冒険者ギルド

「さて、街に来た所で何をすべきなのか分かるかね?」

「金稼ぎ?」

「その通り、我々は金を稼がないと飢え死にする」


で、さっきファントムの言ってた冒険者ってのになりたいんだけど……トム、なり方分かる?


(それなら、冒険者ギルドってとこで冒険者の登録したら良いんじゃないか? 丁度向こうにある)


お、確かに一際目立つ大きな建物があるな。

あれが冒険者ギルドの建物ね。


「情報によると、冒険者という職業がこの世界にあるらしい。依頼を受けて、その代わりに金を貰う仕事だ」

「まずはその冒険者ってのになる必要があるの?」

「その方が手っ取り早いからな。そして、その冒険者になるには……えーっと……」 

(冒険者ギルドで登録!!)

「そう!! 冒険者ギルドで登録しないといけないらしい。確か、あの建物だ」


思い出させてくれてありがとう、トム。

実は俺説明下手くそなんだよ。

というか、こういうのに慣れてない。


(じゃあ何で先輩風を吹かせてるんだ?)


ファントム君、元の世界では舐められたらそこで終了なんだよ。

こう、少しでも頼り甲斐がある風に見せないと……。


(いや傍から見ても結構情けないぞ今の)


ごはぁ!!


「えーっと……大丈夫?」

「あ、うん。じゃあ、行こうか」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


建物の中はとても活気に溢れていた。

依頼を探す者、ボードゲームを楽しむ者、飲んだくれてる者、ナンパしてる者……とにかく様々な者達が居た。


「お、見慣れねぇ顔だな。依頼してきたのか? それとも、新入りか?」


中に入るや否や近くに居たおっさんに話しかけられた。

確かにここでは俺達は新顔も当然だろうからな。

とりあえず挨拶しとこう。


「こんにちは。俺達は冒険者の登録したくて来たんだ」

「なるほどな。おーいシャール嬢新入りだ!!」


シャール嬢と呼ばれた人物は「ようこそ、冒険者ギルドへ」と丁寧に挨拶をする。

冒険者ギルドの受付だろうか、他の荒くれ者とは違って気品に溢れている。

俺達は受付に近づいて、早速登録の手続きをする事にした。


「ご要件は冒険者になりたいとの事ですね」

「あぁ」

「まずこの紙に記入をお願いします」


これは……個人情報を記入する紙……だよな。

にしては、書く所が少なすぎるというか……。

名前、性別、その他しか無いぞ。

 

「冒険者ギルドでは実力主義となっておりますので、冒険者の身の上を詳しくは問いません。その代わり、問題行動を起こしたり、後に危険な身の上と判断された場合は脱退処分になる事を留意しておいて下さい」


冒険者はいつでも入れる代わりに、いつでも切られる可能性がある。

何があってもその問題はそいつの責任だし、ギルドは責任を負わないって訳だ。


俺達は資料に最低限の情報だけ書いて提出した。

受付はその資料を穴に通して、代わりにカードが出てきた。


「これがギルドカードになります。紛失しないよう大切にお持ち下さい」


仕事が早いな。

こんなあっさり登録が終わるのか。

ギルドカード……冒険者である証みたいなものかな。

右上らへんに書いてある“F”の字と0の数字は何だ?


「右上の文字はギルドの冒険ランクと貢献ポイントとなっています」


冒険ランクと貢献ポイント?

冒険者にも階級があるんだな。

 

「依頼を遂行すればする程ポイントが貯まっていき、一定以上貯まると昇格試験が行う事が出来ます。昇格試験に合格して初めて上のランクに上がり、より高度な依頼を遂行する事が出来ますよ」


つまり、より金稼ぎしたければ数をこなして貢献ポイントを貯めなければならないんだな。

面白いシステムだ。


「ラーク、早速依頼見に行こうよ!!」


シルクが指を差した先には、大量の依頼書が掲示されてあった。

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