第5話 鶏
『骨なのに喋れるのズルいです!』
「それな」
そんなこと言ったって喋れるんだからしゃーない。
喋れるどころか文字も書けるし五感もあるし、何故か飲み食いも出来るんだなぁ。
尚、食べた物がどこに行くのかは不明である。
『不思議ですよねー、見るからに骸骨なのに……。どうなってんですか?』
「……私が聞きたいんだが?」
流暢に会話ができているように見えるが、一つの会話に短くない時間がかかっている。
実際お互いの、というよりゴブ子の情報交換をするのになんやかんやで1日かかった。
その割には大した情報を得られなかったが。
「さて、私はそろそろお暇するよ」
『えー?! もう行っちゃうんですか?! もっといてくださいよ! なんなら一緒に暮らしましょうよ!』
「え、めんどいから無理」
「ぎゃうーーー!!」
また泣かれて抱きつかれた。
正直、控えめに言って、クソ面倒臭い。
一日かけて得たゴブ子に対する認識は、大した情報を持ってるわけでもなく、かといって何か有能な技能があるわけでもない。
ぎゃうぎゃううるさいしゴブ子と一緒にいるメリットが私にはないわけで。
「残念だがご縁がなかったということでここは一つ……」
「ぎぃぃやぁぁぎゃぁぁっ!」
「離してくれないか……離してく、ええぃ、離せっ!!」
くそ、ガッシリ掴んで離れない!
てか力強いな、いや強すぎないかっ!?
なんか掴まれている腰骨がペキペキ言っているんだが?
「ちょ、やめ、やめろ! 骨が、骨が折れる! まじ折れっから骨っ!」
「ぎゃうぎゃうぎゃぅぅぅ!!」
「ごるぅぅぅおおぉぉぉぉぉおっっ!!」
「「―――っ!??」」
突如聞こえてきた馬鹿でかい雄叫びに顔を見合わせる。
「……なんだ今の」
「……ぎゃうぅぅ」
恐る恐る二人で洞窟の外を伺うと、洞窟の目と鼻の先に馬鹿でかい鶏がいるではないか。
「……鶏?」
「ぎゃう」
「……なんで鶏?」
「ぎゃう?」
「コッ、コッ、コケコッゴるぅぉぉぉぉぉおっ!!」
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