第29話 新たな計画

 翌日。


 俺は早朝からミリアとメーテ、さらにジェニーやローチたち護衛役を引き連れてリーノ村を訪れた。


 目的は昨日の結果報告。

 当然ながら、ミリアに関する部分だけは伏せておく。


 この辺はもうちょっとハッキリしないことには何とも言えないからな。

 村の人たちの不安を煽るわけにもいかないし。


「父上は喜んでいました。次の期限までにはまだ時間がありますが、しっかり野菜を育てていきましょう」

「もちろんでございます。すでに村の者が新たな栽培のために農場の管理に着手しておりますのでご安心ください」

「仕事が早くて助かるよ。頼もしい限りだ」


 ゼリオル村長宅の窓から外の景色を眺めると、そこには彼の言葉通りに汗を流して働く人々の姿が。


 ――ただ、少し気になることが。


「まだ土地自体は余っていますね」

「あちらの方も畑にできないことはないのですが、如何せん管理できる人員に限りがありましてなぁ……若い子らも減っておりまして……」

「なるほど」


 人口流出、か。

 これは由々しき問題だな。


 前世の世界でもそうだったけど、やはり若い人っていうのは都会住みを希望するものなのかね。

 或いは漠然とした憧れだけで移住するって人も一定数はいそうだ。


 もちろん、都会へ生活の拠点を移したからといって生活が劇的に向上するわけじゃない。

 場合によってはむしろより困窮する事態にだってなり得るのだ。


 とはいえ、若い人たちの希望をないがしろにはできないし、じゃあリーノ村を大都市にしようかと手を打てばせっかくの村の良さが消えてしまいかねない。


 リーノ村の良さをキープしつつ、人口流出を防ぐプランを早急に練る必要があるな。


「そのためにはリーノ村の強さを押し出していくべきだな」

「と、申しますと?」

「……農業かぁ」


 それだと逆戻りなんだよなぁ。

 いや、メーテの力でかつて呼ばれていた【豊饒の大地】に戻りつつはあるんだけど、それを基盤にしてもっと産業を強化していきたい。


 屋敷へ戻ったらアイディアを捻り出してみるか。

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