遺物

「薬草採取、ビッグラット討伐、物資運搬……Fランクだから、こんなもんだよな」

「なんか、雑用ばっかじゃない?」


こういうのはコツコツ依頼こなすに限るんだよ。

俺達は新入りなんだから大きな事やらされる訳が無い。


「まぁ早くランク上げるのには賛成かな。ランク上がれば上がる程報酬も旨いらしいし……これは?」


Fランク[遺跡清掃]

依頼主︰冒険者ギルド

報酬︰500ゼノ、100pt

『霊峰の麓にある遺跡の清掃を求む。また、もし遺物を拾ったならば所有して構わない』


「シルク、これ……」

「遺物……なんか凄そう!!」


わざわざ遺物って書いてあるぐらいだから、きっと過去のお宝とかオーパーツとか発掘出来る可能性があるって事だよな?!


(え〜また霊峰行くのかよ……あそこ嫌いなんだけど)

「「これお願いしま〜す!!」」

(………………)


いや、悪かったって。

でもさ、遺物って何か響き良くない?

だって、お宝だぜ?

一攫千金狙うべきだろ!!


「了解しました。清掃道具は必要ですか?」

「一応貰っときます」


お宝、お宝〜楽しみだな〜!!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「「…………」」


成果、ボロボロのガラクタ……以上!!


遺物だって期待したのに、ボロボロの剣に使い物にならない鎧に腐った食料……最早ゴミだろ、これ。


(ギャハハハ!! ほ〜ら、それ見ろ!!)


くっ、自分は関係ないからって煽りやがって……!!

こうなったら意地でも収穫持って帰ってやる!!

そして、その笑い声を枯らしてやるよ。


「シルク、俺奥行ってくるわ」

「いってらっしゃ〜い」


俺は一人遺跡の奥に進む。

不機嫌そうにドスドスと奥へ奥へと進み、遺物が無いか隅から隅までしらみつぶしに探索を進める。


「むっ、この壁怪しくないか?」


そして気づく。

この扉だけ、何故か他の壁より脆い。

やっぱり、何か仕掛けてやがったな?

そりゃどんだけ探してもゴミしか出ない訳だ。

まさか、この俺が地面、天井、壁、全てを観察した結果、発見されるとは思うまい。


(正直、見ててキモ……)

「うるせぇ!! こっちはなりふり構ってられねぇんだよ!!」


脆い壁を蹴り壊すと、あら不思議隠し通路が出てきたな。

見てろ、きっとギャフンと言わせるような遺物が……?!







隠し通路を抜けた先には中庭となっていた。

自然豊かに展示された植物達は庭中を生い茂り、その中央に鎮座する剣があった。


(…………は?)


その時、ファントムは驚愕した。

何故なら、その剣はかつてのの忘れ形見であったからだ。


「おい、なんで……なんで?!」






「なんで、勇者の剣がここにあるんだ!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る