第3話:新しい出会いと新しい恋を見つけたら。
「だださ、裕太くんに何があったか私、知らないからね、もしここから
どうしてもダイブするって言うのなら、その前にせめて裕太くんに何があったか、
私に話して聞かせてくれないかな?」
裕太は本当は誰かに自分の気持ちを聞いてほしかったこともあって、熟女さんに
自分をフった彼女とのことを話した。
「なるほどね・・・それは辛かったね、いっぱい傷ついたよね、
立ち直るには君の心を分かってくれる誰かとの出会いと時間が必要かな?」
「もし私がここからいなくなったら裕太くんまたここからダイブするつもり
でしょ?」
「状況は変わんないです・・・生きてたって意味ないですから」
「彼女のいない・・・いえ、いてもいなくてももうどうでもいいんです」
「裕太くん・・・そんなにいい男なのにさ、死んじゃったらもったいよ?」
「君の人生はこれからだよ?私は君に死んでほしくないな」
「この先、悲しみに埋もれたまま生きてても辛いだけでしょ?」
「困ったね・・・どうしたら死のうなんて思わないで済むかな?」
「だからもうどうだっていいって言ってるでしょ、僕にかまわないでください」
「じゃ〜さ、君のことを絶対裏切らない彼女と出会えるならっての、どう?」
「新しい恋を見つけたらいいんだよ・・・人生はやり直せるんだよ」
「人を裏切らない人「女性」なんかいないでしょ?」
僕を捨てた彼女は僕のタイプだったんですよ、新しい恋って言ったって彼女以上
の女性が現れるはずないじゃないですか?」
「今はそうかもしれないけど、先のことは誰にも分かんないでしょ?」
「もういいんですって、こんなことで時間無駄にしたくないんです」
「僕なんか生きてたって・・・」
「そうやって落ち込むからいけないんだよ」
「裕太くんは今は悲しみに囚われてるだけ」
「あのね、寿命も来てないのに死んでいい人なんていないの」
「それに親より子供が先に命を絶つなんて一番やっちゃいけない親不孝だよ」
「裕太くんがいなくなったら悲しむ人だってたくさんいるだろうし、逆に
君が生きてるおかげで、幸せになってる人だっているんだからね・・・」
「普段は気付かないかもしれないけど君の存在は貴重で大きいんだよ」
「そんなこと言われると
「うん、だから死ぬ必要なんかないの」
「裕太くんを裏切ったバカ女のために命を落とすなんてありえないよ・・・」
「あ、そうだ、明日はイブだよね・・・それに君の誕生日でもあるし・・・」
「そうですけど・・・なんで知ってるんですか?僕の誕生日」
「そりゃまあ天使だからね・・・」
「で僕の誕生日がどうかしたんですか?」
「死ぬのをやめて、このままマンションに帰って明日、君の誕生日の日にさ
イブの夜にちょとしたプレゼントが届くから・・・それを楽しみに待ってなさい」
「後悔させないから、なにが届くかは開けてびっくり玉手箱」
「ここで、この橋からダイブして死にたかったらそれでもいいけど、そのかわり
この先の人生は永久に闇の中を彷徨うだけだよ・・・今夜は私の言うことを素直に
聞いてマンションに帰りなさい、いいね絶対死ぬんじゃないよ」
そう裕太に釘を刺して熟女の天使はスーッと消えていった。
天使に説得されて裕太の気持ちに少しだけ余裕ができて少しだけ楽になった。
たしかに天使のおばさん、あ、熟女さんが言ってたことは間違ってない。
とりあえず明日まで待ってみようかな。
裕太はなんとなく優しいお姉さんに説得されたみたいに半信半疑のままマンション
に帰った。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます