第2話【出発】

といことで、いよいよ旅立ちの当日となっちゃいました。早朝、3時30分ごろ起床、リムジンバスが朝一番の4時50分の便で予約をしていたからなんですよね。次の便でもフライトには間に合うといえば間に合うんでしょうけど、出国のセキュリティチェックにかなり時間がかかりそうなので、早め早めの行動をしちゃいます。


そういえば、羽田空港第三ターミナルは、国際線の離発着のターミナルなんですけど、セキュリティチェックのゲートが一か所のみなんですよね。成田国際空港だったら、何か所かあるんですけどね。それを踏まえて早めのアクションが必要なんですよね。


早朝、朝一のリムジンバスなので席も結構空いているんだろうなって思っていたんですよね。僕と山田君は早めにバス停に到着したので、僕たちの前に2名の方が待っていらっしゃったんですけど、見る見るうちに人の列ができはじめっちゃいました。バス停の停留の順番は、第二ターミナル➡第一ターミナル➡第三ターミナルの順に停留だったんです。


乗車の時は、人が結構いらっしゃいましたが、さすがに第三ターミナルに停留の際には、乗車人数もかなり少なくなっていましたけどね。リムジンバスの到着場所は出発ロビー階ではなく、階下だったためエレベーターで出発ロビーまで行きます。出発ロビーへ到着した僕と山田君は、荷物を預けるため、チェックインカウンターへ向かいました。予め、オンラインでチェックインをしていたため、スムーズに荷物を預ける手続き開始まで、列に並んで待っていました。間もなくするとチェックインが開始され僕と山田君の荷物を預け、手軽になったところで、まずは外貨へチェンジするため、銀行のエックスチェンジカウンターへ向かいました。とりあえずは1万円をシンガポールドルへチェンジしていれば当日はどうにか過ごせると思い、チェンジしちゃいました。いつもはインドネシアへ渡航することが多いため、日本円の1万円をチェンジすると、かなりの金額になるのですが、シンガポールドルの場合、87ドルにしかならなかったんですよね。まぁ、日本でのチェンジなのでレイトは悪いかとは思いましたけどね。


あらかじめ現地通貨も手に入れて準備もOKとなりました。出国まで3時間以上あるため、まずは朝食を羽田空港第三ターミナルに立ち寄ったときのいつものカフェへ向かいました。僕と山田君は、席を確保しそれぞれ別々にオーダーを済ませました。シンガポールは、今回は雨期・乾期は特にないようですね。赤道直下のためスコールの対策も必要だよねというような他愛のない会話をしながら、お互いの時間を過ごしていたんですよね。

僕はというとシンガポールでの仕事のスケジュールを確認し、行先の場所も地図であらかた確認をしておりました。時間もいい感じのタイミングとなり、僕と山田君はセキュリティチェックへと移動しました。


前回同様、かなりの人がセキュリティチェックのため列をなしており、最後尾も目視では厳しいぐらい人の多さとなっていたんですよね。ほんと、驚かされちゃいます。


山田「酒井さん、すごい人ですね。最後尾ってどこなんでしょうかね。」


僕「あのあたりにプレートを持っている警備の人がいるので、そのあたりだと思いますよ。この列だったので、早めに動いてよかったよね。」


山田「そうですね。」


と、僕と山田君は会話をしつつ最後尾へと並びました。セキュリティチェックのゲートまではまだまだかかりそうでしたね。時間の余裕がありよかったと本当に思いましたよ。列に並んでいると思うんですけど、並んでいる人たちって何を考えながら並んでいるんだろうなって。大半は海外旅行への期待を胸にいだいたり、現地での仕事のスケジュールを考えながらだったり、帰国する人だったり、皆々の思いを持ちながら並んでいるんでしょうね。そうこうしていると割と時間がかからずにセキュリティチェックが終わり、次の関門である出国審査へと移動しました。ここのところ、オート審査になっているようで、パスポートを機械へかざし、その後、顔写真をと取られるといった流れになっているんですよね。時代の進歩ってすごいなって感じながら順番を待っていたんです。


