【昔話】語り手爺さんの思い出
勇者の話が知りたいってんなら、まず“勇者の伝承”について話さなければならなねぇな。
勇者が生まれるずっと前、人々は恐るべき魔王の軍勢に恐怖していたんだ。
民家や自然が荒らされようとも抵抗は出来ず、屈強な魔王軍に為す術なく侵略されていったらしい。
儂も詳しくは知らんが、それはもう一言で悲惨と片付けられない程、人々は追い込まれていたそうだ。
そんな最中、生まれたのが勇者だった。
子供ながらに屈強な身体を持ち、モンスターを翻弄し殲滅した伝説を筆頭に様々な伝説を作り上げていった。
彼が青年となった頃、遂にその国の王様が魔王の討伐を依頼した。
勇者は旅の途中で出会った心強い仲間と共に、魔王城へと乗り込んだんだ。
そして魔王と退治し、死闘を繰り広げた結果――
勇者は魔王との同士討ちという形でこの世を去った。
その後、勇者は英雄として伝承に語り継がれ今に至る。
実は昔、儂はモンスターに襲われた事があってな……万事休すと思ったその時に勇者が助けてくれたんだ。
その恩もあってか、勇者やその仲間の武器や防具をよく作ってたものだ。
その中も後に“勇者の剣”と名付けられたその剣は儂の最高傑作と言っても良い一品だった。
勇者が亡くなった以降、儂が保管しようと思っていたんだが……突然ダルタンが「然るべき場所に封じ込めておくべきだ」と言って持ち去ってしまってな。
まさか、霊峰の麓にあった遺跡に隠していたとは思わなかったがな。
「さて、儂の話は以上だ。懐かしい気配を持ってきてありがとうな、小僧」
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