最高品質の鞘
俺が話しに夢中になっていると、いつの間にか鞘が完成していた。
試しに納めてみると、滑らかに出し入れ出来る事が分かる。
あまりにも自然体に、そして違和感なく納めれる鞘……この一瞬で、俺に合った物を作り出したとでも言うのか?
「……凄いな」
「お褒めに預かり光栄だ」
話を聞いてる限り、この爺さんは元々勇者の剣を作り出した鍛冶師だったっぽい。
……この早業を見せれたから、鞘師でもあるんだろうが。
「鞘の作り方は見て覚えた。所詮素人が作った鞘だが、少なくとも使えねぇ事は無いはずだ」
?????
素人が作った……?
はっはっは、謙遜が上手なんだな。
……ごめん、軽く引いた。
「とにかくありがとう!! また何かあったら来るよ」
「もし賢者ダルタンに会ったら宜しく伝えといてくれ。後、もし暴れん坊将軍のファントムに会ったらボロクソに煽っていてくれ」
あ、これファントムの存在分かってるな。
俺の方……というか、俺の中の方にニヤニヤ顔で……あ、変顔しやがった。
「がーっ!! この酒カス黙ってればいい気になりやがってぇぇぇ!!!」
あ、キレた。
なんかファントム黙ってるな〜って思ってたら、割と因縁の相手みたいな感じだったのかな。
というか、このおっさん酒カスなんだ……。
「お前さん、知ってるか? こいつ勇者死んだ事ショック過ぎて暴れてたらダルタンに封じ込められた馬鹿だぞ」
「あっ、そうなの?!」
「うるさいやい!! おい、ジル。よく俺の友達を死なせたな!!」
ジル――はこの爺さんの名前か。
よくよく考えたら、ジルは勇者の仲間なんだよな。
ファントムからしてみれば、仲間達は勇者を失って帰ってきてるから、勇者を返せ!!――――みたいな感じで恨んでるんだな、きっと。
「どうやらあの
「神獣?」
神獣……動物の形の守り神みたいな感じなのかな?
その子供なら、確かに変な生き物?になるのか。
そもそも他人の精神に入り込める時点で、生き物と言って良いかは怪しいけど。
「お前さんの考えてる事は多分合ってる。神獣というのは元々この世界の管理者のような超常存在達だ。その眷属の一人がアレだな」
「アレ呼ばわりするんじゃねぇ!!」
「よくそんな存在が居る所で魔王は侵略なんか出来たよな」
「…………
「? そうか」
特殊な力?
その感じからして、神獣達はフルパワーを出せて無かったから魔王という害虫を駆除出来なかったんだな。
なんでフルパワー出せなかったかは……ぼちぼち調べていけば分かるか。
「まぁ、何はともあれ鞘作ってくれてありがとう」
「また来いよ」
「二度と行かねぇよ!! ……行かねぇよな、ラーク」
ファントムの絶対にもう行かないでくれオーラが漏れ出ているし隠そうともしていない……。
分かったよ、少しは控えるって。
だから、頭ポカポカ殴る感覚を俺に与えないでくれ。
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