第84話 疑うべきは……
メーテ絡みの件で危うく拷問されそうになった俺だが、ミリアやローチたち、さらにカザタムの人々が協力をして救出してくれたおかげでなんとか助かった。
だが、捕らえられたのが現役の王国騎士ということにゴンザレス町長たちは衝撃を受けていたようだ。
「一体何が起きているというんだ……」
拷問騎士とその配下たちをカザタム自警団が管理する牢屋へと移送してから、俺たちは町長の家を訪れて経緯を報告。ゴンザレス町長は困惑していたが、その横では同じく騎士団に所属するローチたちが憤慨していた。
「騎士としての矜持を忘れてあのような行為に手を染めるなど……情けない」
正義感の強いローチは同僚の行いを知って激怒。
デビットやベックも同じく怒りの感情をあらわにしていた。
「ローチ、気持ちは分かりますが落ち着いてください。メーテ様が怯えていますから」
「む? す、すまん……」
怖がっていたメーテの姿を視界に捉えたジェニーが止めに入り、ローチたちは少し冷静さを取り戻す。
――さて、本題はここからだ。
「連中が単独で行動していたとは思えません。メーテの力を欲する何者かの指示を受け、動いていたのでしょう」
「正規の騎士を好き勝手に動かせるような人物となると相当な権力者――それこそ貴族でしょうな」
「っ!」
貴族の単語をゴンザレス町長が口走った瞬間、ミリアの体がビクッと強張る。
……やっぱり彼女もそう思っているのかな。
「しかし、そうなってくると捕えている者たちの身柄を受け取りに来る騎士たちも信用しづらいですね」
そう口にしたのはローチだった。
自身が所属している組織だからこそ、思うところがあるのだろう。
せめて、身柄を預ける前にヤツらから黒幕の名を引き出しておきたいが……それは絶対に叶わないだろうな。
「さて……どうしたものか」
考えれば考えるほど泥沼にハマっていくような感覚になる。
そんな重苦しい空気を切り裂くがごとく、町長の家にひとりの男性が駆けこんできた。
「ゴンザレス町長、大変です!」
かなり慌てた様子だが、今度は一体何が起きたんだ?
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