ムニちゃん

「やぁムニちゃん」

は辞めろと何回も言っているだろう。ムニダエルだ!! ……その人は?」

「こんにちは、俺の名前はラークって言います」


ムニダエルと呼ばれたその人はメガネを掛けた、実に品行方正な男性だった。

彼の腰には剣が添えられている。

もしかして、剣士なのかな。

 

「この人が剣の指導をして貰うムニちゃんで〜す」

「「えっ」」


突然連れられたと思ったら、そう言う意味だったのかよ!!

ほら、ムニちゃ――ムニダエルも困惑してるじゃないか。


「サーディ……無理矢理連れて来るのはどうかと思うぞ」

「いやいや、この子強くなりたいって言ってたから!!」

「……それはそうだな。宜しくお願いします」

「いやいや、俺はまだ良いとは――」

「――確か貴方、女の子に「実は俺は剣の師範代なんだ……良かったら話を聞こうか」ってナンパしてたよね?」

「ゴッファァァァ!!」

「ナンパしてたの?!」


前言撤回、品行崩壊してたわ。

お前、そのナリでナンパしてるのかよ!!

もしや、真面目ぶってるだけだな!!


「こんな駄目人間だけど、剣の腕は一流だから……」

「駄目人間とは何だ。俺は日々切磋琢磨してるんだぞ」

「モテるために頑張ってるんだよね」

「違っ……くはないが、言い方というものがな!!」


何となく人となりは分かった。

この人はあれだな、モテるためならなんでも頑張るタイプの人だな。

逆に信頼出来るかもしれん。


「それに……最近サフル先生が結婚したんだよね」

「けっ……?! マジ?」

「もし、貴方が本当に師範代になれば……」

「なるほど、なるほどな!!」


何の話か全く分からんが、凄く単純なのは分かった。

よし、何か強請る時はモテ話を引っ張り出すとしよう。


「と、言うわけでだから、お前の師匠となるムニダエルだ!! バシバシ鍛えてやるからな!!」

「よ、宜しくお願いします?」


ここから、俺とムニダエルとの奇妙な師弟関係が始まったのだった。

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