第10話 ヴァンパイア

「ミナトよ」

「ダンジョンは体力勝負、できる限り戦闘は控えるようにするんだ」


イリスがアドバイスをくれる。


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「なぁイリス」


「なんだ、ミナトよ」


「ダンジョンでは体力が大切だとか言ってなかったか?」


「ああ、言ったぞ」


「そしたらなぜ僕は今、全力疾走してるんだーーーーー」


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数時間前、


〈78階層〉


「今日はここまでだな」

「イリス、今日はここで休もう」


城から出て2週間が経った頃、僕はダンジョンの78階層まで来た。


「ミナト、ここではできるだけ静かにしておいたほうが良いかもしれん」


「あぁ、僕もそう思う」

「この階層では敵はまだ見てないが周敵探知に反応がある」

「一応、気を付けておいた方がいいな」


そして僕は眠った。


チクッ


痛っ


なんだ?

敵か?


僕は目を覚ます。


周りには何もいない。


僕は痛みが生じた首元を確認する。


「うわ!」


僕の首にイリスが噛みついていた。


ゴンッ!


僕は反射的にイリスの頭に拳を落とした。


「痛ったーーーーーーーーーーーーーー!」

「何をするんだ?」


「何をするんだ?ってこっちが聞きたいわ!」

「なんで僕の首に噛みついているんだ!?」


イリスに質問をする。


「えっと、それはだな.....」


イリスは答えない。


「答えろイリス」


僕はイリスに問い詰める。


「答えても良いんだがまずは逃げないか?」


「は?」


僕は後ろを向く。


すると、後ろにはモンスターの大群がいた。

おそらく、イリスが大きな声を出したからだ。


「イ、イリスこれは逃げた方がいいな」


僕は急いで逃げ出す。

これだけの大群を相手にするのは厳しい。


「ほら、早く逃げるぞ」

「走れ!ミナト」


イリスは小さくなって僕に隠れる。

そして、今になる。


「なぁ、やっぱり戦った方がよくないか?」


「いや、これだけ多いとダメだ」

「まして、ミナトの感知にも引っかからなかった」

「敵はミナトよりもレベルが高い」

「逃げた方がマシだ!」


僕は全力で走る。


2時間後、


「はぁ、はぁ、はぁ」

「ま、撒けたか」


僕は初めてこんなに走った。


「お疲れ、それじゃ休むか」


イリスは呑気に休もうとしている。


「待て、イリス」

「もう一度拳を落とされたいのか?」


イリスを脅す。


「冗談だ」

「ちゃんと説明するから」


イリスは僕の首を噛んでいた事を説明する。


彼女は『ヴァンパイア』、ヴァンパイアの主食は人の血液らしい。イリスは宝箱を出てから1週間程は我慢していたが、ちょうど1週間前に我慢の限界で僕の血を吸ったらしい。

でも僕はそれに気づいてなかった。それは何故か、それは彼女がきちんと吸血した後ヒールで治していたかららしい。


「そうか」

「今回は気が付かなかった僕も悪かった」


僕は謝る。


「ゆ、許してくれるのか」


「あぁ、ただ今度からは吸う時は一言いってほしい」


イリスが飛びついて来る。


「そうか、ありがとうミナト、それじゃあ、今から吸うぞ」


こいつ軽くないか?

本当に反省してるのか?


しかし今回は自分にも非があるため、なにも言わず黙って吸わせた。

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