閑話 うんちく その4
うんちく その4
アクセルラビット 脅威度 小
地域によりホーンラビット、ラッシュラビット、突撃ウサギ、一角うさぎ、アルミラージ等々、様々な呼称で呼ばれている。
魔属性地域ではラビィで通っている。
兎の頭頂部に角が生えたような姿の雑食性小型魔獣。
可愛らしい見た目に反して非常に好戦的な性格をしており、
突撃による角の一突きは思いのほか強力で、木製および革製の防具を貫くこともしばしば。
一羽が突撃すると雪崩をうつように次々と突撃する習性を持ち、時にジャイアントキリングまでをも果たす。
子供や背の低い種族は特に注意が必要。むやみに近づいたり、刺激してはならない。
ちなみに兎型と謳われてはいるが、生物学上は兎とは全く関係のない別種の生き物である。
余談になるがアクセルラビットは雑食性ゆえに兎をも襲って喰らう。
見た目ほぼ同種である兎を頭からバリバリ喰らう姿はちょっとしたホラー、目にした者にトラウマを植え付けること請け合いである。
「ウサギはちょっと……」と言う者の原因はまずこれだろう。
極稀にだが大気中の魔素を吸収し、魔法金属化したミスリルの角を持つ突然変異体、希少種の存在も確認されている。
そのミスリルの角は非常に高値で取引されている。
以前は人工的に変異体を生み出す研究がなされていたが、人工ミスリル精製技術が確立されてからは、この分野の研究は停滞したままとなっている。
眉唾もので、もはや都市伝説の域の話とはなるが、虹色に光り輝く角を持つ個体の存在を指し示す文献も見つかっている。
想像図でしか確認されていないそれは、一部のミステリーファンやネット住民から、
「これはゲーミングホーンかな?」などと揶揄されている。
かつては世界中、あらゆる地域にその生息域を広めたが、現在では駆逐され、ユグドラシル高原森林公園を代表とする自然公園や保護区の他、離島や無人島くらいにしか生息していない。
しかしこれは野生に限った話であり、食用の家畜としてはなおも世界中に分布している。
皮肉を言えば魔獣の中でいちばん繁栄している種といえよう。
(小さいうちに角を落とせば攻撃性が緩和され、飼育が容易になるからである)
その肉はやや癖はあるものの調理法しだいでは何とでもなる程度なので、実に多くの地域で食されている。
これのおかげで調味料文化が発展してきたとの声すらあるくらいだ。
亜種には、その特徴的な角を濡れた岩などにこすり付け、刃状にまで研ぎ澄ましたブレードラビット、スラッシュラビィと呼ばれる種が存在する。
こちらは攻撃性、危険性ともに更に高い。
厳密にいえば同種には違いないが、もはや上位種といっても過言ではないだろう。
最新の研究で解かってきたことだが、彼らにとっては『角=在り様』でもあったのである。
なかには「角が本体」とすら吐く研究者もいるほどである。
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