第65話 情報収集
俺とミリア、それにメーテの三人は町で情報収集をしてくれているジェニーたちを公園で遊びながら待っていた。
もちろんそれはメーテのためではあるのだが……どうにも気になってチラチラと町の方へと視線が向けられてしまう。
みんなが集めてくれている情報とは――このカザタムで商会を運営しているマットに関するものだ。彼とは幼い頃からの知り合いで、いわば幼馴染という間柄。お互いに忙しくなってずっと疎遠だったけど、今回の再会でまた以前のような関係になれる。
……そう思っていたのだが、そこに「待った」をかけたのはメーテだった。
彼女は初対面であるはずのマットを警戒する仕草を見せる。
初めて来る場所で初めて会う人だから緊張しているのかもと最初は思ったが、そもそも俺やミリア、そしてリーノ村の人たちと初めて顔を合わせをした時だってあっという間に溶け込むくらい人見知りをしないタイプだ。
だから、直感したのだ。
女神と呼ばれるほどの魔力を有するメーテだからこそ、マットから仕草や口調には出ない何かしらの「嫌な気配」を感じ取ったのではないか、と。
これについてはあくまでも俺の勘だ。
根拠なんてない。
けど、だからといって放置もしておけそうになかった。
しばらく遊んでいると、疲れてしまったのかメーテはベンチに腰を下ろすミリアの膝枕でぐっすり。
こういうところは本当に普通の子どもっぽいんだよなぁ。
「疲れてしまったみたいですわね」
「あぁ……やっぱりこれくらいの年で遠征するのは厳しかったかな」
「仮に置いていったとしても、また地下を通ってわたくしたちに会いに来るはずですわ」
「確かに」
前回の聖牛絡みの案件ではそれに助けられわけだが、今回は出番がなさそう――なんて思っていたらいきなりマットを警戒だからな。
ともかく、みんなが持ち帰った情報を聞いてから判断しよう。
――数時間後。
待ち合わせの時間となり、公園にローチ、ベック、デビットの三人が戻ってきた。
「ただいま戻りました、ソリス様」
「おかえり、三人とも。――って、あれ? ジェニーは?」
「別行動を取っていたのでどこにいるかは……てっきり、もうこちらへ戻ってきているのだとばかり」
「……嫌な予感がするな」
この流れ――すぐにジェニー捜索へ乗り出した方がよさそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます