第8話 魔法学のススメ

狩猟から帰ってきて山賊邸。

シカ肉を少し分けてもらって俺は自宅に帰ることに。


わからない部分も多かったけどとても参考になった。実際斥候とかの冒険職なら必要な技術だろう。最後の視覚が追いつかなかった攻撃は是非とも習得したい。


両親にはシカ肉を感謝された。特に父は技術を教わってきたことをかなり喜んでいた。サバイバル知識は生死に関わる、冒険者として見送る立場としても嬉しいのだろう。


夕食は豪勢にシカステーキだった。

中々手が出せるものがない上に美味である。狩猟へのモチベもぐんぐんだ。



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色々済ませ寝床に着く。

考えなきゃいけないことは沢山あるのだ。


・マナ・ハーブの摂取方法

これは乾くのを待つしかない。これでだめなら我慢して飲もう。男は度胸である。


・世界情勢

詳しそうな人を村の中で思いつかない。皆農業や林業、狩りと目の前の生活に必死なのである、可能性があるとすれば村の外。


そこで次のタスクである魔法にも関わってくるのだが教会の司祭様だ。



司祭様は定期的に村に検診に来てくれている。その際に少し時間をもらって各属性の特性と世界情勢について聞いてみよう。魔法に関しては教わらなくていい、将来的にどの属性を身につけるか、ある程度の方針をつける参考にしたい。


次の検診は来週の水の日だったかな


余談だがこの世界では365日、1週間は7日と現世である地球と同様であり、曜日に関しては無、火、水、風、闇、土、光の日と属性、精霊に因んだ名前で呼ばれている。


今日は風の日である為、来週の水の日は6日後、となるわけだ。


所々地球、日本と似ている箇所がある。なにか因果関係があるのだろうか?


考えた所で俺に知る由はない。流されるまま、気の向くまま生きるだけ考えよう。


眠気もいい具合なので思考の海に沈むのをやめ、今度は睡魔の海に沈んでいく。

明日も朝から父との修行だ。ボコボコにされんのかな………



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その日からの俺は修行!家事!修行!家事!と明け暮れた。レベルは一切動いていないのでステータスも変動なし!と。


成果が目に見えなくてとてもヤキモキしている。が、今日は待ちに待った1つ。


マナ・ハーブがパッキパキなのである。


やっと乾燥した。特に雨の日がなくて助かった。これで降ろうものならまだ待たされていただろう。


早速鑑定鑑定♪もはや気分はルンルンである。


【乾燥させたマナ・ハーブ】

品質 普通+

乾燥させたマナ・ハーブ。若干の抗菌効果を持つ。

服用時に使用者のMPを最大値の45%使用し、レベルアップ時INTに若干のステータスボーナス。(微弱+)



前見たものと少し違うか…?

よく見ると品質が普通+となっている。雑菌がなるべくつかないよう水洗いし、丁寧に乾燥させたお陰だろうか?



とりあえず1口食む。



結果はクッソ苦かった。

あの日食べた生ハーブよりはまだマシ‥だと思う。

しかしそのまま飲み込むにはとても苦い。無理すれば飲み込めるだろうが翌日の体調は最悪だろう。



では試してみるか…生ハーブしたあの方法を…!



こんにちは〜!本日のお料理の時間です!


本日使う食材はこちら!

デデン【乾燥したマナ・ハーブ】〜


略して乾ハブですね♪どう調理していくんでしょうか?



…コホン。おふざけもここまでに調理を進める。

とりあえず刻んで煮出してみよう。



じっくりコトコト5分。



なんか抹茶色のお湯ができた。鑑定!



【マナ・ハーブ茶】

品質 普通

乾燥させたマナ・ハーブを煮出した茶。

とても渋い。

服用時に使用者のMPを最大値の30%使用し、レベルアップ時INTに若干のステータスボーナス。(微弱)



これは良いんじゃないか?

品質は落ちているが使用MPが減っている、ついでにボーナスも減っているが。


冷まして飲む。苦い………けど我慢できる範疇だ。覚悟を決めて一気に飲み込む。


問題はレベルアップまで効果を確認できないこと…また先の見えない道を行く修行の始まりである。



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そしてきたる水の日。


村に司祭様が来た。

村長の村に集まり病気、怪我等を診てもらうのだ。

恒例である為滞りなく検診は進む。

暫くして俺たちの番が来た。



「お久しぶりです司祭様。」


「お久しぶりですレイさん、お変わりないですか?」


「司祭様のおかげで家族何事なく過ごせております。」



父、母、と問診と光魔法を合わせ身体に不調がないか探っていく。健康的な生活をしているためか特筆する事なく検診は進んだ。


俺の番である。



「久しぶりねルクスくん。熱にうなされていた小さかった君が懐かしいわ?歳もとったわね…」


「司祭様そんなに歳とってないじゃないですか…」



今回の検診は昔、熱にうなされていた際に光魔法を使ってくれたフィーナ司祭だ。


以前父に聞いた所によるとまだ20代後半だという。世間では司祭になるのは大体30代になってから、と言われているくらいなので優秀なのだろう。因みにその後母に女性の年齢を気にするものではないし言うものでもない。と父と一緒に怒られた。


問診もそこそこに済んだため本題に移る。



「司祭様、お願いがあるのですが構いませんか?」


「お願いですか?物によるとは思いますがルクスくんが最後の検診ですし、聞くだけなら構わないですよ?」


「魔法について軽く教えていただけないかなぁ〜なんて思いまして、だめ…ですかね?」


「魔法ですか…そうですね〜…


専門的な事は難しいですけれど、私でよければ大雑把な説明はできますね、ルクスくんの力になりましょうか」


そういって優しく微笑んでくれた。

天使か?いや、女神かもしれん。


「ではこの後早速…「ちょーっと待ったー!」


!?



その声の主は村長宅2階から降りてきたのであった。


「私も一緒に居てもいいですよね!」



幼馴染のルミであった。

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