第10話 新たな出会いと先触れと。
それからの日々は毎朝父さんとの修行、火、風、土の日に師匠と森の散策、ちょくちょく遊びに誘ってくる幼馴染ルミ、そして毎日のマナ・ハーブ茶の摂取と芽の育成を続けていた。
【ルクス】
種族 ヒューマン Lv.1
ジョブ 騎士見習い
HP 100
MP 10
STR 4
VIT 6
DEX 8
INT 5
MND 5
AGI 3
LUC 13
異能
☆心眼 Lv.3
農業 Lv.2
王国騎士剣術 Lv.1
この日々でレベルこそ上がっていないが異能が育ってきた。
師匠との森散策にて育った心眼Lv.3はどうやら危機察知能力らしく、自分の身を危険に晒すような動作をするものの軌道が見える、というものだった。
ルミが慌てて刃物が手からすっぽ抜けた時にこっちに飛んできていなければ気づけなかったかもしれない。ルミはめちゃくちゃ謝ってきたが心眼のおかげでなんとか躱せたし、効果に気づくことができたのでむしろ感謝している。
農業については日々の家業手伝いの賜物である。それに加えて自分の手で精霊の芽を育てている影響があるのかもしれない。精霊の芽くんは着実に成長しており、もう10センチほどの背丈になっている。そういえばどこがゴールなんだろうか。
そして1番の成長。王国騎士剣術 Lv.1だ。
父レイは王国騎士団に在住していたとのことから今教わっている剣術は王国騎士のものなのだろう。修行の成果が目に見えた初めての事なのでうれしさもひとしおだ。そしてジョブ。これがどう変化をもたらすのか分からないがついぞ無職脱出。脱ニートである。農家扱いしてくれてもいいのに。どういう基準なのだろうか?
この世界の謎も深まるばかりである。
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さて今日は火の日。
毎朝の父さんとの修行を済ませ、シュルク師匠の元へと向かう。
「師匠ー?今日も森行きましょー?」
「おールクス、よぉ来たな!今日も森いくぞーって言いたいとこだったんだがなぁ…今日はやめだ。」
!?
なんを言ってもひきずってでも森に連れて行ったあの師匠がやめる!?
槍でも降るのか?
「やめるだなんてなんかあったの?」
「近頃森のざわつきが激しい。前に言った事、覚えてるか?初めて森に行った日だ。」
「森の奥が〜ってやつ?」
「そう、それだ。そのざわつきがほんの少しずつ範囲を広げていてな…無視できる範囲だったんだが昨日の森は明らかに変だ…騎士団に相談を出しているから解決するまではお休みだな。」
森のざわつき。
結局俺にはその異変を察することはできなかった。(元の平穏な森を知らないから差が分かりづらいのかもしれないが。)
騎士団案件とは、ゴブリンの群れや土砂災害等、村での対処がしようがない事を指す。
村での対応ができない時点で一大事だ。師匠の様子を伺うに少しまずいことになっているのだろう。
「とにかく今日は帰って家で素振りでもしてろ!間違っても森には近づくんじゃないぞ!」
「分かったよ師匠、師匠も気をつけてね?」
「弟子に心配される様な師ではないわ!」
がはははと俺の背中を叩いて安心させてくれる師匠。なんだかんだ言いつつこの村を森からの脅威から守ってくれている第一人者だ。多少の無理をして情報を取りに行くはずだ。師匠の事だから大丈夫だとは思うけど…少し不安である。
師匠の言う通り、家に帰って素振りをして不安をかき消すしか俺にできる事はなかった。
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それから暫くして。
村に騎士団から2部隊派遣された。
王族、城をメインに守る近衛兵からなる第1騎士団、
賊、犯罪者を駆逐する第2騎士団、
民を守り、生活の安全を保障する第3騎士団。
アルトレクス王国騎士団は以上3つの大隊から形成される。
今回派遣されたのは第2、第3から1部隊ずつの総勢24名である。
村には外部から客人が来る事など考えられていない為、宿泊施設等は存在しない。
村と森との間にキャンプを張るとの事。
今日はその騎士団が顔を見せる日だった。
というかもうそこまで遠くない距離に鉄の鎧に身を纏った騎士団様御一行が見えており、俺達村民は村の入り口にて出迎えの準備をしていた。
「初めまして皆さん。私はアルトレクス王国第3騎士団、第6部隊隊長 ゼストという。今回派遣された騎士団代表で挨拶に参った次第。」
「久しぶりだね、ゼスト。元気してた?」
「っ…!レイ、お前の村だったか!」
おおっと…?父さんの知り合いか?
父の背を見ていると気配に気づいたのか、紹介してくれた。
「彼は今言ってたようにゼスト、僕が騎士団に居た時の同期…みたいなものかな?」
「なーにが同期だ最年少。お前と並ばされる俺の身にもなれ…」
詳しく聞いたところによると父は最年少で騎士団に入隊したらしく、目の前にいるゼスト隊長と同期だったと言う。
見た感じゼスト隊長30代後半くらいなんだけど…最年少ってどんだけ早かったんだ…?
「ゼストが来てくれたのなら安心だね、調査は頼んだよ?」
「安心ということはないだろうが…職務は果たす、任せておいてくれ。」
歳の差を感じさせないような気軽に話す2人を見て、当時も仲が良かったんだろうと容易に想像できる。そのままゼスト団長と父さんは騎士団キャンプ地へと向かっていった。
それから数日間、騎士団と有志による森の探索、調査が行われ、本来森の深部に生息していた動物が浅いところに出没するようになっている事や、普段確認する事自体稀な魔物の生息の確認等、深部にて異変が起きているのではないか。という結論に至った。
村にはなんとも言えない、独特の緊張感が張り詰めていた。
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作者です。
VCR見てたら時間ありませんでした。
時間泥棒です。
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