近藤浮かぶ
そんなある日の空がオレンジに染まった時
近藤は浮いた
クラスから浮いたってわけじゃない
いや浮いてはいる。浮いているのか?
俺もわかんねえ、一度考えるのをやめよう
目を閉じて、頭の中から雑音を消そう
…………………………
ああくそっ 全然消えない
だめだわけがわからないよこの状況
教室カエル大放出祭をゆうに超えてる
顔洗ってこよう これは多分夢だ 夢の中で顔洗いがどう聞くのかわかんないけど
「!」
「てば!」
「おいってば!」
その声にハッとし、振り返った先には近藤がいる。
「なんだよ1人で夢とかわけわかんないこと言ってさ、早く助けてくれ!おしっこちびりそうなんだよ」
「いまのこの状況の方がわけわかんねえよまじで!おれもお前もいまどうすればいいのかわかんねえんだよ」
だめだ これは多分現実なんだろう、いや絶対!
夢の中の近藤はもっと奇天烈だ。
いやまて、今の状況の方が明らかに夢よりもおかしいだろ!なんなんだこれは一体
でも今確かに言えることがある
近藤は天井に張り付いている、いや押し付けられてる
とりあえず落ち着こう
きっかけは今日の放課後、近藤に呼び出されてからだ
「なあ山下、めっちゃくちゃ重要な話があるんだよ
だから今日の放課後は残っててくれないか?こんな忙しい時期にごめんけどどうしてもなんだよ」
「コンビニじゃだめなのか?」
「聞かれるリスクを最小限にするためさ、ほら部活はもう引退したろ、みんなそそくさと帰って勉強さ」
「そんなにやばいやつなら電話で話した方がいいだろ」
「いや面と向かって言いたいんだ。てかお前が必要なんだよ! 一生のお願い 頼む!」
「はあまったく、何回目だよ まあいいけどさ」
「じゃあ4時半にここで、俺は面談行ってくるわ」
俺は待ってる間勉強しようと思ってた。
でもなんだろう、胸のザワザワがきえない。
あいつがあんな真剣な面持ちの時はいつぶりだろう。あんなに思い詰めてるのは久しぶりに見た。
こんなに胸がざわついていると勉強する気にもならないな、側から見るとただの言い訳だけど。
夏のピークがすぎたおかげなのだろうけど、いつもより日の入りが早くなった気がする。
こんな時間帯に空に浮かぶオレンジ色の山や海にも例えられそうな夕方をみると心がピンとしそうだ。
そんなこんなで近藤はやってきた
「待たせたな」
「本当だよ」
「なあ山下………
俺さ あのなんていうかその」
「なんだよ」
早く言っておくれ、焦らさないでくれ、心の準備はできている
「おれな…実は」
そう言いかかった時
近藤は浮かんだ
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