体質実験
「【〈多重詠唱〉魔弾】」
数々の【魔弾】が襲いかかるが、少しの痛み以外は特に外傷は無い。
それもそのはず、本来【魔弾】を喰らった人間はその部位が消し飛ぶのだが、俺は弾かれたのだ。
本来なら痛いじゃ済まないのに、この無傷に近い肉体を見ると凄く変な気持ちになる。
「どう?」
「痛い……けど、怪我は無いな」
感覚的にはボールをぶつけられたような痛みだ。
痛いが耐えられない程じゃない。
だが、まだだ。
俺が本当に気になるのは魔力そのものを弾くのか、それとも他のエネルギーも弾くのかだ。
それによって戦い方が変わってくる。
「行くわよ……本当に怪我しても文句言わないでね!!」
天気が快晴から曇りへと変化する。
薄暗い雲からゴロゴロと轟が響く。
天高き雲の中から、とんでもない攻撃が来る。
「【轟雷】!!」
サーディがそう叫ぶと、雲から煌めく雷が落ちた。
俺の体が光に包まれる。
本来ならば、どんなモンスターも消し飛ぶ威力だ。
感じた事のない痛みが俺の体を襲う。
だが、その痛みが消える事は無い。
「嘘っ……!!」
「は、ははは!! やはり、間違い無かった!!」
俺は魔力そのものを弾くのではなく、エネルギー系の攻撃を弾く!!
最高だ、これは大きな武器になるぞ。
エネルギーへの耐性、これがあればエネルギー攻撃の対処は考えなくて良い!!
俺は物理攻撃にのみ集中すれば良いんだ。
「ふぅ……でも、痛いものは痛いな」
「私の自慢の攻撃を
サーディは呆れたように呟いた。
もし俺がサーディだったら、間違いなく同じ気持ちになっていただろうな。
「ありがとう。俺はまた強くなれる」
「一つ聞きたい事があるわ。何故強くなろうとしてるの?」
「近頃、俺の弟を探す旅に出ようと思ってるんだ。そのためには強くなって損は無いだろ? 世界には強者なんていくらでも居るんだからな」
「ふふ……そうね……ねぇ、貴方に紹介したい人が居るわ。ついてきなさい」
紹介したい人?
俺はその言葉のままにサーディの後を着いていく事にした。
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