第12話 転生したらゴブリンでした〜ユニークスキル『暴食』で私を虐めてたクラスメイトは全員私の糧となる〜 2

 ……そんなわけで、異世界で私は奴らに復讐してざまぁすることに決めた。


 私は小さな胸に手を当て復讐を決意し、ディスプレイに書かれた「異世界デスゲーム、ルール一覧」を読んでいく。


 異世界に行くにあたり、まずはこの白い空間でアバター、異世界での新しい身体を作成しなければいけないらしい。


 まずはステータス画面を開き、アバター作成をするようだ。

 まるでゲームみたい、と思いつつステータスと呟く。


 ――ブンっ


 と音が鳴り、私の目の前に小さなディスプレイが現れた。

 周りにいるこういうことに聡いオタクどもも、私のようにさっさとステータスを開きアバター作りに勤しんでいる。


 こいつらは私と同じように異世界に精通しているから、異世界では厄介な敵になるかもしれない。


 こいつらは直接はいじめに関わってこなかったけど、私がいじめられているのを見て見ぬふりをしていたクソどもだ。


 厄介だろうがこいつらも復讐の対象だ、絶対許さない。


 大きなディスプレイから遠く離れた所にいる私達陰の者とは違い、ディスプレイの前に陣取っているスクールカースト上位の陽の者達は、未だに家に返せだのありえないだのなんで私がーだのと、ぎゃーぎゃーと騒いでいる。

 私の髪の毛を焼いた山下なんてびーびーと涙流して泣いている。


 ふふ、普段偉そうにしている割にテンパってみっともない。

 あの姿を見れただけでこのデスゲームに招待してくれた神に感謝だ。


 ほんの少しだけ溜飲が下がったところで、さぁ、異世界であいつらを叩きのめす為の私の新しい身体を作ろうとしよう。


 アバター作りにはSP、ソウルポイントが必要らしい。

 SPとはその者の魂の強さとか価値とかなんかそんな感じだ。

 説明が長ったらしくて小難しくてよく分からなかったが、なろうとかゲームとかでよくあるポイント割り振って種族とかスキルとか取得していくようなそんな感じのやつだ。


 デスゲームのプレイヤーである私達が設定する項目は、

〈名前〉

〈年齢〉

〈種族〉

〈容姿〉

〈スキル〉

〈転移先〉

 の6つだ。


 レベルはあるが皆一律1からスタートで、筋力や魔力、敏捷などの項目もあったけど初期値は種族で決まるらしい。


 これらを自前のSPと交換して好きに設定するわけだけど……試しに色々見てみよう。


〈名前〉と〈年齢〉は後にして、〈種族〉と〈容姿〉から見てみる。


〈種族〉は定番のスライムから始まり、醜悪なゴブリンに豚人間のオーク、今と変わらない人間、綺麗なエルフに筋肉マンなドワーフなんてのもある。


 所謂魔物とかモンスターとか呼ばれるモノも候補にあるのか。

 私はモンスターなんてなりたくないし、綺麗どころのエルフかはたまた天使なんて上級種族なんてのもいいかもしれない。


 次に〈容姿〉を見てみる。

〈種族〉と〈容姿〉は連動しているみたいで、今の私の容姿が選んだ種族に変化するらしい。


 試しに〈種族〉を10SPと書かれているゴブリンにしてみると、緑色の可愛らしい姿が映し出された。

 ここに来る前の私の容姿の特徴があってよく見れば私だとわかる。


 人間(20SP)を選択すると普段鏡で見ている私が映し出された。

 今と同じ人間を選ぶのにもSPがかかるのはケチ臭い。



〈容姿〉の項目を見てみると、変化した外見を色々といじれるらしい。

 私は今の自分の容姿も嫌いではないので〈種族〉が変わって〈容姿〉が変化しても、今の身体の特徴が上手く出ている変化後の〈容姿〉も変えなくて良いかもしれない。

 この項目は私には関係ないかな。



 次に本命の〈スキル〉の項目を見てみる。


 なろうでよく見るスキルがたくさん並んでいる。

 火属性魔法(100SP)や水属性魔法(100SP)といった魔法系、定番の鑑定(1000SP)やアイテムボックス(1500SP)に、ユニークスキルには七つの大罪(10,000SP)なんかがある。


 さすがにこの辺は必要なSPの桁が変わってくるので、うまいことSPをやり繰りしないと取得できないかな。


 あ、そういえば自分の所持SPってどこで見れるんだろう。

 きっと私のSPはそこそこあると思う。

 だって、今日までいじめにも負けずにまじめに頑張って生きてたんだ。

 ……最後は諦めて死のうとしちゃったけど。

 でも、きっと神様は私の頑張りを見てくれているはず。


 周りのクソどもの話を盗み聞きしたら400〜500くらいが多いみたいだけど、あいつらがそのくらいだとしたら私は控えめに言って最低でも1000はありそう。


 それに、なろうだと私みたいな人が主人公の話が多いし。

 ふふ、スキル選ぶの楽しみだな。


 ええと、下の方にさっきあったような……




 所持SP15




 は?

 ……15?

 嘘だ。

 ありえない。

 なんで、私のSPがこんなに、低いの?

 私の魂の価値が、たったの、15?

 あんなに頑張ったのに?

 いじめられても耐えて耐えて耐え抜いてきたのに魂の強さが価値が、15?

 ……いやだ。いやだいやだいやだ。

 これじゃ何もスキルが取れない。

 容姿も変えられない。

 私が私のまま異世界に行っても意味がない。

 あいつらにまたいじめられる

 いやだ、だったら異世界になんて行きたくない!帰りたい!

 日本であんな酷いことをされたんだ、法律も何も無い異世界なら今度は何をされるか……

 私は、私は……





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る