第22話 初心者さん (複数形)

俺は何事もなく第1拠点にたどり着いた。


「え〜っと、部屋の隅に置いとけばいいか」


俺は渡されたパレットを置く。

そしてボタンを押すとキュイーンという機械音を出し始める。


「よし、上手く作動したみたいだな」


俺は試しにパレットの上に立ってみる。

すると、ゴリッと魔力が減ると同時に装置が光る。


気がつくと第2拠点の中にある小屋の中にいた。


「お、成功やな」 「この、機械の仕組みはどういうものだ?」

「使用者の魔力で変わりに転移魔法を発動させるものや」

「使用魔力は200ぐらいだな」

「そうか、ゆくゆくは0にまでさげたいな」

「じゃあ、戻るわ」

「おう、気をつけてな」


また機械を使うと第1拠点に戻る。


「さて、ちょっと周りを探索するか」


俺は外に出て北の洞窟に行く。


すると、案の定十何人かが体育座りしていた


「ねぇ、どうする?」 「モンスターだって言われて街の中には入れなかったし」

「ランダムなんてするんじゃなかったな」

「なぁ、この掲示板に書かれてる地下通路に行ってみようぜ」

「でも、途中でプレイヤーに見つかったらどうするんだよ」

「ここが、安置なんだ。夜になるまでここで待っておこう」

「おい!誰かきたぞ!」 「やべ、魔法魔法」

「武器持っているやつ前に出てくれ!」

「相手は一人だ、数で叩けば何とかなる!」

「おーいちょっとまて、俺はお前らを助けに来たんだよ」

「「「「「「「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」」」」」」」


「いきなりだけど、お前らプレイヤー達にボコボコにされただろ」

「おう」 「あいつら急に襲ってきたんだ」

「俺は言うならお前らの先輩ってやつだ」

「お前も襲われたのか?」

「あぁ、そのまま返り討ちにしたがな」

「すごいな」 「まさかアンタあの掲示板で地下通路を見つけたって人か?」

「いいや、まぁあってはいるがな」

「え〜、じゃあそこに行ったことがあるんですか?」

「いったも何も、第1発見者だよ」

「え、すげぇ」 「で、俺達になんのようなんだ」

「盗賊団兼魔王軍にスカウトしに来た」

「…えっ」 「まじで?」 「凄くね?」

「まぁここで話すも何だし、アジト行く?」

「「「「「「「「「「「「「「「行きます!」」」」」」」」」」」」」」」


「こっちにあるんですね」 「すげえ」

「そこら辺、罠たっぷりおいているから、触ると死ぬよ」

「うぉ、あぶねー」 「道外れて歩くところだった」

「あっはっは、大丈夫だよ。アンデットには作動しないから」

「心配して損した気分だ」 


「ついたな」 「凄くね?」 「こんな地下に木張りの部屋が…」

「じゃあ、ここのパレットの上に」

「は~い、行きま〜す」


そして転移パレットに乗った人から第2拠点に転移していく。


「うぉ、ここはどこだ」 「城の中?」 「すげ~転移した」

「おいおいすごい数連れてきたな」

「おう、ありったけ連れてきた」

「うわ、新入りさんだ!」

「よろしくお願いします」


新しく来た人は15人

いずれも最近始めたばかりの初心者さんだ

スケルトンが2人

ゾンビが2人

ミイラが2人

ゴーストが3人

ウィスプが2人

リビングアーマーが2人


そして…


「あなたの種族がえっと…」 「ホムンクルスです。」

「ホムンクルスってアンデットだったんだ」

「人とあまり変わらない見た目だな」

「私はまだプレイヤーにあったことはないのでどう見えるのかは知りませんが」

「で、お名前が…」 「アスカです」 「アスカさんですか」


特殊な種族の人もいた。


「え、なんか増えてるじゃない」

「あ、アステリアさん」

「人がいる」 「あの人は誰ですか?」

「あぁ、紹介しておこう聖女のアステリアさんだ」

「せ、聖女!?」 「それってアンデットとか浄化したりするんですよね?」

「え、やばくね」 「怒らせるなよ」

「そんな恐れられる?」

「浄化って大体アンデット特攻とか付いてるだろ」

「当たり前よ、それが仕事なんだから」

「で、今はお洗濯ですか」

「汚かったからね、それより何よあれ!」

「え、何?」 「あの洗剤って言うものよ。汚れがきれいに落ちるわね」

「そうか、良かったな」 

「教会においてくれないかしら。シスターたち喜ぶと思うわ」

「それは、あなたが外に出てもいいなら考えるわ」

「グロリア!」 「ぜひ頼むわ」 「アステリアも…」

「取りあえず解放は情報を入手してからだな」

「じゃあギルドを訪ねればいいんじゃない?」

「え?」 「ギルドは役所も兼ねてるからね」

「そうなのか。わかった、行ってみる」

「聖女が魔物を助けるなんて馬鹿らしいけどね」 「確かに」


そして新人さんにアジトの説明会をして、新入社員歓迎パーティーが始まった。

もちろん新人さんたちは魔神様から食事を楽しめるやつ

通称、娯楽魂ごらくこんをもらっている。


「じゃあ、メンバーも増えたことだし、カンパ~イ」

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「乾杯!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


保護した3人の子供達と聖女様を入れた総勢29人の宴


「お肉できたよ~」 「「「やったー」」」 「ご飯も炊けたぜ」

「お酒ってここで作ってるの?」 「はい、今は下から取ってきたやつですけどね」

「食堂に冷蔵庫を設置してくださーい」 「考えときまーす」

「お風呂って入ってる?」 「ちゃんと沸かしてるよ」

「新作きたぞ!」 「「「「ラーメンだ!!」」」」

「うわーっ、マンガ肉だ!」 「まじで、食べれるとは」

「うめー」 「美味しいですね」 「このラーメンは僕から出汁を取っています」

「ちょっと待った」 「人骨スープかよ」 「嘘だよww」

「ホネホネ、お前既に酔ってんだろ」 「なんのこと?」

「フラフラじゃねえか」 「ちっさいのはジュースだぞ」

「「わーい」」 「ねぇ、なんで私までジュースなの?」

「え、成人してないでしょ」 「してるわよ、今年で17よ」

「…成人っていくつでしたっけ」 「15よ」

「マジでぇ」 「まぁ、聖職者は慎ましく生きなきゃいけないからね」

「じゃあ、オレンジかりんごどっちがいい?」

「…りんごジュース」



「じゃあ、女子達からお風呂入ってきて」

「わかったわ、覗かないでよ」

「はいはい」 「誰が鎧を見て興奮するんだよ」

「ん?誰かなにか言った?」 「いえ、何も」


ここで14人ぐらいがお風呂に入りに行った。


「…行ったか?」 「あぁ」 「女子達をこの目に焼き付けるぞ!」

「「「「おう」」」」


男子だけだとね…

まぁこういうことになるんですよ



「何なのこの磔の屍たちは」 「気にしないで」


壁にはスケルトン、ゾンビ、リビングアーマーが刺さっていた。


それと、俺がさっきまで持ってた箸が。


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