第5話 図書館司書の能力

その夜、夕食も食べ終え皆部屋に戻る。

海斗より先に戻り今日のスキルについて考えようとしたところ、


「おーい、みなとー」

「お客さん連れて来たぞー」


海斗が帰って来た。スキルについては後で考えることにした。


「お、お邪魔します」


諏訪さんだ。


「俺は先に風呂に言ってるから」


海斗は気を使って部屋を出ていった。


「あのあと倒れたって聞いたけど大丈夫だった?」


「うん、少し転んだんだ」

「特になんとも無いよ」


「そう、それは良かった」


少し静かになる。なんか気まずい。


「あ、あのね」

「あのときはごめんなさい」


「あのとき?」


「パーティを一緒に組もうってなったのに...」


諏訪さんも気にしているみたいだ。


「大丈夫だよ」

「赤羽くんが言う事も間違いじゃないし」


「で、でも」


諏訪さんはとても気にしているらしい。


「諏訪さんが気にすることじゃないから大丈夫だって」


僕は全力で彼女を慰める。


「気にするよ、だって私は」


諏訪さんが何か言いかけた時、


「やばいぞ、赤羽くんが諏訪さんを探してる!」


海斗が焦って帰ってきた。


「「え!?」」


それはまずい赤羽くんに諏訪さんと2人でいる所を見られたらまた何て言われるか。


「は、早く行ってきなよ」


「う、うん」

「またね」


「またね」

諏訪さんは慌てて部屋を出る。


僕は彼女を見送ったあと、1人で今日のスキルについて考えていた。


スキルを使ったあと僕のステータスは変わり果てていた。

スキルが増えてレベルも上がった。

そしてなにより僕はこの世界の事を熟知してしまったのだ。

国の歴史やマップ、元の世界に帰る手がかりなど図書館にある本の内容は全て頭に入っている。


これを他の人に知られるのは良くないだろう。


そして今回スキルを使って分かったのは国王は嘘をついていたと言うことだ。

彼はもとの世界に戻る方法を知らないと言ったが今回僕が使った『読破』により元の世界に戻る手がかりはあると分かった。

僕は少し今後について考えることにした。


「あとはこれだな」


そう言い手元にだしたのは3枚の栞。初めは1枚しか無かったが今は4枚ある。スキルを使ってレベルが20になったことで3枚増えたのだ。


「この栞どうやって使うんだ?」


栞の使い方なんて本にはかいて無かったし『図書館司書』なんて職業はどこにも記されてない。


僕が悩んでいるとステータスの『図書館司書』の隣に小さくハテナマークが書いてあるのに気づいた。それを押してみると、


『図書館司書・・・専用スキル『読破』により近くにある本を全て読むことができ自分のものにできる。そして付属の栞を使う事によりいつでも制限なし、詠唱なしで発動できる』


栞やばくね?


『栞・・・使いたいスキルを着けることで栞の効果を発動』


僕はチートアイテムを手に入れた。


実際にやってみる。


1枚目には『周敵探知』

2枚目には『隠密』

3枚目には『念話』

を付けてみた。あとは実践だ。3つのスキルを発動する。


すると何かが近づいて来るのに気づく。少しすると海斗が部屋に帰って来た。

これが『周敵探知』か。


「ただいまー」

「あれ、みなとー」

「いないのか?」


海斗は僕に気づいてない。これが『隠密』だ。

あとは念話だがこれは大体わかるので使わなくて良いだろう。


スキルを切る


「海斗、ここにいるぞ」


「うわっ!いたのか」

「気づかなかったぞ」


今日は収穫があった。あとは戦いでつかえれば良いだろう。

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