第6話 不良娘の魔法
体のバランスが取れない。
頭の重みで後ろにユックリと倒れていく。時間が遅く感じられるのは、興奮による集中状態だったせいか。思考と聴覚だけが鋭敏に研ぎ澄まされる。
観戦席の生徒連中が嘆かわしそうに口にする言葉が聞こえた。
――いくらベリタ相手とはいえ女の子に酷すぎないか?
――あーあ、見応えあったのに。アイツも落第かよ。
――可哀想。
悔しくて目頭に涙がにじむ。
彼らの中で私は「魔法が使えない落ちこぼれ。魔法学校にいるくせに素手で戦う恥知らず」という弱い人間のままなのだ。見下されたゴミのような存在のまま……。
でも、まだ諦めない。
戦う意志が消えないうちは、まだ私は負けていない。
私はそのまま地に体を伏せて、右足を渾身の力で振り上げた。
また私が起き上がるとは思っていなかったのだろう。尻目に捉えた彼の表情は驚きに満ちていた。しかし、流石の冷静さというべきか、瞬きをした次の瞬間には厳粛な顔つきに戻っていた。
「学習しないやつだ。格闘では勝てないと理解できないのか」
油断はしない。挑発にも応じない。今度こそ確実な一撃を与えてみせる。
私は、その体勢から思いきり体を伸ばして蹴りを放とうとした。
「そんなもの……」
教授が再び傘で払おうとする。
しかし、彼は油断していた。
この場にいる全員がそうだったろう。彼らは、私が魔法を使えないと
私が魔法を使えない原因。それを突き詰めると「魔力を魔法へ変えるために働こうとする私の肉体自体に問題がある」という一点に辿り着く。魔力から肉体へ、肉体から魔法へという順序の中で、不具合があるのは肉体。つまり、教授が指で魔法陣を描いたように、
だから、私の靴底に雷魔法の魔法陣が刻まれていると教授が気付いた時にはもう遅かった。
魔法の電撃をぶつけるだけではない。
感電した私の筋肉が
この技に名前を付けるなら、そう……。
〈
白い雷光。稲妻のような凄まじい音が轟く。
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