咄嗟に…

 心の整理をしてみよう。

 

 

 オレは美乃さんが好き。

 真輝斗は、美乃さんの姉の瀬山さんが好き。

 

 で…美乃さんが、真輝斗を好き⁉︎

 

 さらには、瀬山さんは…オレを好きなん⁉︎

 

 

 こ、これは…かなりごっちゃごっちゃな恋の矢印…ですね。

 

 …

 

 困ったな…

 

 

 …

 

 

「どうしたんですか?慶太先輩?」

 

 

 ‼︎

 

 慶太先輩だなんて、オレは心がキュンって締め付けられましたよっ‼︎

 

 

 嬉しいのに切ない…っす。

 

 

「あー、なんでもないよ。大丈夫。」

「そうですか?それよりこの子覚えていますか?」

 

 差し出されたのは、おサルのぬいぐるみだった。

 

 まぁ、気になっていたのは確かなんだよね。

 

 だって、そのぬいぐるみだけさ…めっちゃリボンついてたり、かわいいお洋服着せられてたからさ。

 

 

 ってか、覚えてるとは⁇

 

 

 …

 

 

「えと、この子は…」

 だれよ⁉︎

 

 …

 

 ‼︎

 

 おサルの手を見てピンときた‼︎

 

 

 この子って‼︎

 

 

「アレだ‼︎オレたちが初めて出会った‼︎」

 と、目を見開いて興奮したよね‼︎

 

 

 そして、オレは思いました‼︎

 

 片思いだからなんだってんだよ⁉︎

 

 諦めんのかよ⁉︎って自分に説教いたした。

 

 そうだよ。

 オレは美乃さんが好きなんだ。

 

 だから美乃さんがたとえ真輝斗を好きだったとしても、オレは美乃さんが好きなんだから、アタックするのみだ‼︎

 

 と、気持ちを入れ替えた。

 

 心で瀬山さんにゴメンと呟いた。

 

 

 

 

「その子は、運命の子です」

 美乃さんが大切そうにおサルをギュ〜って抱きしめた。

 

 

 かわいいんだよ…

 

 

 オレもそのまま美乃さんを抱きしめたいくらいですよ? 

 

 

 まぁ、そんなことしたら一気にキモがられてしまうので、やめておきますけどね。

 

 

「大切なんだね。その子」

 

 

「はい‼︎わたし…あの時もう一度会いたいって思ったんです。そしたら、また会えて…すっごく、すんごく嬉しかったです‼︎」

 ニコッ。

 

 かわいすぎだって…

 

 

 

 美乃さんの笑顔を見てオレは思わず抑えきれなくて、

「オレもずっと好きだったし、会いたかったよ」

 と、いつのまにか美乃さんとおサルを抱きしめて包み込んでいたんだよね。

 

 

 …

 

 

 ヤバ…

 

 オレ…咄嗟に抱きしめてるどころか…あの…告白しちゃってね⁉︎

 

 

 だから、また咄嗟に離れたよね。

 

 

「ゴメン」ってさ。

 

 

 美乃さんには、好きな人がいるのに…オレは積極的か‼︎って恥ずかしくなった。

 

 

 そしたら美乃さんが、

「ゴメンなんて謝らないでください。むしろ嬉しいです!」

 と、またもおサルをギュ〜。

 

 

 う、嬉しいとは⁉︎

 

 キモいの間違いじゃなくて⁉︎

 

 

 嬉しいってなんですか⁉︎

 

 

 オレ…勘違いしちゃうんっすけど⁉︎

 

 

 …

 

 

 ⁇

 

 

 続く。

 

 

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