第5話

 1階の食堂、一番奥で隅に座り、テーブルについたシミをガン観、料理が出て来るまでこの状況を維持、食堂は7割ほど埋まっている、眼があったら殺されるかもしれない、汗が滲み出るほど熱いのに、冷や汗がダラダラ。

 ノンちゃんの分も食事代を払って、一緒にいてもらおうとしたのに、従業員であるおばさん(ノンちゃんのお母さんが)「 ノン、お手伝いしなさい! 」って、9歳なのに働かされている。


 食堂の客の半分以上は冒険者のようだ、会話に聞き耳を立てている

 下水道から、魔物が出た、新米の冒険者が大けが、ギルドがベテラン冒険者達を集めて、下水道の調査に動きだすらしい、などなどの話が効けた。


 いつの間にか、転生して1週間、まだ生きている、ほとんど宿から出ていないけどね。

 金貨の残りが998枚、あと998ヶ月はこの宿に泊まれる、ずっと引きこもり・・・

「 どうしよう 」

 ふと冒険者の会話を思い出した。

「 下水道か 」

「 下水道だったら、水飲まないはず 」

 思いついたアイデアを実行するのみ、Lvを上げないと街の中も歩けない。


 夜中に行動しようと思ったけど、夜はなんとなく危険、そこで早朝にした。

 時間はいつでも良いけど、それはそれだ。


 ベランダにあるトイレ、宿の共同トイレ、下水道につながっていることを確認済み。

 夜明け前、外は暗い、道には誰も歩いていない。

 グリモワールから、猛毒のポーションを取り出す。

 トイレの穴に、猛毒のポーションを流した。

 1本では薄まって効果がないかも、いまは勝負時、グリモワールには99の猛毒ポーションがある、えーーぃままよ、49本を流した。

 宿の近くの下水道にいる物、なんでもいい、毒で死ねばLvアップにつながるはずだ。

 かけである、人に被害が出たら、殺されるかもしれない、下水なら大丈夫だと思いたい。


 しばらくすると、体の芯が熱くなってきた、下水にいる何かが死んだ、ドンドン体が熱くなってくる。

 夜が明けて、鐘が鳴る、朝食の時間、ノンちゃんが呼びに来る。

 フラフラしながら、食堂に、「 おっ、初めて自力で起きれたね 」


 部屋に戻って来た時は、千鳥足状態、体の芯が熱い、そのままベッドに倒れ込んだ。

 眼が覚めると、夕方になっていた。


 グリモワールを開いてレベルを確認。


 瑠楠 拓哉 ♂ 15歳

 称号 : 女神に愛されし者


 LV : 24

 体力 : 156

 魔力 : 216

 筋力 : 53

 早さ : 58

 運 : 24


 スキルポイント 48


 特殊能力 : グリモワール 異世界言語E


「 やったぜぇ! 」かけに勝った。


 グリモワールをめくり、使えそうな武器と装備を探す、装備レベル15、初心者冒険者の装備、他の者はレベル不足、第9級魔法まで使えるようになった。

 第10級は生活魔法、9級は初級の攻撃魔法である、魔法はグリモワールが記録しているので呼び出して発動すれば良いはず。


 冒険者のレベルがどの程度が知らないが、少なくとも初心者冒険者にはなれるはず。

 腰布から、靴、ズボン、シャツ、皮の胸当、ひじ宛、鉄の短剣、鉄の剣、背負い袋が装備できた、パンツは? 無い、ゲームでは下着はなかった、がっくり。


 部屋を出て、直ぐに部屋に戻る、宿で飯を食っている人達、ほとんど腰布だけの恰好、裸足だし、結局腰布だけ巻き付けて夕食を食べに。

 いつもの隅の席、不思議と周りを見る余裕があった。

 部屋に戻ると、体がまた熱くなった、まだ下水道に流した毒が効いている、慌てて、毒消しのボーションを流す、薄まっているはず、もったいなにので1本だけ、それでもLvがあがるようなら、あと少し追加しよう。

 心がざわつく、人に影響が出たらどうしよう。


 冒険者ギルドに向かって歩いている。

 装備は、腰布、皮のプロテクター 胸、肘、膝、短剣と長兼の兼帯、それに靴。

 ギルドの前、15人が出て行った、9人が入って行った。

 出入りの人数を数えているわけではない、勇気というのか、中に入る心積もりというのか、踏ん切りがつかないのである。

 明日にしようかと悩んでいると、「 おぃ、邪魔 」

 10人ほどが歩いてきた、慌てて移動、ギルドの中に入ってしまっていた。

 邪魔にならないように、隅のほうに。


 完全に危ない世界、ほとんど裸で武器を背負うなどした、人間やめているような人達がゴロゴロいる。

 ゲームではギルドの中をわが物顔で歩いていたのに、ビビッてオシッコちびりそう。

 俺のレベルはすでに26まで上がっている、大丈夫だ! 日本男児だという誇りを、勇気を振り絞れ、足と手の震えが止められない。


 受付のカウンターを確認、受付嬢・・・スゲー美女が3人も・・・

 51年の人生経験、女性に縁がなかった、これほどの美女の前に、トップレスだし、鼻血ぶちまけて気絶する自信がある気がする。

 どっちにしても、前に出る勇気がねぇ。

 受付に行かないと登録できない。


 1時間以上、隅で突っ立っていたら、受付嬢が1人、冒険者達と一緒に、カウンターから離れ、打ち合わせの席に移動した。

 代わりに、頭の禿げたおっさんが受付に、思わず拳を握りしめる、頭の禿げたおっさんなら、どうどうと渡り合える自信がある。

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