、その、あの、その・・・・ 」

 苦節51年の精神年齢、俺の容姿を怖がり泣き出した子供は数知れず、だが、言葉で美少女を泣かしたことなどあるはずもない、それがぁ・・・

「 お許し下さい、お許し下さい 」

「 俺に謝るな、反省する気があるなら、孤児院を改善することで示せ 」


 メッチャ周りの女騎士に睨みつけらている、眼から殺人光線が照射されている気がする。

 大慌てで、部屋に閉じこもる、剣を抜いてドアを睨みつける、襲ってきたらどうしよう。

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