第8話
「全身びしょ濡れの由奈さんから、シャワー浴びてください。なんならお湯溜めてくれても平気なんで、ちゃんとあったまってください。あ、あと服は乾燥機まわしちゃうんで洗濯機の中に入れといてください」
「やっぱ気遣いの鬼じゃん。ありがと!じゃあ、先にシャワー借りるね」
他人が自分の家でシャワーを浴びてる、ってなんか変な感じだ。社畜時代の俺は彼女がいなかったので、こういう経験がないからだけなのかもしれない。…なんか悲しくなってきたな。そういえばシャワーしてもらったのはいいが、服について考えてなかった。とりあえず俺のTシャツとジャージ貸すでいいのかな。
「由奈さーん。一応着替えここに置いておきますね」
俺がTシャツを置くのと、由奈さんが風呂場から出てくるタイミングが同時だった。
「すいません!!!!」
「別に和樹くんだったら平気なのにー…着替え貸してくれてありがと!」
急いで脱衣所を出たが、由奈さんの裸は見えてしまった。おっぱい大きいなあと思ってたけど、やっぱ実物も大きかった。
(乳首は見えてないからセーフ!)
俺はLサイズの服を着てるんだが、由奈さんが着てみても上は袖が長いくらいでちょっと悲しい。なんか、イメージだとぶっかぶかで、ワンピースとかになるイメージなんだけど。
「ごめんズボンの方緩くて落ちてパンツ見えそうだから、ゴムで縛っちゃったんだけど大丈夫?」
「あ、全然いいですよ。それに俺もシャワー浴びてくるんでゆっくりしててください」
乾燥機をつけた後、風呂場に入る。由奈さんが入ったあとの風呂場は、なんかいつもと違っていい匂いがして不思議だった。なんでなんだ。
(てか、めっちゃ腹減った)
リビングに戻ると由奈さんがドライヤーで髪の毛を乾かしているところだった。
「夜ご飯の材料全然ないんで、パスタとかうどんとかそんなんしか作れないんですけどアレルギーとかありますか?」
「アレルギーとか無いし、由奈が作るよ!冷蔵庫見ていい?」
その後冷蔵庫を一通り見た由奈さんが、適当に作ったというご飯はなんかよくわからんオシャレな料理だったけどめっちゃ美味しかった。何かのトマト煮みたいなこと言ってたな。
(なんでエロゲキャラって女子力高い子多いんだろう…)
その後各々課題をやったり、ちょっと話してみたりしてようやく寝るころになった時に問題が発生した。そう、どっちがどこで寝るかだ。
「俺、床で寝るんで嫌じゃなかったらベッド使っていいですよ」
「え、ベッドで寝ていいの?私床で寝るつもりだったよ」
「いや、今日雨にも打たれましたし風邪ひいたら困ると思うんで」
俺自身は潔癖じゃないし、ある程度誰が寝たところで気にしない性格だ。それに一晩くらい床で寝たって、この体だったら全然疲労も溜まらないだろう。
「和樹くん…もし和樹くんが嫌じゃなかったら一緒に寝ない?」
「俺は床で寝るんで大丈夫です。なにより付き合ってもないのにそういうこと言ったらダメですよ、って前言ったじゃないですか」
俺は今立ってる状態で、由奈さんは俺のベッドに座って前屈みになってる。そのせいで谷間とかがバリバリに見えてる。好きな子とこんな状態になったら襲ってたかもしれないが、由奈さんとそういう関係になるつもりは一切ない。
「だから由奈さんと付き合ってない俺は、一緒に寝れない…というか寝たくないです」
「…そっか。じゃあ今日は諦める。悲しいなぁ…和樹くんと一緒に寝れなくて」
由奈さんはむーて感じで納得いかないって感じの顔してたが、そのままお互いに眠りについた。ちなみに翌朝襲われるなんてことがないように、めっちゃ早起きした。また納得いかないって顔をされたが、自衛は大事だ。俺はエロゲキャラなんかじゃなく、自分の好きな子とちゃんと付き合いたいし!
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