最終話:月鈴は本当は妖怪ハンター。

さっきの鈴の音は月鈴ユーリンの投げた鈴の音だった。

バレーボールの大きさくらいある鈴がみごとに蜘蛛の頭に当たっていた。

鈴の衝撃をまともに食らった女郎蜘蛛は雄叫びをあげて天井から降りてきた。


「しゃらくさい・・・半妖が・・・おまえらまとめて私の餌食にしてくれるわ」


「あなた「白小蓮はくしょうれん」の成れの果てね・・・」

「今にうちですよ・・・おとなしくこの街から去るなら許します」


「ふん・・・この街には私の餌がわんさかいるんだ、ここから離れるわけには

いかないね」


「ダーリンは部屋の隅にでも行ってて」

「あいつに捕まって血を吸われちゃったらエッチできなくなるからね」


「分かった・・・って言うか月鈴ゆーりん、ずっとエッチエッチって言ってるよな」


「言うのはタダでしょ?」


「死ね、女郎」


「女郎はあんたでしょうが、醜いメス蜘蛛」


「やかましい!!」


そう言うと女郎蜘蛛はまた天井に登ると月鈴ユーリンに向かってクモの糸を次々連射した。

すると月鈴は、どこから出したのか手に剣を持っていていて飛んできたクモの糸を

まるで踊りを舞うように次々切って行った。


月鈴ユーリンがすがさず、呪文を唱えると何十個もの鈴が現れて、その鈴が円を描きながら女郎蜘蛛に向かって飛んで行った。

鈴の攻撃をまともに喰らった女郎蜘蛛はボコボコにされて床に落ちた。


「死ぬのはあなたよ!!」


そう言うと月鈴ユーリンはすかさず宙に舞っていた。

そして女郎蜘蛛のところに舞い降りると、間髪入れず持っていた剣をふるった。

剣は一閃、縦と横に走った。


しばらくすると女郎蜘蛛は頭から胴体まで十時にたち切られて、のたうち回る

間も無く体液を垂れ流して絶命した。


「ダーリンもう出てきてもいいよ、終わっちゃったから」


「うん一部始終見てたよ・・・つうか月鈴ユーリンめちゃ強いじゃん」

「ビビったわ」


「私、実は遊女ってのは仮の姿なの・・・妖怪をやっつけちゃうことが私の

本来のお仕事」


月鈴は本当は妖怪ハンターだったのだ。


「え?そうだったの・・・仮の姿って、え?だって、お客取ってるんだよね」


「客なんか取ってないよ・・・それもカムフラージュ」

「私は紗蘭宮に間借りさせてもらってるだけ」


「そうなんだ・・・なんかその話聞いて、めちゃ安心したってか嬉しい」

月鈴ユーリンが毎晩、客取ってると思うと切なかったんだ・・・」


「可愛いダーリン」

「私はダーリン以外、自分の体は許さないの」

「事件解決しちゃったし、だから帰ったらエッチさせてあげるからね」


幸太郎は頚椎骨折するくらい首を縦に振った。


「さ、あとは、おまわりさんたちにお任せして私たちは、とっとと引き上げましょ」


そんな訳で金貸しの主人殺人事件は月鈴の活躍でつつがなく解決した。


紗蘭宮の自分たちの部屋に帰った幸太郎と月鈴・・・そのまま仲良く風呂になんか

入っていた。

幸太郎が見た月鈴ユーリンの体は、そりゃ眩しいくらい美しかった。


(これから俺は、こんな綺麗な体を抱くのか?・・・気後れしそう)


幸太郎は自分のスケベ心を月鈴ユーリンに悟られたくなくて平静を装った。


幸太郎より後に風呂から出てきた月鈴ユーリン、ひとこと言った。


「ダーリン・・・ごめん、なっちゃった・・・」

「え?なったって?・・・なにになったの?」


「生理・・・」


「うそ〜・・・まじ?これからって時に?勘弁しろよ〜」

「アドレナリン出まくってるのに・・・」


「ごめんね・・・教育番組でも見てテンション下げて〜」

「この埋め合わせ生理が終わったら死ぬほどサービスしてあげるからね・・・

機嫌直してね?」


「いいよ、一生エッチできないわけじゃないから・・・」


「私、ダーリンなしじゃ生きていけない」


「俺だって月鈴ユーリンなしじゃ生きていけないよ」


「これからもこの世界でふたりラブラブで妖怪退治してこう、ねダーリン」


幸太郎は月鈴ユーリンの部屋でほんとに教育番組を見てたら、動物が出てきて

馬が交尾してるのを見て、せっかく下げたテンションがまた上がった。


「あ〜月鈴ユーリンとエッチしたい・・・」


ってことで、幸太郎と月鈴はこの先も妖怪を倒しながら逢瀬を重ねて行くのです。

蓮乗国に妖怪、魑魅魍魎がいるかぎり・・・。


これにて蓮乗国歓楽街奇聞録、終演でございます。


おっしまい。

最後まで読んでくださってありがとうございました。






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蓮乗国歓楽街奇聞録。〜極上の月・遊女の囁き〜 猫野 尻尾 @amanotenshi

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