第4話 将軍様と忘却少女
「と、言うわけでこの子今日から私の子だから、縁談は全部断ってね♪」
「何がと言うわけで、ですか!聞いてないですよ!!」
少女はあれよこれよと女性に連れてこられ、今目の前で何か言い争いをしている
「だってアオイに言ったら絶対反対するじゃん、だから言わなかったんだよ?」
「くっ...と、とにかくその子を元いた場所に返してきてください!将軍様が出来ないならこの私めが返してきます!」
アオイと呼ばれた者が少女の袖を掴もうとすると少女はするりとかわして将軍と呼ばれた女性の背中に隠れると少女は将軍にお腹に腕を回され抱きつかれた
「ごめんねえ、ウチのアオイが怖かったでしょ...あ、そういえば君の名前だけど...えっと、どこにしまったっけ」
後ろの棚のから一枚の紙を取り少女に持たせる
「これって私の名前?」
「そう、今日から君の名前はセツナ...セツナ・サクラバ...セツナは今日から私の子だよ!」
セツナと名を貰った少女は頭を撫でられるとむず痒い気持ちになった
「ちなみに私の名前はクアン・サクラバね、これからは私の事を母上かママって呼ぶ事いい?」
「うん...えっとははうえ?」
「は?かわいいんだが...アオイ、用事が出来たから後は任せた、上手く言っといてくれ」
クオンはそれだけ言い残すとセツナを抱え何処かに行ってしまい、その場に残されたアオイは息を吸い込んでおもいっきり叫んだ
「ふ、ふざけんなーーーー!!」
この叫びで城にいた部下達が流れ込んできたのは言うまでもない
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
セツナを抱えたクオンは自分の部屋に来ていた
「さあ、今日からここで私と住むの...ちょっと汚いけど」
案内されたクオンの部屋は汚かった、服が散乱しているわ、団子の串だろうかその串だったり、酒瓶だったりとそこら中に落ちており足の踏み場が存在していなかった、セツナは何かのスイッチが入った音がした
「クオン...降ろして」
「ん?どうしたの?」
「降ろして!!」
「あ、はい」
セツナのあまりの形相にビビってクオンは素直に降ろすと、セツナはどこからか袋を取り出し、部屋のゴミだったり服を分けていった、その光景にクオンは思わずセツナに聞いた
「ええっと...セツナちゃん、何しての?」
「片付け、流石にこんな汚部屋じゃ住めないよ」
「もう、セツナちゃんがそこまでする必要ないのよ?」
クオンの話を聞いていないのか、聞く気がないのかセツナはテキパキと片付けを続けているとセツナがボソリと聞こえるように呟いた
「自分の部屋の片付けが出来ない人を母上とは呼びたくありません、呼んで欲しいなら片付けるのを手伝ってよ、クオン」
セツナはまだ出会って間もない将軍に対して言い放った、セツナという名前を貰った恩など微塵も感じないぐらいに言いきった、この発言に対してクオンはというと
「喜んで、手伝わせていただきます!」
もう自分が将軍だとかそういうのは忘れていた、クオンの頭の中にあるのはさっさと片付けて再び母上と呼ばれる事しか頭の中にはなかった
掃除を初めてものの数十分で部屋は綺麗になる、セツナが最後の服をたたみ終えると勢いよく抱きしめられた
「終わった...ちゃんと自分で片付けたから、早く私の事を「母上」と!」
「ご、ごめんなさい...なんか失礼な事しちゃって」
セツナは我に帰り謝ったがクオンは
「そんな事ないわ、寧ろ嬉しかった、遠慮なく言ってくれて...時間が必要だと思っていたもの、これからも遠慮なんかいらないからね?」
「う、うん...ありがとう、母上」
セツナがお礼を言うとクオンは抱きかかえて床に敷いている布団の上に寝転ぶと
「いちいち可愛いの何?」
とセツナからすれば訳の分からない、いや意味はわかるがわからない言葉を言われクオンはセツナを抱きしめてそのまま寝てしまい、それに釣られるかのようにセツナも目を閉じた...2人はアオイが起こしに来るまで幸せそうな表情で寝ていた
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