第3話 私は...誰?

漁師たちは現在魚を収穫するために網業を行っていた、そんな中1人の男が何かを発見し、声を掛けた


「おーい!ちょっと網引っ張る手止めてくれんか!なんか引っかかってらあ!」


合図すると、作業が一旦中断し男が引っかかっている場所まで行く


「おい!!誰か手を貸してくれ!!」


そんな驚く声が聞こえたため、中断して休憩していた男達もなんだなんだと近くに駆け寄ってくる


「人だ!女の子が網に引っかかってるぞ!」


絡みついていた網を外し、少女の状態を確認している


「まだ息がある...おい!急いで沖に戻るぞ!」

「全速力で走っから、しっかり掴まってろよ!」


もう船とは呼べないぐらいのスピードで沖に着くと男は少女を抱えながら医者の元に走り、扉の戸を叩いた


「先生!いるか!?急患なんだ!先生!」


ドンドン!ドンドン!と叩くと勢いよくあき男はビクッとした


「うるさいな!何時だと思ってるのよ!こちとら酒抜けてないのよ!!」

「急患って言ってるだろ!とりあえず見てくれよ、死にかけなんだよこの子!」

「叫ぶんじゃないよ!二日酔いに響くでしょ!!」


先生と呼ばれた女性は少女を受け取ると回復魔法を使い傷を治すと診療所の中の布団に寝かせた


「...それで、何があったの」

「網に引っかかってたんだよ...そんだけだ」

「そう、なら帰っていいわよ、私はこれから二度寝をしなきゃいけないの、ほら帰った帰った、シッシッ」

「...とにかく頼んだからな」


男は少女を先生と呼ばれた女に託すと去っていっていった

女は寝ている少女を見ていると、1人ごとのように呟く

 

「一応不法入国者よね?とりあえずクオン将軍に報告しておきましょう...将軍は子供好きだからきっと君の事は殺しはしないと思うわ」


・・・・・・


・・・



「ん...ゴホッ、ゴホッ!」

「あら、目が覚めた?」


少女は目を覚ますと女が近づいてきて水を受け取って飲むがまたむせるて女は背中をさすってくれていた


「あ...ありがとうございます」

「うん、とりあえずは大丈夫そうね...それじゃあ、あなたの名前から聞くわね...あ、先に私が名乗らないと失礼よね、私はツバキ・レイノルフ、ここで医者をやっているわ...はい、あなたの番」

「あ...は、はい...えっと私は...私の名前...あれ?...思い出せない」

「...なら、他の質問をするわね」


ツバキと名乗る医者は、次々と少女に質問していった、どこから来たのか、どうしてあそこにいたのか、なぜあんなに傷だらけだったのか、少女は全ての質問に「わからない」としか答えなかった


「...ごめんなさい、何も知らなくて...」

「いいのよ、もう聞きたい事は聞いたから、寝ても大丈夫よ」


再び寝に入り次に起きた時には陽が沈んでいた、起きあがろうとすると扉がコンコンと叩かれ、中に1人の大人びた女性が入ってきた


「ツバキ、その子が例の子供かしら?」

「ええ」

「...ふーん、なるほどね...」



舐め回すよう少女を見ると「決めたわ!」と大きい声を出すとビクッと怯える


「この子、記憶がないのよね?」

「ええまあ...!?まさかとは思いますけど」

「そのまさかよ」


女性は腰をおろし少女と目線を合わせる


「ねえ、私の子にならない?」

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