第9話 別れ

2ヶ月後、


「そろそろ良いだろう」

「あとはカイトのタイミングでダンジョンに潜ると良い」


イリスにそう言われた。僕の今のステータスは


『レベル 82

 職業 図書館司書

 スキル 炎魔法、水魔法、風魔法、雷魔法、土魔法、闇魔法、光魔法(3級〜1級まで)

     炎剣技、水剣技、風剣技、雷剣技、土剣技、闇剣技、光剣技(3級〜1級まで)

 剣術レベル 50  魔法レベル 60

 称号 全属性の魔法使い、司書、ヴァンパイアの主』


大分強くなった。栞も13枚に増えた


「わかった」

「明日の夜には行こう」

「そのまま14のスキルを探すためにここを出るがいいか?」


僕はイリスに確認する。

生憎、明日は休暇だ。

午前はゆっくりしていられる。


「私はいいがミナトこそ良いのか?」


「なにが?」


「クラスメイトとやらに言わなくて」

イリスは心配してくれている。それもそう、もしかするとクラスメイトには二度と会えなくなるかもしれないから。


「いいさ、僕なんて何もできない『図書館司書』なんだから」


「ミナトがそう言うなら」


イリスはなにか言いたげな感じだったがその後は何も言わなかった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


次の日、僕は海斗と諏訪さん、三谷さんと一緒に町に行き休日を過ごした。


僕は晩ごはんを皆と一緒に食べた。


そして出発前、僕はダメ元で海斗にお願いをした。


「海斗、お願いがあるんだ」


「なんだ、いきなり」


海斗はいつもと同じように僕と喋る。


「これから僕は1人でダンジョンに行く」

「そして、そのまま僕は1人でこの町から出る」


海斗の表情は少しずつ変わっていく。


「な、何言ってるんだ?」

「冗談なのか?」


そう言ったが、海斗は僕の表情を見て僕が本気なのを知る。


「1人でいくなら俺も連れていってくれ」

「必ず力になれるはずだ」


海斗は優しい。僕を心配してくれてのことだろう。だが、


「それはできない」


僕は海斗の提案を断る。


「なんで?」

「1人でダンジョンに行くなんて無理だ!しかもミナトのレベルなんて...」

海斗の言う通り僕1人では無理だ。だがそれは皆に見せているステータスの場合だが。


「イリス」


僕はそう言いイリスを呼ぶ。


「イリス、海斗にステータスを見せろ」


「わかった」


〈イリス〉

『レベル 150

 職業 ヴァンパイア

 スキル 光魔法、闇魔法(すべて)

 剣術 MAX  魔法 MAX

 称号 ヴァンパイアの王、湊の従者』


「そしてこれが僕の本当のステータスだ」


〈湊〉

『レベル 82

 職業 図書館司書

 スキル 炎魔法、水魔法、風魔法、雷魔法、土魔法、闇魔法、光魔法(3級〜1級まで)

     炎剣技、水剣技、風剣技、雷剣技、土剣技、闇剣技、光剣技(3級〜1級まで)

 剣術レベル 50  魔法レベル 60

 称号 全属性の魔法使い、司書、ヴァンパイアの主』


海斗は驚く。


「お前、本気何だな」


「うん」


海斗に僕の気持ちが伝わった。


「わかったよ」


「今のおれじゃ湊は止められないしな」


「ありがとう」


海斗の説得をし、本題に入る。


「海斗にお願いがあるんだ」

「僕のスキル念話と隠蔽を貸す」


本来ならスキルの貸し借りはできないが僕は例外だ。レベルが50になった時、専用スキル『貸出』を手に入れた。僕はこの『貸出』に栞を着けることにより僕が許可するまでスキルを貸すことができる。


「これで僕がどこにいようと会話ができる」


「すごいな」


「あぁ、ここからが海斗に頼みたい」


「月に一度クラスメイト及び国の事をこの念話で報告してほしい」


「頼めるか」


海斗は悩む。これは皆を裏切る事と近いのだから。


「いいぞ」


「い、いいのか」

「ありがとう」


海斗は了承してくれた。


「それじゃ、くれぐれもステータスを見られるときは『隠蔽』を使う事を忘れるなよ」

「じゃぁな」


僕は窓から出ようとする。


「まってくれ、諏訪には何も言ってないのか?」


「あぁ、海斗にしか伝えてない」

「諏訪には説明してあげたらどうだ?」


海斗は僕に諏訪に会っていけというが、


「それはダメだ」


「なんで?」


「あいつはカンがいいだろ?」

「しかも説明なんかしたら絶対に着いてくる」


これでも1年間諏訪を見てきた。彼女がどんな性格かは知っている。


「そっか」


「そしたら『悪いな』ってだけ伝えてくれ」


僕はせめて伝言だけ伝えるようにしてもらった。


「それじゃ、行ってくる」


「あぁ、気を付けてな」


そう言って僕は城から出てダンジョンに向かった。

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