第12話

 いつもガヤガヤしている冒険者ギルド、顔を出すと静かだった。

 この世界に来て初めて、腰布だけじゃなくて、ローブを肩から羽織っている人を見た。

「 来たわね 」「 噂どうりかしら 」

「 えっ、俺? 」

「 確認するけど、男ですわね 」

「 はぁ、男ですけど 」

「 素晴らしい容姿です、気に入りましたわ 」

 そいつは、いきなり、俺の腰布をめくりあげた、女性に腰布をめくられるのは2度目である。

 ジー ジー 不詳の相棒をガン観されているのがわかる。


「 最高ですわ、これほどチッコイの初めて観てみましたわ 」

 1人に成ったら、すねてやる、いじけてやる、心の叫びである。


「 わたくしが、囲ってあげます、付いてきなさい 」

「 意味が分かりません 」

「 バカなの、冒険者なんて、もともとバカでしたね 」

「 わたくしは、貴族ですの、囲ってやると申しておりますの、大変な名誉です、黙ってついてらっしゃい 」

「 お断りします 」

「 なんですてぇ 」突然そいつはブチギレた。


「 わたくしに逆らうなんて、思い知りなさい 」

「 炎の精霊よ、リフォリカル・バドラチュラの名において、力を求めます、ファイヤーボール 」

 魔法の呪文だとすぐにわかったので、急いで距離を取る。

 ギルドの中でファイヤーボール、こいつアホなのか、常識が欠如している。


「 ウオーターボール 」でファイヤーボールを打ち消す。

「 生意気なぁ! 」女は逆上した。

 物凄い早口で呪文を唱える。

「 炎の精霊よ、リフォリカル・バドラチュラの名において、力を求めます、ファイヤーボール 」

「 炎の精霊よ、リフォリカル・バドラチュラの名において、力を求めます、ファイヤーボール 」

「 炎の精霊よ、リフォリカル・バドラチュラの名において、力を求めます、ファイヤーボール 」

 呪文が長い、早口でも、ウオーターボールと言うだけで殺傷できる。


 女はよろける、はぁ、はぁ、ぜぃ、ぜぃ 魔力切れらしい。

「 お嬢様、加勢いたします、タイミングを合わせます 」近くにいた二人と女が一斉に同じ呪文を唱える。


 ファイヤーボール 3連発同時、レベル30になって、魔法の同時発動ができるようになっているので、ウオーターボールを同時に3発打ち出して殺傷。


 女は尻もちを付き、二人の護衛は口をパクパク。

「 護衛が頭を下げた、大変失礼しました、魔導士様、謝罪は改めていたします 」

 2人は女を抱えて、ギルドから飛び出して行った。


 魔導士様って?


 俺はギルマスの部屋に連れ込まれた、目の前には、真っ赤な髪をした、ボッキュンボンの言葉通りのほとんど裸の女がいる。

 チャンダクマさんがキオツケしている。

 女は腰巻をしているが、部屋には等身大サイズの全裸石造が机の横に置いてある、しかも股を広げたポーズ、あそこまで、詳細に作り込んである。

 真っ赤な髪の毛、耳たぶがなかったらメイジ族、魔法に適性がある種族だと聞いている。


「 ギルマスのニラモル・トワンサンよ 」

「 どう、素晴らしい石造でしょ 」


 本人が目の前、石造の何処を観たらよいのかわからない。


「 何者なの? 」

「 タクヤ 銅プレートの冒険者です 」


「 話す気は無いようね、訳ありの高位魔導士様ってとこね 」俺はそんなこと言ってないけど。

「 プレートを金に変更します、当ギルドとしては、魔導士クラスを銅プレートにしておけないのよ 」


「 ギルドの情報を甘くみないでね 」

「 ギルドの中で、ダークとアイスマット、街中でヒールを使ったという報告が上がっているわ 」

「 一体どれほどの、属性を使いこなせるの? 」

「 ウオーターボール 3連射同時なんて、信じられないわ 」

「 わけありの貴族、魔導士様ってとこね 」

「 冒険者の過去を追及するのですか 」

「 気になっただけよ、まぁいいわ 」


 俺的には、股を開いた石造が気になって、アソコの部分、本人と同じ形なのだろうか・・・


 ギルマスとの会談、最初から最後まで意味不明だった、ギルマスの部屋、誰もいないときに忍び込み、石造をじっくり観察したい。


 チャンダクマさん、汗びっしょり。

「 緊張しましたぁ 」

「 直ぐに、金プレートを準備します、お待ちください 」

「 それから、登録では剣士って事になっていますが、魔導士に変更しますから 」睨まれた。


 魔導士って? チャンダクマさんに尋ねたら、メッチャ怒りだした、「 私をおちょくっておられるのですかぁ 」

 怒られただけ、教えてもらえなかった。

 仕方なく、ギルドの資料室、ざっと探した限りでは、それらしいものは無かった。


 いい事思いついた、宿の獣舎番をやっている、お爺さんに聞いてみよう。

 魔導士は魔法を使う人の総称、常識的に貴族だけが魔法を使う、一般人に魔法の才能が現れたら、直ぐに貴族に取り込まれる、すなわち魔導士は貴族である。

 一般的に使える属性は一つだけ、火、水、風、土、光、闇 の6属性がる。

 3属性以上使える魔導士は、高位魔導士、賢者などと呼ばれるという。

 俺全属性の魔法、グリモワールだから関係なく使える。

 今目立つのは、まずいような気がしてきた。

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