第6話 ダンジョン
次の日
「今日から戦闘訓練を行う」
この日から訓練が始まった。午前は剣技、午後は魔法の訓練だ。
皆はこの訓練で剣技か魔法のどちらかに適正を示し、どんどんレベルを上げていった。
しかし、僕は少し魔法の適性があると言うだけで皆と同じようにはレベルが上がらない。
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週に一度の計測で皆に笑われる。そのたびに
「大丈夫ですよ、少しずつレベルを上げていきましょう」
先生に慰められる。が僕は皆の反応にも先生の言葉にも一切何も思わなかった。
それは何故かというと、
僕は栞の効果で『偽造』と言う魔法を常時発動しているからである。
僕は実際、剣技よりも魔法が得意だ。だからといって皆よりもできないわけではない。
僕には剣術の知識がある。僕は毎晩『隠密』(栞)と『周敵探知』(栞)を使い城から抜け出して剣技と魔法のレベルを上げているのだ。僕の今のステータスは、
『レベル 42
職業 図書館司書
スキル 炎魔法、水魔法、風魔法、雷魔法、土魔法、闇魔法、光魔法
炎剣技、水剣技、風剣技、雷剣技、土剣技、闇剣技、光剣技
※技名は省く
隠密(栞)、周敵探知(栞)、偽造(栞)※残りの栞も省く
魔法レベル 20 剣術レベル15
称号 全属性の魔法使い、司書』だ。
皆のステータスを見ると僕は理不尽なほどに強くなった。栞も4枚から7枚に増えた。
正直、僕はパーティを組む必要はない。が今は目立たない方が良いと思った。
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僕がステータスの偽造を初めて一ヶ月が経った。
「今日からダンジョンに行く」
「皆、気を引き締めるように!」
そうレオン教官が言い、皆でダンジョンに行くがこれがまたなかなか進まない。初めこそ順調だったが5階層を過ぎたあたりから敵が少し強くなり戦闘に苦戦する。
はぁ〜
僕は心の中でため息をついた。図書館の本の情報によれば大体のダンジョンは約100階層までで、このままだと年単位で時間がかかる。これじゃーいつ帰れるか分からない。
僕がそんなふうに思っていると。
「大丈夫ですか、顔色が悪いようだけど」
先生が心配してくれる。
「大丈夫ですよ、ただあれだけ鍛えたのに思っていたよりも苦戦しててびっくりしただけです。」
僕は本当のことを悟られ無いように答える。
「そうですね、ただ皆さん確実に成長してますし赤羽くんたちのパーティはまだ余裕がありそうですよ」
「そうみたいですね」
そりゃそうだ。魔法士が2人、剣士が2人、しかも勇者までいる。これでダメなら僕等はお終いだ。
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今日は10階まで行ったが、正直僕一人で行った方が早い。そう思い僕は今日から夜はダンジョンに潜ることにした。一応7枚の栞には、
『周敵探知』(闇魔法)、『偽造』(闇魔法)、『隠密』(闇魔法)、『ハイヒール』(光)、『炎刀』(炎剣)、サンダーボルト(雷魔法)、水迅(水魔法)を着けることにした。
するとこれが楽に進められる。
今まで皆とダンジョンに潜っていたときとは違い1日で10階層をクリアした。
しかし僕はこの時ダンジョンを舐めていた。
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「これで、49階層突破!!」
「次は50階層か」
ここまで来るのに1ヶ月かかったが僕は50階層以降も一人で行けると思っていた。
50階層に行くと扉が閉まりガチャッと鍵の掛かった音がした。
いつもと何かが違う。
雑魚敵もなかなか出てこないしこの部屋は真っ暗だ。
僕は奥へと進む、そして周りのタイマツに火が灯り一番奥にはとても大きな敵が1人座っていた。おそらく階層ボスだろう。僕はこの時手が震えていた。恐怖を感じたのだ。
やばい!!そう思った時には遅かった。ボスは一瞬で僕の前にきて左腕を切り落とした。
僕は思考が追いつかなかった。あいにく栞をつけていた『ハイヒール』が自動発動していたため止血をする。僕は扉まで必死に逃げた。が、扉は開かない。鍵が掛かっているから。
僕は戦うしかないと思った。
『ハイヒール』が常時発動しているから攻撃はギリギリかわせば問題ない。
しかし、攻撃は全く入らないのだ。状態異常も入らない。剣術レベルも魔法レベルも5を超えた所で全然上がらなくなった。
ボスが迫ってくる。
僕はもう無理だと思った。
その時、
「敵の額をみなさい」
頭の中で声が響いた。
「誰だ!」
そう言い返すが返事は帰ってこない。
僕は言われた通りにボスの額を確認した。そこには水晶があった。
あれを壊せば良いのか。
僕は水の範囲魔法の『ウォーター・ワイド』を詠唱してすぐに最大火力の『炎刀』で切った。そして大量の水蒸気で僕を見失っている瞬間に僕は額の水晶を割った。ボスはその場で倒れ動かなくなった所を攻撃する。しかしボスは額の水晶を再生させ立ち上がる。僕はまた
水蒸気でボスを錯乱し額の水晶を割る。
僕はこれを何度も繰り返した。
そしてやっとボスを倒した。
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