第4話 心眼 Lv.2

修行パートの前に触れておきたい要素があったので。


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父、レイとの修行が決定した日から少し遡り。



心眼がレベルアップした訳だけど効果は対象の詳しい情報が読めるようになったのか…?


試しに自分の手を見てみる。



【ルクス】

種族 ヒューマン Lv.1

ジョブ なし

HP 100

MP 10

STR 4

VIT 6

DEX 8

INT 5

MND 5

AGI 3

LUC 13


異能

☆心眼 Lv.2 農業 Lv.1



おおぅ…めちゃくちゃ要素増えとる。

てかゲームやね。ステータスやねこれ。

いつから俺はRPGの世界に落とされていた…?

サバイバルゲームじゃなかったのか?


さておきステータスについてだ。

普段から農作業をしてるからか身体を使うことで能力値が上昇してるのか…?

なんなら農業スキル付いてるし。


魔法関係については使えもしないのに少しある。

教会の人に回復魔法をかけられた日から体内の魔力で遊んでいたため微増したのだろうか?

それとも初期値か?


考えても仕方ないな。


とにかくステータスが見えるようになったのはかなりデカい。見切りはまだ先のレベルなんだろうが、相当な事がない限り無謀な挑戦をして命を落とすという事はなさそうだ。



父さんはどのくらいのステータスなんだろう。虫も殺さないような穏やかな顔のイケメン愛妻家だが大人は大人だ。一種の参考値にはなるだろう。


リビングに移り、窓から畑作業に精を出す父レイの姿を視界に収める。



【レイ】

種族 ヒューマン Lv.?

ジョブ ?

HP ????

MP ??

STR ??

VIT ??

DEX ??

INT ??

MND ??

AGI ??

LUC ??


異能

????? ????? ????? 農業 Lv.6



…農家である事以外分からんやんけ。


見れない理由があるのか?格上は鑑定失敗するのだろうか?なんにせよ心眼のレベルが足りないのだろう、今後も使って経験値を貯めていく必要がある。


レベルが上がる条件も思えば分かってない。

精霊種を初めて見た、とかいう実績の影響なのだとしたら他の種族を鑑定する事で何か得られる事があるかもしれない。


…まぁこの村にはヒューマンしか居ないのだが。



さておき人でこれだけの変化だ。物ならどう変化があるのだろうか。


庭から見えるその辺に生えてる草でも見る。



【雑草】

状態 良好

特筆する事はない。ただの雑草。

毒はないがとても強い苦味があるため食用には向かない。



そらそう。

ただフレーバーテキストみたいなのが付くようになった。毒とか見分けられそうでかなりの進歩である。



「あら?ルクス。外なんか見てどうしたの?暇だったらお使いに行ってきて欲しいんだけど」


「もちろんだよ母さん。何してきたら良い?」


「シュルクさんのとこでうちで採れた野菜とお肉、交換してきてもらえる?」



シュルクというのはこの村で狩人を生業としている村民だ。物々交換に対応してくれ、うちで採れた野菜と狩りの獲物を交換してくれる。


村に商人が来ることも多くはないので、この村での肉確保に一役買っている存在だ。



「昨日収穫したキャベツと交換してきたら良い?」


「そうね、キャベツとウサギを交換してもらいましょうか♪」



この世界では日本と変わらず野菜の名前はそのまま、動物も見た目も名前も一緒だった。紛らわしくなくありがたい。


しかし生態系とかどうなってるんだろうか?

魔物が存在する世界だ。地球と環境が変わっててもおかしくないだろうに。


まぁ考えたところでなにがどう、という事ではない。分かりやすいことに越した事はないのだ。

キャベジ、とかピーマルとか掠られるとちょっとモヤモヤする。



キャベツの入ったかごを担ぎ、シュルクの元を目指すのであった。



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【キャベツ】

品質 普通

普通のキャベツ。


キャベツも鑑定してみたがこんなもんだ。

特筆されるような事があったらそれはそれで問題だが。



「…クスくーん!ルクスくーん!!!」



歩いていると遠くから呼ぶ声が聞こえる。

声の方を向くとこの村で数少ない子供で幼馴染のルミがこちらに走ってきていた。


ルミは俺の1個下であり、村の他の子供達とは歳が結構離れているため否応にでも関わる事が多かった。



「ルミじゃんか。なんか用だったか?」


「なんか用、ってなんか用がないと声かけちゃダメなの!?」


「んなこと言ってないけどさ…」



世話焼きな性格なのか、よく声をかけてくる。

俺自身嫌いではない、というか元気をもらっているところもあるくらいだ。



「そのかご、シュルクさんとこいくんでしょ!一緒に行ってもいーい?」


「一緒にウサギ運んでくれんならいいぞ?」


「ルクスくんのいじわる!付いてくくらいいーじゃん!…そのくらい良いけどさぁー」



雑談をしながら目的地に進む。村はそこまで広くないので話していたらすぐだ。



「シュルクさーん!いるー!?」


「おールミちゃんにルク坊、野菜交換しに来てくれたのか?いつも偉いな!」


「こんにちはシュルクさん!わたしは付いてきただけだよー」



この山賊みたいなガタイの良いオヤジがシュルクさん。慣れてなかったら子供は泣いてるぞ。



「キャベツとウサギ交換して欲しいんだ。」


「今朝仕留めた新鮮な奴があるぞ、ちょっと待っとれ!」



そう言いシュルクは家の奥に戻っていく。暫くして葉っぱに包まれた小包を渡してきた。



「キャベツ5玉ならいつも通り2匹分で良いか?」


「うん、いつも交換してくれてありがとう。」



魔物じゃないから特筆されるような事はないだろうが、いつもの癖で鑑定する。心眼に意識して小包を見た。


【乾燥させたマナ・ハーブ】

品質 普通

乾燥させたマナ・ハーブ。若干の抗菌効果を持つ。

服用時に使用者のMPを最大値の50%使用し、レベルアップ時INTに若干のステータスボーナス。(微弱)



…神アイテム来たか?



「シュルクさん!!!」


「なんだ急に大きな声出して…ウサギに変なとこでもあったか?」


「そうじゃなくてこれ!この葉っぱ!」


「マナ・ハーブか?」


「そう!この葉っぱってどこで手に入るの?」


「マナ・ハーブは村近くの森の中に結構生えてるぞ。抗菌効果があるからよく肉の包みに使うんだ。味は苦いしMPが減るから誰も好き好んで食わねえけどな!」


「これ欲しいんだけど次の狩りの時に少し採ってきてくれないかな…?」


「いいが何に使うんだ?包みにしかならんぞこんな物」



やったぜ!

今後どう生きていくか分からないがステータスなんざあって越した事はない。MPも使う事はないから実質ノーリスクだ。



心眼様々だな…!


因みにウサギの方は何の変哲もない状態良好なウサギだった。



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作者です。

ようやく話が動き始めました。

幼馴染はヒロインなり得るのでしょうか?


次回。ルクスくん修行回です。

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