第3話

その日は早く目覚めてしまった。ベランダに出て朝日を浴びていると、茶トラの猫がいて目で追っていた。


「にゃー」


そこには、推しボイスをもった西野すみれが猫じゃらしを持って猫と共にじゃれていた。


「なんだあれ。かわいすぎるだろ。もっとやれ」


あんまりにも可愛いのでガン見していたら、視線を感じたのかバッとこっちを見てどっか行ってしまった。顔が真っ赤で可愛かった。


(早朝に起きてテンション下がったけど、いいもん見れて心が潤ったわー)


てかあんな子同僚の言ってたエロゲに居たっけ。なんか黒髪ロングの子を見せつけられたことがない。しかもフツメンの俺に何故か美人が言い寄るっていう現象が起こらない。これは西野さんはモブキャラなのか、それともイベントがまだなのか。前者であってほしい。


(…ん?なんで俺こんなに西野さんのこと考えてるんだ?学生じゃあるまいし)


もしかして…西野さん好き?声はもちろん好きだけど。今の見て?


「え、やば。一回りも下の子好きなの…俺」


時計を見るといつもの起きる時間で、慌てて支度することによって俺はこの感情を一旦忘れることにした。



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「委員会決めるからやりたい委員会に、名前を書いてくれー」


今日のホームルームでは委員会を決めるらしい。


(とっっにかく楽な委員会に入りたい。余ってるし図書委員でいいか。)


チョークを取ろうとしたら女子と手が当たりそうになった。


「あなたも図書委員になりたいの?へー」


あからさまに嫌な顔をされたが、社畜舐めんな。今まで何度その顔を取引先で見たことか。もしやこいつが新たなエロゲキャラか…!?


「全部きれいに埋まったみたいみたいだし、今回は綺麗にいったなぁ」


担任が喜んでるが、またエロゲのキャラに襲われるかもしれないと思うと今後が不安だ。山下花鈴か、一応覚えておくか。同じ委員会だし。


後日、図書委員会の顔合わせがあり彼女と共に参加した。図書委員会といっても活動日数は2ヶ月に1回と、秋の読書週間にキャンペーンをやるくらいで簡単そう、というのが俺の感想だ。委員会終了後、下駄箱まで一緒にいくことになり気まずい空気が流れる。


「あんた鈍臭そうだし、仕事する時あたしの迷惑にならないようにしてよね」


「はぁ…」


唐突に悪口を言われたが、気にしたら負けな気がする。ふんっ。って効果音つきそうな感じだったしただのツンデレキャラなのでは。


「ま、まぁ。あんたのためだったら私が仕事多くやってもいいけど?」


ほらやっぱりそうだ。顔もなんか赤いし。俺の平凡な青春返せと言い出しそうだった。


「きゃっ」


歩いてる途中、叫び声と共に山下さんが転びそうになるからがっつり胸の辺りを掴んで支えてしまった。


(そうだ!!ここエロゲの世界だった!!!)


「だ、大丈夫?」


「あんたなんかに心配される筋合いないわよ!…けどありがと」


最後の方はゴニョゴニョいってたし、顔は真っ赤だし、ツンデレ好きはきっとこういうところに萌えるんだなぁ。


「それからあんただからだけど、あたしの胸触ったことも許したげる。なんか気持ちよかったからこれから触ってもいいんだけど」


「すみません。お断りします。僕急いでるんで!」


思わず逃げるように帰ってしまったのは仕方ないと思う。胸触ったのは許すって言ってたけど彼女貧乳だったから硬かった。俺の思ってるおっぱいとちがう!誰だこんな世界に転生させたやつ、見とけよ。俺がいかにエロゲキャラから逃げられるかを!!

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