第13話
宿の女将さん達に捕まった、午後3時頃、昼の大忙しがひと段落、夜の仕込みの合間、空白の時間、うっかり戻ってきたわけだ。
「 タクヤ 冒険者のほうはどうなの 」
女将さん、おばさんの従業員、若いお姉さんの従業員、ノンちゃんも同じテーブルの前に着席。
「 ぼちぼちです 」
「 城壁の見回り、それとも、農地の草抜き、野菜の収穫、どんな仕事をしているの 」
「 薬草の採取です 」
「 嘘はダメよ、城壁の外じゃない、それに魔獣も出るのよ 」
「 銅プレート、いや、鉄プレートじゃないとソロでは無理ね 」
冒険者のお客が多いので、ある程度は詳しいようだ。
これは、チャンスかもしれない。
「 あの、俺、金プレートですけど 」
「 嘘おっしゃい! 」
床に正座させられている、日本男子としては泣かされたくはない。
金プレートと見せたら、激怒、金プレートは没収。
「 あ、あの、お願いですから、どうか獣舎番のお爺さんに聞いて下さい 」
半泣きというか必死である。
お爺さんは間違い無い、金プレートだと言ったから、女将さんは金プレートを握りしめておろおろ。
「 冒険者ギルドに聞きに行ってくる 」
出て行った。
立ち上がろうとしたら、「 正座! 」ノンちゃんに睨みつけらている。
蒼白な顔した女将さんが戻ってきた。
女将さん土下座して頭を床に押し付けている、「 魔導士様、お許し下さい、お貴族様おゆるしおぉ 」
ノンちゃんが叫んでいる、 「 信じられない、弱いし、泣き虫だし、怖がりだし、ヘタレだし、そんな人が魔導士様だったら、世界が終わるぅ 」
「 大切なイメージをブチ壊して申し訳ありません 」土下座して謝るしかねぇ。
黙っていたほうが良かったような気がしてきた。
やっと解放してもらい、宿の部屋に、グリモワールをペラペラめくりながら、魔法のレベル確認、中級魔法を使えるようにするには、Lv80、無詠唱で低級魔法を使うには Lv50 にまで上げる必要がある。
今のうちにレベルを上げておかないと、破滅するような予感がしてきた。
蟻の巣とか蜂の巣とか探してみるか。
蜂を見つけた、リボンを巻き付けて、それを追いかけ巣の場所を特定するのが、上等手段、小指の先っちょくらいの蜂ならできるけど、腕よりデカイ蜂、近づく勇気は無かった。
蟻の巣を探す、この前猛毒をかけた蟻柄の所に、大きな穴が開いている、
索敵魔法を発動、穴の中に何かいる。
「 ウオーター 」穴に水を入れる、相当深いのかもなかなか一杯にならない。
「 ひぃえぇーーーーっ! 」穴から、巨大な蛇が飛び出てきた。
「 シャァーーー 」鎌首を持ち上げ威嚇されている。
こっちとら、心の準備不足、いきなり飛び出てきたので、尻もちをついているし、手も足も震えている。
水を手の平から出していたので、そのまま蛇にかける、少しは嫌がっているようだが、ダメージが入っているとは思えない
。
慌てて立ち上がろうとしたが、膝が笑ってしまい、再び尻もち。
「 ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ 」
腰に差していた、鋼の剣を無茶苦茶に振り回す。
蛇は口から紫色の粘液を吐き出した。
体が腐っていきそうな、毒だっ!
Lvが上がった影響なのか、動けなくなるとか、即死することはなさそうだがじわじわ体を侵食しているのがわかる。
俺から離れ、様子を伺っている、どうやら毒で死ぬのを待っているようだ。
蛇との距離が捕れた、グリモワールから毒消しのポーションを取り出し、飲む。
あっさりと毒が消えた。
立ち上がる事ができた。
巨大蛇の眼が大きく開く、状況を飲み込めていないようだ。
「 ダーク 」「 エヤーカッター 」「 フォアボール 」「 ストーンバレット 」「 ウォーターカッター 」魔法攻撃。
魔法攻撃を繰り返し、巨大蛇が力尽きるまで、続けた。
いきなりのレベルアップが来た、Lv37になった。
かなりの大物だったのかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます