第20話 ステータス

 まずい。

 ミスったかもしれない。


 調子に乗ってゴブ子の下半身を吹き飛ばしてしまったのは大きなミスだ。


 なんかやっちゃいましたぁ、ではない。

 なんかやっちゃったんだよ。

 ゴブ子に喰われた自分の骨ごと消し飛ばしてしまった事に今気づいた。


 喰われた部位は顔の左半分と右手、右足だったが、私の身体はどんなに粉々になろうともたぶん元に戻すのは可能だ。


 それなのに私の骨感知に引っ掛からないのでこの付近一帯には喰われた私の骨は無いのだろう。


 となると、顔はまぁもはや無くても問題ないが右手と右足は少し困る。

 魔力による空中浮遊を行えば問題はないのだろうが、あれはかなり疲れるのでやりたくない。


 さっきも調子に乗って「ファンネルっ!!」とか言ってビュンビュン骨を飛ばしてたら、前世でも感じたことのない疲労感が全身を襲い、精神的にというか魂がドッと疲れた。


 骨を飛ばすのは割と簡単に出来たのだが、それを長時間維持するのはまだまだ功夫が足りないみたいだ。

 何度も練習すれば出来るようになるといいのだが。

 精進精進。


 そんな理由でせめて足だけでも回収したかった。

 本来ならゴブ子の腹を掻っ捌いて取り出す予定だったが……。


 今も片足でバランスを取りながら立っているが、体力的には疲れないとはいえ精神が疲労する。

 主に面倒臭いという方向で。


「……魔力で欠損した部位を作ればワンチャンいけるか?」


「……ぎ……ゃ、う……」


「? うわぁ……まだ生きてるのか。凄いな」


 流石に死んだと思っていたゴブ子が、上半身だけになりながらも必死に腕を使い這いずり、まだこちらに向かってこようとしていて、ちょっと引く。


「……ゴブ子さんや、何がお前をそこまでさせるのかね?」


 本当にこいつ、何なのだろうか。

 こいつの話を全く聞いてなかったので何をしたいのかさっぱりわからない。


「なんか…、デスゲーム? とかステータス? とか言っていた気がする……」


 ステータスかぁ。

 ステータス。

 そういうの出るタイプの異世界だったりするのだろうか。

 一応、言ってみるか。

 オタクの嗜みとして。


「……す、ステータス」


 ――――シィィィィィィィィィィン。


 出ねぇのかよ。

 恥ずかしいわ。

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