第4話

 お姫様抱っこされて、宿の中に、食事のテーブルの上に寝かされている、お、俺、スッポンポンなのです。

 やっと痛みが引いてきて、息がまともにできるようになった。


 女将さん、従業員の叔母さん、従業員のお姉さん、叔母さんの連れ子ノンちゃん、4人の女性に触さわられている。

何が起こっているのか突然過ぎて理解できない。

 51年も童貞を貫き通した強者である、一度も警察のお世話になった事が無い、常識ある社会人であれど、女性に触られたら、一瞬であった。

「 ちゃんと 勃起するじゃないかぁ 」

「 大丈夫みたいですね 」

 4人の女性は代わる代わるずっと触っている、鋼鉄の意思を持っても耐えられなかった。

 ★:*:・'゜☆。.:*:・'゜★゜'・:*:.。.:*: :*:・'゜☆。.:*:・'゜★゜'・・'゜★゜'・★

 おしっこじゃない物を洩らした。


 宿の部屋、ベッドの上、頭からシーツをかぶり、あふれ出る涙を我慢しようと頑張っている。


「 おわた、異世界転生2日して完全に、おわた 」


 絶望が心を覆いつくしかけていたのだが、苦節51年ついに触ってもらえたなんて思うと、嬉しくて顔がにやけて来るのを抑えられない。

 ベッドの上で悶える変態がいた。


 転生3日目、部屋に閉じこもっている。

 イカツイ冒険者に脅されたならば、まだまし、俺より小さい少女に身包み剥がされた、外に出られるわけがねぇ。


 異世界転生したら、盗賊に襲われている、お姫様を助けるとか、絡んで来る冒険者を叩きのメスとか、魔物に襲われている美女の商人を助けるとか、そういったイベントがあるはずなのに、現実はスライムに殺されかけ、ドブネズミに追いかけまわされ、少女に身包み剥がされた、あまりにも違った。


 4日目 昨日は朝食を部屋に持ってきてくれたけれど、食べに降りてこいと言われた。

 ノンちゃんが部屋に来ている。

「 私の舎弟にしてあげる、安心しろ 」 確か9歳の女の子どうしたらよいのかわからない。

 日本男児精神年齢51歳という、崇高な精神が砕け散りそうである。


 ノンちゃんに連れられて、再び腰布を買いにやってきた。

 手をつないでもらっているので、両手で隠せない、片手でも十分隠せるけどね、前世では立派だったと自負している、反転しているから、こうなってしまった。

 俺もノンちゃんも全裸である、恥ずかしくて顔から火が出そう。

「 この前買いにきた坊主か 」

「 小さな女の子に袋にされて、身ぐるみはがされて、ギャン泣き、仕方ないから私がついてきてやった 」ノンちゃん、その説明はあんまりです。


 お客だぞ、いつまで笑いこげているのだ、早く売ってくれよ、こっちとら全裸なのだよ。

 腰布装着、これだけでも心の余裕というか安心感半端ねぇ、草の弦で縛った腰布を胸の所に両手で抱きしめてキョロキョロ、危険が溢れた世界、9歳の少女の護衛なんてなんの心の足しにもならない。

 歩いていると、女の子の3人組が、1人はゴブリンの腰布を巻いている、無意識に内股に、体が震える、「 あれにやられたのかぁ 」

 ノンちゃんは、女の子達を追い払ってくれた。

 すごくほっとしたけれど、情けなくて泣きそうだ。


 5日目

 ようやく、普通の腰巻を巻いてほっこり、部屋にはノンちゃんがいる、9歳と言えど女の子、部屋に2人きり、51年の人生経験が、おもいっきり足を引っ張る。

 喉カラカラ、半端ねぇ緊張、ノンちゃんは全裸である。

 襲いかかられたらどうしよう、勝てる気がしない。

 冒険者に成りたいという考えを話した。


 夜の砂亭 には獣舎が併設していると知った。

 車が無い世界、移動に動物を使用している、その動物を世話をする獣舎が宿には併設してるのが一般的だと知った。

 図書館にでも籠ってこの世界の常識を理解する必要がある。


 その獣舎にノンちゃんに連れてこられた、獣舎にいるお爺さんが、昔冒険者だったらしい。

 そのお爺さんは、獣舎で寝泊まりしながら、客の足代わりの動物の世話をしている。

 お爺さんに冒険者の話を聞かせてもらっている。


 誰でも冒険者に成れる、実力に見合った依頼を受ける事、金に目がくらんで実力以上の依頼を受けたら死ぬ、将来の事を考えろ。

 お爺さんは、若い頃は有名な冒険者だったとか、腕と若さに任せ、冒険を楽しみ、得たお金は、女と博打と装備に変えていた、いつの間にか歳を取り、仲間が1人、また1人と、魔獣に殺され、気が付いたら1人、体が思うように動かない、まともな依頼が受けられない、定宿にしていた夜の砂亭の女将さんの好意で、獣舎番の仕事をもらえなかったら、野タレ死んでいた、遊ぶ事無く、動けるときにお金をため、老後に回す、冒険者が向いていなかったら、直ぐにやめて他の仕事を探す、そうしないと、歳を取ったら野タレ死ぬ運命だとか。


 冒険者になって、世界を旅して、軽く考えていた気持ちが萎えた。


 現実は厳しい、甘くなかった。

 ノンちゃんにはっきり言われた 「 弱くて泣き虫は、冒険者に向いていない 」

 ガァーーーン

 宿の部屋、頭からシーツをかぶり瞑想。

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