まさかの⁉︎

 オレは一時間目が終わったと同時に、真輝斗のクラスへとダッシュした。

 

 

 早く弁解せねば‼︎と。

 

 

 しかし…

 

 

 いない

 

 

 真輝斗のクラス…誰もおりませんです…。

 

 

 え?

 

 

 そっと真輝斗のクラスの時間割を拝借すると、まさかの家庭科二時間ぶっ通しー…。

 

 

 仕方ない。

 三時間目と四時間目の間に伺うといたしましょうかね。

 

 

 ってさ…

 

 またいないんですけど…?

 

 ‼︎

 

 体育ーーー‼︎

 

 今度は、体育じゃんかよ‼︎

 

 忙しいな、このクラスの時間割ってさ…

 

 

 あー…もう…。

 

 フゥッー

 

 

 オレは大きなため息をついて教室に戻った。

 

 

 そしてとてもいいことを閃いた。

 

 

 携帯に連絡したらいいんじゃね⁉︎と。

 

 

 とりあえず言い訳とかを文章で送るのは…なんかアレだから、今日の放課後時間ある?って入れようとしたけど…学校で携帯禁止だから、家に帰らないと連絡不可なことを思い出した。

 

 

 …

 

 

 だからオレはもう一度、昼休みに真輝斗の元へと向かった。

 

 

 そしたら、放課後は部活で忙しいから明日ならいいよ。って言われました。

 

 

 よかった〜‼︎

 

 

 真輝斗は、それほど怒っていなかったことにオレは少しホッとした。

 

 

 そして次の日には、きちんと真輝斗にわかってもらえた。

 

 

 なんなら感謝さえされた。

 

 

 瀬山さんとの共通の話題が増えたってね。

 

 

 それはよかった。

 

 

 で、早速真輝斗は瀬山さんと休み時間鳥の話で盛り上がっていた。

 

 楽しそうでなによりだと、オレは安心してトイレに行ったんですけどね…

 

 教室に戻ると、なぜか妹さんもいたんですよ。

 

「美乃、また忘れ物したんだ?」

 と瀬山さんに言われて妹さんが、

「ううん、違うよ。借り物競争」

 と当たり前のように涼しいお顔でおっしゃってました。

 

 

 借り物競争って…

 

 普通、平日の昼間に突如やらないでしょうよってなるけどね。

 

 すると瀬山さんは、真顔で

「何借りるの?」

 なんて受けこたえしてる…

 

 あれですね。

 

 姉、いまさら妹の変な発言に動じないってやつですね。

 

 さすが姉‼︎

 

 そして妹さんは、

「ジャージ、借り物競争ジャージって書いてある予想」

 と。

 

 

 もう…予想とか言っておりますね。

 

 

「あ、ジャージわたし持ってないよ」

 

 姉のその一言にその場にいた皆が一瞬固まったよね。

 

 

 えっ⁉︎どーすんだよ⁉︎ってね。

 

 

 

 で…ほんとにどうするんだろう…?

 

 

 …

 

 

 オレはとりあえずないだろうけど、とある提案をしてみた。

 

 

「オレのかそっか?」

 ってね。

 

 いやいや、大丈夫ですって言われるのがオチですよね。

 

 

 そしたら、まさかの

「ありがとうございます‼︎」

 とのこたえが返ってきましたよ⁉︎

 

 

「えっ、マジでオレのでいいの?」

 オレはびっくりだった。

 

 だって、そんなのイヤですって言われると思ったからね。

 

 

 でも、まさかの受け入れていただいたのでオレはほんとうにジャージを差し出した。

 

 

 まさかのここでジャージを投げ飛ばされてのいらねーよ‼︎か⁉︎

 

 と、内心ドキドキだった。

 

 

 すると…まさかの…

 

 

 オレのジャージは、美乃さんの胸へ包み込まれました。

 

 

 そして…

 

 ジャージをギュッと抱きしめて、

「大切にいたします」

 とのお言葉を頂戴いたしました。

 

 

 いやいや、そんなオレのジャージごときをめっちゃ大切そうに抱きしめて…。

 

 

 それは反則だよー…。

 

 

 オレのハートがドッキンドッキンだよねー‼︎

 

 なんか、オレのジャージとオレのハートって繋がってんじゃね⁉︎ってくらいドキドキした。

 

 

 そんなドキドキ中に、美乃さんの姉が

「着てみたら?ズボンとか落ちない?」

 と、ズバリな発言をしてきた。

 

 

 さすが姉‼︎

 

 妹のサイズよくわかってる〜と、納得していたら、いつのまにかオレのジャージを完全装備していた妹、美乃さん。

 

 

「ゆるい?」

 姉が姉らしく確認していた。

 

 そして、

「だ、大丈夫そうかも。でも少しソデ長いかな?」

 と、少し恥ずかしそうな美乃さん。

 

 

 なんでそんなに恥ずかしそうなんよ⁉︎

 

 オレが照れるってば‼︎

 

 

 その少しダボっとしたところもまたかわいいやん‼︎

 

 

 と、ウハウハなオレなのでありました。

 

 

 まぁ、口に出してそんな発言しませんけどね。

 

 

 でも、ほんとにいきなりやってきた借り物競争に感謝です‼︎

 

 

 そして、ジャージを持っていなかった姉にも感謝です‼︎

 

 と、オレの心は感謝の嵐なのでありました‼︎

 

 

 続く。

 

 

 

 

 

 

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