竜は動かず 6
危機は去った。
ドラグニールもなんとか暴発せずにすんだ。
それに関しては最大の功労者は黄丹だろう。各所に連絡をとり、暴動が起こりそうな場所を調べてはその近くの調停士や地元の名士に仲裁を依頼し、ドラグニール全域に目を配って、ジューンが戻るまで大きな混乱を起こさなかった。そのさまは、見ていた者いわく「目が一つとは思えない」とのことだった。
彼女の精励ぶりがわかる証拠に、ボロボロの状態で帰ってきたジューンの身だしなみをととのえるより前に眠ってしまったほどだ。
目が覚めたらシヴァルはどうしたのかと聞いてきた。国に帰ったというと、そうですかと淡泊な答えが返ってきたが、どこか寂しそうにも見えた。もしくはジューンの心情を黄丹に投影しただけかもしれないが……。
ジューンは評議会に報告を終えると、表彰や褒賞をすべて断って一介の調停士にもどった。
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