第3話 緑なアイツ

 しばらく歩いてみた所、少し、いやかなりこの森もおかしいことに気づいた。


 植物や動物にはまったく詳しくないけれど、この森に生息しているそれらがなんかおかしいことは素人の私でもわかる。


 ピンクや青や虹色をした謎の草だったり、頭に角の生えた兎のような動物、宝石のように輝くカブトムシだったり、淡く緑に発光している謎の……なんだこれ?


 こんな感じで、およそ地球には存在しないであろうモノたちがこの森にはそこかしこにいるのである。

 いや、もしかしたら地球にもまだ発見されていないだけで実はいるのかもしれないけれども。

 微妙にワンチャンいそうな感じだからなぁ。


「……何なのこの森。いや、骨の時点で私も何なのだけど」


 骨の時点でだいぶ頭おかしい展開だけど、その辺とか私自身の事を考えようとすると頭がスンってなるからなぁ。

 強制的に思考を切り替えさせられたみたいな不思議な感覚。


「まぁオタク的思考で普通に考えたら、気付いたら骨の身体に周りは森。見たこともない動植物と来たら……あれだよね、異世界転生」


 なろうでよく見る例のアレだ。

 もう何人の日本人が異世界へと旅立ったのだろうか。

 よもや私もその一人に加わるとは、人生ってわからんものである。


「なんか異世界だっていう決定的なもの何かないかな――っ!?」


 ちょっと浮かれていたかもしれない。

 ここまで接近されるまで気づかなかった。


 私が立っている正面、15メートルくらい先の木の陰に、じっとこちらを見つめている緑色の体をしたお馴染みのアイツがいた。


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