第2話 不思議な彼
なんか小さい部屋にきたわね。きっとこれから王子様のところに連れて行かれるんだわ。
「参加者が揃うまでお待ちください。お待ちになる間、お休みください。そちらの機械に思念を飛ばしてくださいますと、色々なものが出ますので、ご自由にお取りください」
執事さんのご登場ですね。色々出るって言ったわね。じゃあ王子様をお願いしますっ!
「申し訳ございません。リストにありません」
では・・・白馬に乗った王子様を!
「申し訳ございません。リストにありません」
・・・わたしの運命の王子様を!
「上に報告させていただきます」
やったぁ!王子様に連絡が行ったみたいね。もうすぐお迎えにきてくれるわね。とりあえず恋愛小説を出してください。予習しとかないとね。あっ!わたしの好きなやつだ。スマホで小説を読むのが唯一の心のオアシスなのよね。実際の本だとジジイにバレちゃうからダメなのよ。ちなみにこの本は異世界転生して王子様に求婚されるお話。憧れちゃうわ。
報告を受け、彼女を見る者がいた。
「この子なかなか乙女ですねぇ。ビッチ先輩とは大違いですぅ。でも残念ながら王子様なんていませんよぉ。いても私が全部もらっちゃいますしぃ。とりあえず乙女ちゃんは問題なしですねぇ。さぁ男の子漁りを再開するとしましょう」
わたしはしばらく本に夢中になっていた。これから自分に起こるであろうドキドキを先取りするかのように・・・。
「お待たせ致しました。参加者が揃いましたので10分後に、場所を移動しましてガイダンスを始めさせていただきます」
ん?10分後?やばい・・・歯磨きしなくちゃ。それと髪の毛も整えないと。いつも使ってるやつ出してくださいっ!そうそう。これよこれよ。急いで整えなくっちゃ。
ふぅ〜〜、間に合ったわ。いつ王子様に会っても大丈夫ね。
「ただいまより、ガイダンスを開始します」
わたしは空を飛んでるわっ!風さんわたしを王子様のところまで連れて行ってっ!
あれ?人がいっぱいいるわね。ステージがあるわ。きっとそこから王子様が登場するのね。でもサプライズでこの中に紛れてるって可能性もあるわね。ということはここにいる女の子は全員ライバル?でももうすぐ王子様に会える。嬉しいなぁ。えへへ。あんなことしてもらったり・・・。
はっ!誰!?貧乳って思ったでしょ!?後ろを振り返ると1人の男性がいた。よく見ると周りに人がいない。彼とわたしの2人だけだ。王子様なのかしら?可愛く見えるように首を傾けながら見てみる。優しそうな男の人。でも心の中は閉ざしているようでよくわからないわね。不思議な人。でも居心地は悪くない。
さっきからずっと目が合っているわ。ドキドキしてきちゃう。普通にかっこいいと思うし。話しかけてみようかな?なんか妙に惹かれちゃうというか・・・。
この時、自分自身なぜ彼に惹かれるのかはわからなかった。でもこれがわたしと彼のはじめての出会いだった。
「ただいまより、ガイダンスを開始します」
別の王子様がでてくるかもしれないわね。
わたしは彼から視線を外しステージを見た。
あ・・・テレビで見る人だ。議員さんだっけ?テレビもあんまり見ないからわからないのよね。今度は女の人がでてきた。ムチムチで巨乳な人だ。わたしなんかよりもああいう女性が男の子は好きなんだろうな・・・でもあの女の人からは嫌な感じがする。悪い人だと思う。
「皆様には選択肢が2つ御座います。
1、仮想空間での修行
難易度・・難しい
2、異世界での修行
難易度・・極めて難しい
1番は死の危険性はほぼありません。
2番は死の危険性はとても高いです」
えっ!?異世界!?行きます!行きます!そしたら王子様と・・・えへへ。
みんな前にいるのにわたしと彼だけが2人きり。不思議な感じね。でもわたし王子様探しに行ってくるね。あなたがわたしの運命の王子様ならきっと迎えにきてくれるはずよね。迎えにきてくれた時はわたしに告白してくれたら嬉しいな。運命の人だったらね・・・なぁんてね。とりあえずわたしは異世界に行くわ。現実から逃げるため。そしてわたしの王子様を探すために。
異世界。異世界。異世界・・・と念じながら待っている。お金はお家に届けてもらえばいいし。弟子達はすごい食べるから食費の代わりに使ってもらえれれば嬉しいわ。ジジイとの手切れ金だと思って欲しいな。
あっ・・・またわたし飛んでる。それじゃまた会えたらいいね。後ろの素敵なお兄さん。いってくるね。いよいよ新しい生活が始まるんだ・・・。
・・・あれ?ここが異世界?どう見てもただの広い部屋よね。出入り口は・・・なさそうね。わたし騙されたのかしら?純情な乙女を騙すなんて酷いわ。許さないわよ!
「ただいまより異世界適正試験を行います」
えっ!?試験なんてあるの・・・?勉強だったらまずい。体を動かす方ならいけそうだけど。でも・・・わたしの未来がかかってる。絶対合格しなきゃ!
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