第9話
(西野さんって多分モブキャラって認識で合ってるよな…)
賢者モードで唐突にそう思った。高校生の俺の息子は社畜時代に比べて、数倍元気だ。社畜時代は抜く暇さえなかったからなぁ。疲れマラとかはあったけど、やっぱ若さってすげえわ。おかずがなくても勃つんだからすげーよな。
(もうすでにエロゲキャラ攻略ルートみたいなの4、5人くらい辿った気がすんだよな…)
大体攻略キャラクター5人くらいっていうのが、俺のエロゲのイメージなんだけど。1人目はまず由奈ちゃんだろ。ボンッキュッボンって感じの体してる清楚系ビッチって感じの女子大生?だろうし。
で、えーと、2人目は白井先生だろ。26歳、赤大好き、女教師。バリキャリ港区OLみたいな見た目しといて、教師してるっていうのが変なところだ。それに昼休み中に俺に仕掛けてきたんだから、絶対エロゲキャラに違いない。弁当つくるとか変なこと言われたし。
3人目は…山下さんか。山下さんは委員会が同じで、事故でおっぱい触っちゃった子だわ。ツンデレ、貧乳、高身長ていう三点を兼ね備えたなんともエロゲキャラっぽい見た目だ。
4人目…バイト先で説教かました子か。名前なんだっけ。イメージは出てくるし風貌もでてくるんだけど…名前が出てこない。学生証拾った時に名前みたから確実に見てるはずなんだけどな。なんかなんとか子ちゃんだった気がする。
「…りこちゃんだ!」
めっちゃ今脳活性化した。エロゲ的にはきっとバイト先もしくは、学校に転校してきたりして俺の目の前に現れるんだろう。泣かせっちゃったから悪いことしたっていう罪悪感がちょっとあるけど、俺の前には現れては欲しくない。絶対めんどい。
「普通5人くらいだよな、キリいいし。5人目って誰だ。もうきっと出会ってるよな。」
大体こういうのは、部活とか一緒…え、上谷さん?友達の片想い相手に攻略されるとか辛すぎなんだが。たしかに可愛い顔してたし、王道女子高生って感じの風貌だけど。
「てことは、やっぱ西野さんはモブキャラか…」
エロゲキャラからの迫り来るイベントを避けつつ、自分から西野さんとの距離を縮めていくしかない。晃成からの情報によると、西野さんは中学校のときから1人っていうか独自の世界を貫いていて近寄りがたい存在だったらしい。あと貧乳萌えの俺からすると、絶壁の彼女は超タイプである。え、あの子俺の好きな要素散りばめすぎじゃない?てか心の中でくらい名前呼びしてもいいかな。西野すみれちゃんだよね…
「すみれちゃん…すみれちゃんかぁ」
なんか、名前を呼ぶだけでも気分が上がる。まるで初恋でもしてんのかっていうほわほわした気持ちになる。きっと顔だって弛んでる。本人の前ではバレないようにしなくては。
(おっさんの俺も、周りからみたら青春を楽しむ高校生に見えるんだろうな)
友達にだって恵まれてる、部活だって楽しい、バイト先だっていい人しかいない、恋愛だってしてる。俺が憧れてた青春だ。前の時は前のときで、友達とウェイウェイしてそれはそれで楽しかった。ただ男子校で女子いなかったからそういう面では何も無かったけど。
今はよくわからない状況下に、急に放り出されて戸惑ったけどこの状況に感謝すらしてる。けど、急にこの日々が終わって社畜時代に戻ったら、なんて考えたくもない。最近は朝起きて田中和樹であることに喜びを感じてる。やっぱ人生は楽しんだもん勝ちだと思う。
前、朝早く起きてベランダからすみれちゃんを見たから、また見れないかと思って早起きしてた時期があったけど一回も遭遇してない。悲しい現実だ。きっと見られたことに警戒してこの時間帯には、もうきっと現れてくれないだろう。好きな子が、可愛い仕草してるのは見たいのに見れないなんて。
「ま、学校で姿を見れるだけで俺は幸せになるからいいか」
そう思って今日も学校へ登校した。ちなみにこの日は風邪をひいたのか、すみれちゃんが休みで俺のモチベが急激に下がったことを記述しておく。
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