第21話 爆弾
「いや! 近づかないで」
「大丈夫だよ、コワクナイヨ」
「だいちょうぶじゃない! こわいいい!」
「まてまて、落ち着け冷静になれ」
「わかった、冷静に、…モンスター!」
「あかん、冷静になりすぎた」
「てりゃ」 「うぶぅ」 「ちょっと待て」
「なんですか?」 「なんですか?じゃねえ、何かけた?」
「まぁ、言うなれば冷静になれるおクスリですよ」
「それ、色々とだめじゃない?」 「正確に言うと涼感剤ですね」
「つめた~い!!」 「何かけてんだよ!」
「落ち着いた?」 「うん」 「良かった〜」
「えっと、聞きたいことがあるけどいい?」 「えぇ、私もよ」
「まず、君は誰だい?」
「…女神教、
そのことを聞くと口が閉まらなくなる。ホネホネは顎が外れていた。
「え、ちょっと待て、聖人というか、聖女ってまじで!?」
「えぇ、そうよ」 「アステリアって名前なんだ」「突っ込むところそこか?」
「7聖人ってなんだ?」 「選ばれた七人の聖人、聖女のことよ」
「それじゃあ、アステリア以外に六人、まだいるんだな」
「えぇ、一人は教皇様だから星都から滅多に動かないけど」
「ん?聖都?」 「いいえ、星都よ」
「ふ~ん、あとはね〜」 「次は私の番よ」
「あなた達はアンデットであってる?」 「ああ」 「うん!、そうだよ」
「じゃあ、ここはどこ?」 「もとは廃城だった場所だな」
「廃城?じゃあここはツイヘリヤの近くなの?」
「ツイヘリヤ? てことは2ってことか?」 「街は2つに分かれているわよ」
「うんじゃあ、それで合ってると思う」
「そう、そしたらあの盗賊たちはどこ」 「多分もういないな」
「え?」 「もう、殺しちゃった」 「え、あたな召喚獣じゃないの?」
「召喚獣とかじゃないよ!プンプン!」 「あいにく生粋の魔物だな」
「え、じゃあなんであなた達は自我を持ったり喋れてるの?」
「うーん、強いて言うなら魔神様の力かな?」
「ま、魔神!」 「あ、そうか、魔神様と女神は敵対関係か」
「あなた達、魔王軍ね!」 「そうだけど、まぁ落ち着け」
「何よ!あなた達はあの街に攻め込むつもりね」
「しないから、まって、なんか詠唱始めないで、おねがい!」
「他に聞きたいこととかないのか」
「神聖なる…って何、なにかたくらんでそうで怖いわ」
「何もたくらんでないよ」
「…まぁいいわ、それで、あなた達は何者なの」
「俺達はキュリオシティスペクターズ、盗賊団だな」
「な、悪人じゃないの!」 「人ですらないけどな」 「むぅ」
「で、なんで私をわざわざ助けたのよ」
「うーん、何となく?」 「何となくって、それ魔物や盗賊としてどうなの?」
「…だめかも」 「たしかに」 「そうですね~」
「本当に何なのあなた達は」 「うーん、確かに」
「で、私をどうする気なの」 「取りあえずここで過ごしてもらおうかな」
「奴隷ってことね、わかったわ、だけどあの子達はそんなことはさせないで頂戴」
「そんなことは、しねーよ、ただここで過ごしてもらうだけだ」
「え、いいの?」 「いいのってそれ以外何があるんだよ」
「じゃあ、掃除とかしてもらえると」 「それくらいでいいの?」
「じゃあな〜」 「さ、さようなら」
そういって俺は部屋を出て、一階に降りる。
大広間にはアルマたちがいた。
「よう」 「お嬢ちゃんの目は覚めたようだな」
「あ、聞こえてましたか」 「そりゃあ、ねぇ」
「で、このあとどうするんだ?」
「とりあえず、聖女様の処遇を決めて、この街の地盤を固めたいし、
第1拠点にも一回戻りたいな」 「待て、聖女様ってなんだ?」
「あぁ、かくかくしかじか」
俺は事の経緯を説明する。
「聖女って俺等に取っては爆弾じゃねえか」 「え?」
「いつ、救出するために軍が来てもおかしくない」
「確かに」
「それと、その聖人とか言う奴らが七人もいるんだったら救出に一人ぐらい来てもおかしくはないだろ」
「うーん、どうしようか」 「まぁ来るときは来るときでいいだろ」
「そうか、それじゃ、第1拠点に行ってくる」
「ちょっとまてい!」 「どうしたんだクライン?」
「行くならこれをおいてきてくれ」 「これは?」
「魔法をセットできる魔道具だ。後々転移魔法を使い倒すだろうしな」
「おお、そんなものなんだ。じゃ、取り付けてくる」
「おう、行ってきてくれ」
俺は空を飛び川に沿って、第1拠点へ帰る。
その途中何人かプレイヤーと見られる者が第二の街に向かっているのが見えた。
プレイヤーも進出しているようだ
そして川を登り森に入った所で戦闘音が聞こえる
見に行ってみると何人かがあの大蛇と戦っていた。
「くらえ!」 「魔法行けるよ!」 「おう!」
「やべぇ、毒かかった」 「ポーション飲め!」
「尻尾攻撃来るよ!」 「タンク!」 「うおぉ、シールドバッシュ!」
初々しいな、と思いつつ少し手助けをしてやろう。
蛇に
霊体を出しそのまま蛇に近づく。
「うおぉ!」 「おい、あれなんだ」
「人?蛇に近づいていくぞ」 「おい、そこの人危ないぞ!」
俺はグロリアさんからもらったポーションを蛇にぶっかける。
「ちょ、え、はぁ!」 「え、敵!?」 「傷が回復してるぞ」
蛇は傷が回復すると同時に蛇の鱗の色が赤色に変わっていく。
「へ?強化?」 「おい、不味くね」
「じゃ、頑張ってね」 「「「「「「は?」」」」」」
霊体を解除してまた川を登る。
後ろから破壊音と断末魔が聞こえたのは言わずもがな。
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第21話 爆弾
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