第14話

 異世界に転生して3ヶ月、Lv37から上がっていない。

 強い魔物討伐、気温の低い地域に行くだけ、レベルを上げる前に死ねる。

 いまのまま薬草採取活動していては、レベルは上がらない。


 宿の前に、因縁のある少女がいる、俺の宿敵、身ぐるみはがされ、ギャン泣きさせられた奴だ、ノンちゃんが少女を威嚇している。

「 お願いです、何でもします、シスターを助けて下さい 」涙ポロポロ

「 シスター? 」

 今の俺は、こいつに襲われても、たぶん勝てる。

 よくわからんが、とりあえず、少女についていく。


 今にも倒壊しそうな建物、中に入ると、教会? みたいだった。

 裸の老婆が、藁の上でぐったりとしている。

 老人が水で湿らせた汚らしい布で、老婆の傷を拭いている。

 十数人の子供に取り囲まれる、「 何でもします、シスターを助けて下さい 」

 頬の皮が剥けて血が出ている、全身青あざだらけ。

「 ヒーリング 」頬の傷に手をかざす、かすかに緑色の光が手から出ている。

 頬の血が止まったので、腫れあがっている青あざにも、ヒーリングをかける。

 魔力が減っている感じはするけれど、余裕がある、魔力量が増えたからかも。


 老婆の呼吸が落ち着いてきた、「 ふぅぅ 」一息つけた。

 商店街の人がやってきて、子供が盗みを働いた、シスターが子供を守ろうとしてボコボコにされたらしい。

 倒壊寸前の建物の周りには畑が、しおれた野菜が少しだけ成っていた。

「 孤児院ですか 」

 老人が頷いた。

 建物やその周り、子供の様子、盗みでもしない限り生きていけないのだと感じた。

「 お前ら、そこの台車を押して付いてこい 」

 城壁の外へ、「 索敵 」ドブネズミやホーンラビットは、草むらの中にいるはずだ。


「 ストーンバレット 」イシツブテを飛ばして、ドブネズミを倒す、「 ストーンバレット 」

 今度はホーンラビット、倒した獲物を台車に乗せる。

 2時間ほど連れまわして、合計14匹。

 子供だけだと、取られるかもしれないので、孤児院まで一緒に戻った。

「 食っていいぞ 」

 孤児院の壊れた看板、“ エフロラ?????? 孤児院 ” かすれていて読めねぇ。

 俺がかかわって何かできるわけでも無い、そのまま宿に戻った。


 宿の部屋で寝ていると冒険者ギルドから呼び出された、大部屋、周りは冒険者だらけ、生きて帰る事ができるのだろうか。

 ギルマスの部屋に入れると期待したのに、全裸石造が気になっていたのだが、もっと気になる人が、エルフ?


 葉っぱを適当に体に張り付けたような恰好、耳が尖っている、もう一人、鬼のような全裸男、

 鬼のような巨体全裸男は、ベクラダの騎士隊長ダムロン、エルフの女性は、森の魔守り人ポンサックと名乗った。

 騎士隊長が全裸男ってあきれてしまった、男の種族はバーバリアン、種族の誇りにかけて服は着ないらしい、まったく理解しがたい種族である。


 都市ベクラダの北側には、ゲサック山脈がそびえている、山脈のあたりから、魔獣たちが住む場所、魔界と呼び、常に北の方向において警戒を続けていると知った。

 10000匹を超える、オークがゲサック山脈をベクラダ方向に移動している、このままだと、10000匹を超えるオークが都市ベクラダを襲ってくる事になる。

 この規模になると上位種である、オークジェネラルが、オークの群れを先導しているはず。


 ベクラダ軍、冒険者ギルト両方とも、戦うのではなく、ベクラダを放棄していかに市民を逃がすかという話だった。

 最初に情報を持ち込んだのがエルフのポンサック、ベクラダ軍が、飛竜に乗り状況を確認。

 ゴブリン10000匹なら、なんとか戦えるかもしれないが、オークだと勝ち目が無いと言い切った。

 俺達冒険者は、オークを攪乱し、少しでも到着を遅らせる、ベクラダ軍は市民の避難を優先、役割分担。

 あきらかに、冒険者は死ね、ベクラダ軍は逃げるぞって感じだ。


「 オークの進行ルートってわかりますか 」

 山の木を倒しながら移動しているわけではなく、林道を使って移動しているので、ルートは予測できる範囲にある。

「 魔導士様、何かありますか 」俺って、魔導士・貴族 この中で一目置かれているのだと気づいた。

「 少し考えをまとめさせてください 」

 ゲサック山脈越え、都市ベクラダまで山を3つ超える必要がある、やってくるのは、10日から14後、真ん中の山にオークの群れが入ったら山事吹き飛ばすかぁ。


 よく似た事を、ゲームでやった事がある、敵軍を廃城に集め、城がある山ごと吹き飛ばした、できない事はないはず。

 グリモワールのページをめくる、巨大魔石、魔石はアクセサリー扱い、取り出す事ができる、この魔石は星を破壊できるほどの、ドラゴンを討伐して入手した、あくまでゲームで現実ではないのだが、魔石は手元にある。

 こいつを破壊すれば、山の一つや二つ吹き飛ばせるはずだ。

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