魔力実験

「ふぅ……ふぅ……ちょっと楽になってきた」


あの荒治療のお陰で魔力ってのは何なのか感覚的に理解出来た気がする。

魔力は非常に他のエネルギーに変換しやすいんだ。

だからこそ、魔力を媒介にして色々な魔法を使えたり出来るんだな。

言うなれば、電気よりも変換しやすい万能エネルギーってとこだろうか。


で、ここからが重要なんだが……これ多分気絶したの俺の体が魔力を拒絶したからだよな?

ファントムは「少しだけ馴染んでる」と言った。

俺の予想だが、これ魔力染み込ませた程度しか体の中に残ってないんじゃないか?


ファントムは魔力のキャパを超えるととになると言っていた。

だったら、吐き気が終わってきたって事は少量の魔力だけを残して、その他は外に出ていってるって事だろう。


「トム、これ失敗だ」

「え、マジ? 本当だ!! あんだけあった魔力がもうスッカラカンじゃねぇか!!」


魔力との親和性がほぼゼロって事は――つまり、こういう事だったんだな。

魔力との抵抗率が99%、ほとんどの魔力を弾いてしまう。

これじゃ魔法を使うのは辞めた方が良いな。

体質的に無理だったんだ。


「でも、これはこれで武器になるんじゃないか?」

「どういう事だ?」

「世の中にはな【魔弾】や【結界】のような、魔力自体を使って発動する魔法も存在するんだ。魔力を抵抗しちまうんだったら、そういうのも弾いてしまうだろ」

「はは、あまりにも局所的過ぎるな」


確かにそれらを使ってくる奴にはメタを張れるかもだが、世の中は普通に魔力を変換させて使ってくる奴の方が多いだろうからな。


「でもさ、確か石ころ触った時にを感じたよな。魔力以外ならどうだ?」

「いや、あの熱は熱いと勘違いさせただけだな。……だが、魔力が駄目なら魔力以外のエネルギーを使うってのは良い発想だと俺様も思うぜ」


だよな。

確かにあの熱は勘違いだったが、今出てる太陽の光――これは確実に受けてるし感じる。

だが、もし魔力抵抗率じゃなくて、エネルギー抵抗率が99%だと仮定するなら……この光は1%に入るのだろうか。


「よし、決めた。依頼出すか」

「依頼?」

「このままやってっても仮説しか生まれない。だから、実験に付き合ってくれる奴を探す」

「そう上手いこと行くとは思えないけどな〜」


やれるだけやってみよう。

もしかしたら、受けてくれる優しい物好きが居るかもしれないだろ。

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