順調に僕と山田君の出国手続きも終わり、搭乗ゲートへ向かいました。早めに向かうとよくあるのが、突然搭乗ゲートが変わったりするんですよね。特に海外の空港の場合が多いですけどね。


僕と山田君が搭乗ゲートの待合エリアで待っていると、今回、僕たちをシンガポールまで運んでくれる機体が目の前にあるのを眺めていました。この搭乗口に待っている人々は今回シンガポールまで同乗する人なんだなってね。この人たちともここで出会っていなければ、それぞれの存在を知る由もなかったんだろうなって思うとなんだか不思議というかご縁を感じちゃいました。

僕と山田君くんが座っていたソファーの前に、アジア系の外国人の家族が搭乗を待っている様子でした。英語での会話だったんですが、何となくその会話が耳に入ってきたんですよね。夫婦の会話では「帰宅したら、お母さんとちゃんと話をしなきゃねって」というような会話だったんですよね。家族の問題で急遽日本から帰国するんだろうなって思いましたね。子供たちは飛行機乗れることを喜んでいるようで、辺りを走り回ったりしていたんですよ。子供には、大人たちの事情は関係ないですからね。


いよいよ最終搭乗のアナウンスが英語で流れてきました。僕は心の中でなんだか湧き上がる期待感を実感しちゃいました。おそらく、山田君も同じだったんだろなって思っちゃいましたね。


搭乗口の前にパスポートとエアーチケットをスタッフが確認し、順に登場ということになります。今回のフライトは航空会社のランキングでもいつもTOPの会社なので、CAさんの立ち振る舞いも安心できるんですよね。今回は席に着いたら、どんな映画が見られるのか楽しみっと密かに思っていました。7時間弱のフライト時間なのでおおよそ3本程度の映画は鑑賞できますね。


山田君の様子を見ていると、彼はシンガポールへの渡航が初めてなので、初めての土地に入るワクワク感が勝っているんだろうなって、気を感じちゃいました。いよいよ僕と山田君の旅行の始まりです。


座席は窓際と真ん中のシートでした。もちろん山田君を窓際の席へ、僕が真ん中へと着席した。通路側へはアジア系の外国人の物静かそうな男性が座ってきました。この時は、その隣の席の男性とシンガポールの旅行中に関わるとは思ってもみなかったんですよね。


機内でリラックスしながらくつろいでいると、あっという間にチャンギ国際空港への着陸態勢のアナウンスが流れてきちゃいましたね。楽しい時間はあっという間に過ぎるものだなって思っていました。無事に着陸し、各自乗客がコンパートメントから荷物を降ろし、タラップから空港内へと向かっていきます。


到着した時間は予定よりも20分程度早く着陸していました。ラッキーでしたね。シンガポールは、僕と山田君を赤道直下の晴天で迎え入れてくれていています。この晴天だけでも気持ちは上がってきちゃいますよね。僕と山田君が入国ゲートへ向かっていると、後ろに先ほどの僕の席の隣に座っていた男性も入国ゲートへを向かっていらっしゃいました。

僕はこの男性も今からシンガポールへ入国するんだなって、入国した後は仕事なのか観光なのか、はたまた、家族、知人の元へ向かうのかと想像が膨らんでいました。


山田「酒井さん、ようやくシンガポールへ入国できますね。俺、すごく楽しみなんですよね。なんたって初めての国ですからね。」


僕「そうだよね。天気も南国の青空が続いているしね。気分が上がっちゃうよね。」


山田「さすがに機内も航空会社TOPだけあって、機内サービスも行き届いた心遣いでしたね。」


僕「そうだよね。機内の時間もすごく重要だよね。」


と、そんな会話をしながら、入国ゲートへ向かいようやく到着しました。

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