第17話 げろ
何だこれは……。
視界がおかしい。
それに、頭の奥が焼けるようにチリチリする。
頭と身体だけの自分を中心にして上下左右、前も後ろも余すこと無く360度全ての景色を見渡せる。
それだけでなく、この身体の他にもいくつか視点が存在するようだ。
そっちに意識を移すと、そこに映るのは鶏の身体に寄りかかる全身が紫色に染まったボロボロの骨。
こちらの視点も360度全方位を見渡せることが出来るみたいだ。
もう一つは……真っ暗で何も見えない。
見えないが何か、ネッチョリしてるような感覚とそれでいてピリピリと溶けているような感覚がある。
これは、私の骨か?
頭がある身体の視点をメインとして、サブにゴブ子に引っこ抜かれて今は鶏に立て掛けられている手足からの視点。
もう一つは、たぶん、喰われた部位からの視点がある。
只今、胃から中継しております!的な。
え、お前達、生きとったんか!?
「え、すごい便利なんだけど。……あ、待って、なんかすごい気持ち悪い」
マジで吐きそうなくらい気持ち悪い。
頭は無いけど魂の頭的な何かが酷くぐわんぐわんしている。
急に視界が増えて広がったせいなのか、その情報量の多さに頭的な何が焼き切れそうな、意識が飛びそうなくらい負荷がかかっている。
「え、待って。むりむり……お、いけるか……だめだ、吐く吐く吐く吐く…………あ、むり」
……ぐぉ、ぽ……ぐぇぼぉぉぉぇえええろろろっ!!
吐いた。
鶏に立て掛けてある手足から中継しております。
目の前には、毒々しい紫色の襤褸切れを纏い、頭の半分と手足の無いこれまた全身毒々しい紫色をした骸骨がおります。
それが、何やらブツブツと呟いているかと思いきや、
突然、ガバっ!!
と、口を開き、身体と同じような色をした毒々しく酷くねちょっこい粘液のようなゲロを大量に勢いよく吐き出しました。
当然、骸骨の目の前にいた自称JKゴブリンはもろにそれをくらった模様。
ゴブリンの大きな口には骸骨の紫色のゲロが、これでもかこれでもかと押し寄せた次第です。
ちなみに、ゲロを吐き出した本人はとてもスッキリした様子です。
紫色だった全身も、何故か元の真っ白な綺麗な骨に戻っています。
繰り返します、骨はとてもスッキリした様子です。
溜まっていた便秘がやっと解消したような、そんな晴れやかな顔をしております。
現場からは以上です。
「スッキリ!!」
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