第2話
(やっぱり慣れない。何よりエロゲの主人公なんて信じたくも無い!)
2日、3日寝て過ごしてを繰り返してみた俺だが、一向に元の世界に戻ることはなかった。その間気づいたことだが、俺は徒歩15分で通える高校に行く予定で、カラオケ屋でバイトするようだった。もろもろの準備は済んでいたことが唯一の安心材料だった。だけど、準備が整っていて戸惑ったりすることもある。
「俺のときはノートだったのにタブレットでいいのか…」
授業でつかうのはノートではなく、電子化されてタブレットを使用するようだった。細かいところに時代や体力の差を感じて、32歳という年齢は若くないなと今更改めて思う。
(職場では結構若手の部類だったんだけどな。やっぱおっさんじゃん、俺。やば)
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入学式当日になり、俺たち新入生は体育館へと案内された。用意された席に座り、周りを伺うとやたらエロい女教師がいた。幻覚だったと思いたいが、そうじゃない気がする。
(いや、幻覚じゃない。いる)
ウエストをキュッと絞るような赤いスカートに丸い尻。ほどほどに大きな胸。真ん中で分けられたボブヘアーの女教師に俺は内心これが次のエロゲキャラか…!と思う。
(俺はエロゲキャラなんかに負けずに平穏な青春を送ってみせる…!!)
入学式を終え、クラス分け表を見て6組だった俺は6組の教室に向かう。クラスにはもうまばらに人がいて、俺の座席の前にはイケメンが座っていた。こんなイケメンと前後とかフツメンの俺には辛すぎる。どうかいじめられたりしませんように…!!
「俺、高橋晃成!よろしくー」
「あ、俺は田中和樹。こちらこそよろしく」
イケメンは声帯までイケメンらしい。天は二物を与えずを与えずとか言ったのどいつだ。このイケメンには何もかもが揃ってそうじゃないか。なんで世の中こんな不公平なんだ。
「おう、よろしくなー和樹」
そう言って高橋くんは他の男子生徒にも話しかけにいった。
(いや、コミュ力えっぐ。いくら営業だったからって言っても俺には他のクラスメイトにすぐ話に行く行動力は無い。無理だわ凄すぎる)
ホームルームもそこそこに自己紹介が始まった。皆多少緊張しているのか初々しいのがなんだか可愛く思えてしまう。そうか、1ヶ月前までこの子達中学生だもんな。そりゃ可愛くも見えるか。俺の順番が来て適当に挨拶を行った。
「出席番号21番の田中和樹です。趣味はゲームをすることで、部活は美術部にする予定です。よろしくお願いします」
そして順当に他の子の自己紹介があり、適当に聞いていた時だ。
「30番の西野すみれです。趣味はないです。部活も特に入る予定はないです…よろしくお願いします」
(この子、声が社畜時代の癒しだった推しと同じだ!!)
声が好みということもあって、無愛想な態度もそれはそれで普通に可愛いと思ってしまった。しかも俺の好きな重めぱっつんのロングだ。見れば見れば見るほど可愛く思えてきた。どうしよう。
(この世界エロゲだよな?この子に襲われる可能性も全然あるよな!?西野さんって言ってた?なら喜んで受けたい!!)
ホームルームも終わり初日ということで今日はこれで終わりらしい。
「なぁ、和樹。お前ゲーム好きって言ったけど、どんなの好きなの?」
「シューティングゲームとかそういう系が好きかな」
やっぱイケメンの顔面は眩しい。急にこっち向かないでほしい。心臓に悪い。
「マジで?俺もそーゆーのめっっちゃ好き!今日オンラインで放課後やらね?」
「…全然いいけど」
その流れで一緒に帰ることになったし、連絡先の交換もした。わかったことはイケメンは中身までイケメンということだ。やっぱ世の中不公平だ。
「和樹は好きな女子とかできた?」
あー青春だなぁ。多少赤くなった状態で俺に質問してきたイケメンの顔を見るに、イケメンには好きな子ができたらしい。
「俺、上谷さんが良いかもって思ったわ」
はにかむイケメンにまわりを歩いていたおばさんたちが、尊いという眼差しで見守ってくる。たしかにイケメンのはにかみ顔には浄化効果があるかもしれない。
「上谷さん?ごめんまだクラスの子の名前わかんないからどの子かわからないけど、高橋くんが好きになるんだからきっと可愛い子なんだろうね」
「晃成でいいよ。それと好きとかじゃねーし、まだ!」
若いっていいなぁ。ほんとに最近よりそう思う。
「て、てかさぁ!1年1組マジうらやまだよな。あんな先生が担任になるとか」
「1組?あーあのエロかった女の先生が担任とか?」
俺は全く羨ましくない。なぜならこれがエロゲなら間違いなく俺は標的にされる。そんなのごめんだ。教師もののAVで抜いたことがないわけではないが、現実とAVは別物なことくらい理解している。
「そうそう。てかエロいって…まぁ確かにそうだったけどさ。あ、俺道こっちだわ。じゃあなー。夜やろうなー!楽しみにしてるー!」
「うん、じゃあなー」
ゲームは単純に楽しみだが、エロい女教師とはぜひとも関わらずにすごしていきたい。俺が求めてる青春はもっと爽やかな物だ!!
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