第8話 持っていかれた
「……ゴブ子さんや、手を、離してくれんか」
「ぎぃや♪」
ギュッと私の骨の手を掴み嫌々と一向に離してくれないゴブ子。
それどころか腕を身体に抱き寄せて絶対離さないアピールをしてくる。
うん、あれだな。
ゴブリンだろうが人だろうが、大して仲良くもない奴から一方的にスキンシップされると、嫌悪感が凄いな。
「ぎゃっぎゃっぎゃ!」
「……うん」
「ぎゃーぎゃぎぃやぎゃぎゃっ!?」
「……お、そうかぁ、いいんじゃないか」
「!!」
自分より強いと思われる情緒不安定なゴブリンに右腕を抑えられているのが割と怖いので、刺激したくないし意味わからないけど話を合わせてみる。
適当に相槌打ちながら、どうにか抜け出せないかとしれっと腕に力を入れてみたり割と本気で振りほどこうとしてみるが、今のところ1ミリも微動だにしない。
やはりこいつ、私より数段力が強い。
強いなんてもんじゃない。
まったく腕が動かないってこの小さな身体のどこにこんなパワーがあるというのか。
……まぁ、それを言うなら私も骨だからそうなんだけど。
打つ手が思いつかないのでどうしたもんかと悩んでいると、頬を赤く染めてねっとりとした表情をしながらゴブ子がぎゃあぎゃあとなんか騒いでる。
私の返答を待っているのか、こちらを見上げて相変わらずつぶらなムカつく目でじーっと見つめてくるゴブ子。
「うん……ごめん、ちょっと最初から何言ってるかわかんないです」
「ぎゃ、ぎゃーん……」
なんだかよくわからんががっくりと肩を落とし見るからに落ち込み始めたゴブ子。
少し拘束が緩んだ気がする。
かと思いきや何の前触れもなく、ゴブ子に右腕の手首から先をパクっと喰われた。
「――はっ?」
「(バリバリっボキボキ……ごっくん)……ぎゃう☆」
いや、「ぎゃう☆」じゃないが。
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