第11話 死とは
「もう1個だけ聞いてもいい?」
1番疑問に残ることが残っていたのでわたしは知ってみたいと思った。
「ええ。いくらでも答えてあげるわよ」
「みんな死を悲しんでいた。なのにどうして笑っていられるの?大切な者を失ったことをどうして祝っているの?」
「ふふ。光の申し子様が現れたと聞いていたけど勉強熱心な方なのですね。さすが闇の申し子様の運命のお相手ですね」
「王女様。お戻りになられたのですね」
「儀式の時と夫以外にはあまり肌を見せちゃいけないから着替えてきたのよ」
なんか王女様が現れた。将来わたしもお姫様になれるのかな?レティが小さい声でまた教えてくれた。着替えてきたらしい。そうよね。あの格好じゃさすがに破廉恥だもんね。
「王女様はじめまして。翼と申します」
「そんなにかしこまらなくてもいいのよ。レオノールよ。初めて同属性のマナを持つ方に出会えたの。よかったら仲良くして欲しいわ」
そうだった。お姫様も光の単一属性。マナの使い方教えてもらえたら嬉しいな。
「うん。レオノールさん。わたしマナの使い方がまだ下手で・・・よかったら教えてもらいたいです」
「ふふ。呼び捨てでいいのに。いいわよ。そうだわ!お城で一緒に暮らしましょう!そしたらいっぱい教えてあげれるわ」
えっ・・・一緒に暮らすの?お城で暮らせるなんて夢みたい。小説みたいにいきなり王族と仲良くなれたわね。光のマナに感謝ね。
「そうそう。質問の答えは私が教えてあげますね。死っていうのはね、怖がるものじゃないのよ。死はとても幸せなこと。闇の申し子様の教えなのよ」
闇の王子様が言うには生きるということは辛く苦しいこと。生きる者は常に罪を犯している。罪をその身に刻みながら生きている。色んな命を奪い、消費して生きている。罪を重ねた肉体は地獄へ行き、命の根源たる物は無の中に戻る。そこでまた生命として生まれ落ちるまで静かに漂う。
簡単に言えば、母のお腹の中でじっとしているようなものだという。それを邪魔してはいけない。生きている者の辛さ。苦しさを紛らわせるために安らかな安寧を乱してはいけない。だから送り出す前にのみその感情をぶつけるのだと言う。
何も感じない世界。辛さや苦しみのない世界。最上の幸せに浸っている者の静寂を守ってやる。それがその者に対しての最大の愛である。だからいくら年月が経とうともこれ以上の儀式は行わない。もちろん墓もない。肉体は自然に還してやるのだという。そして死者を送り出す時は宴を開き、旅立ちを祝福する。それが生きている者ができる最後の愛し方なのだという。
わたしにそこまで深く人を愛することができるのかな・・・大切な人がいなくなったら悲しい。でも王子様の愛がそんなに大きいならわたしも返してあげたい。わたしにとってラクマティ様が運命の人なのよね・・・見るたびにドキドキしてしまうし・・・って思ってるそばから彼が近くにきたわ。
「レオノール戻ったのか。もう光の申し子と仲良くなったのか。やはり光同士引き付け合うものもあるのかもしれないな。翼だったよな?傷は大丈夫なのか?誰かさんが大口叩いてたのにボロボロだった時は目を疑ったぞ」
「ラクマティ様・・・それは勝手に翼が突撃したからで・・・いえ申し訳ありません。と、ところで赤い妖精はいなかったんですか?」
「ゴブリン全体の強さは遥かに上がっていたが赤いキングはいなかった・・・命を賭けるつもりだったのだがな」
「ラクマティ。だから私を婚約早々未亡人にするつもりなのですか?」
「いや・・・そんなつもりでは・・・」
「王女様には敵いませんね団長。ってついに結婚なさるんですか!?」
えっ・・・ラクマティ様が結婚しちゃうの・・・しかもレオノールと・・・。告白する前から失恋・・・?わたしの王子様のはずじゃ・・・この胸のドキドキはどうなってしまうの・・・。
レオノールがわたしに近づいてくる。
「ふふ。あなたもラクマティが好きなのね。翼ならいいわよ。私は許可を出す。ラクマティ。翼が話あるって。ちなみに私はオッケーだからね」
彼女は私の耳元でそう言うとラクマティ様を呼んだ。え・・・わたしに告白しろってこと?突然すぎてそんなことできないわよ。告白がんばって応援してるよとそんなこっそり言われましても・・・。彼女により急かされ、ラクマティ様と別の場所に向かう。おかしい。なんでこうなってるの・・・でもこうなった以上言うしかない。翼!漢を見せるのよ!そうよ!頑張れわたしっ!
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